ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-476-O42-1 演題取り下げ口演 42 栄養管理② 2月13日(土) 13:30~14:30 第12会場O42-2 本邦ICUでの経腸栄養と予後への影響について 国際栄養調査2011 と2013 の結果から1)神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科/NST、2)自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部、3)名古屋市立大学大学院医学研究科 麻酔・危機管理医学分野、4)東北大学病院 高度救命救急センター、5)聖路加国際病院 循環器内科東別府 直紀1)、讃井 將満2)、祖父江 和哉3)、佐藤 武揚4)、水野 篤5)【目的】本邦ICUでの経腸栄養の予後への影響を検討する。【方法】ICU に72時間以上滞在し、人工呼吸を行った症例を対象とした前向き観察研究である国際栄養調査2011および2013に登録され、かつ1週間以上ICUに滞在し、経腸栄養(EN)のみ行った症例を対象とし、本邦と本邦以外の全世界を比較した。観察項目はEN開始日数、エネルギー充足率(エネルギー投与量/ 目標エネルギー量、以下充足率)、APACHE2score、ICU入室理由、BMI(以上をロジスティック解析で共変量とした)、その他の基礎情報。目標エネルギー決定法は各医療者に委ねられた。アウトカムはICU入室後60日までの死亡率。カイ二乗検定、Mann-WhitenyのU,ロジスティック回帰分析を行った。【成績】本邦:169 症例(うち死亡37例), 全世界:3655 症例(うち死亡872例)を解析した。充足率は本邦では中央値;49.0%, 四分位範囲(31.6 - 65.6)(以下同様)。入室後EN 開始日数は1.59(0.91-2.83)。世界では充足率は68.7(50.9-82.5)EN開始は0.96(0.43-1.89)。,APACHE2scoreは本邦23(18-29),世界:21(16-27).BMIは本邦:22.2(17.6-25.5),世界:26.0(22.9-30.5)。入室理由は本邦: 内科系疾患が61.5%, 予定手術後10.7%, 緊急手術後が27.8%, 世界: それぞれ72.0%,7.7%,20.4% であった。ロジスティック回帰では充足率とEN開始時間の相関係数が高かった(r=-0.54)ため別々に解析したが、本邦で死亡率低下に関連するのは高いエネルギー充足率(p=0.02,10%毎にOR;0.75, 95%CI; 0. 62-0.90)、内科系疾患入室に比して緊急手術後であることであった。全世界は低いAPACHE2score、入室理由( 本邦と同様)、高いBMI、早期のEN 開始(p < 0.01,1 日の遅延でOR;1.13,95%CI;1.07-1.2)が低い死亡率に関連した。【結論】本邦と世界では死亡率に関連する因子が違った。その要因としては本邦ではBMIが低く、エネルギー充足率が低いことより、エネルギー投与の予後改善効果が強く、かつ過量投与が少ない可能性があった。O42-3 当院における国際栄養調査の結果と今後のNSTの役割大浜第一病院 診療技術部 栄養給食科富田 仁美【目的】当院のICU は6 床でオープンタイプである。今後NST チームにて、ICU における栄養管理の構築をめざし現状把握と課題を抽出する。【方法】ICU における国際栄養横断調査2014 へ参加し17 症例における実際の栄養管理について登録した。【成績】平均年齢は、世界平均が59.2 歳、アジアで62.9 歳、当院は71.2 歳で高齢であった。ICU入室から経腸栄養開始までの時間は48 時間以内が推奨されているが、当院では117時間で大幅に超えていた。要因としては、循環動態が不安定である場合もあるが、医師の考えの違いにより、開始時期のタイミングがまちまちであった。ICU入室から12日間でのENのみでのエネルギー、蛋白質充足率ともに世界、アジアの平均を下回っていた。【結論】課題は山積している。高齢者が多いことも影響している可能性はある。今後、当院NSTチームでは、回診時に栄養プランを提案するだけでなく、これらの結果を踏まえて、まずはICUの人工呼吸器管理時における経腸栄養のプロトコールを作成し、主治医やスタッフ個々に影響されない栄養療法を患者へ提供していき、医原性のサルコペニアや褥瘡発生の減少をはかっていく。また、プロトコール導入の効果についてモニタリングし、重症患者における栄養管理の重要性を院内で啓蒙していくことも役割として担っていく。