ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-474-O41-1 ICU 入室中の筋肉量減少と予後の関連性1)徳島大学大学院 医歯薬学研究部 代謝栄養学分野、2)徳島大学病院 救急集中治療部、3)徳島大学大学院 医歯薬学研究部 麻酔疼痛治療医学堤 理恵1)、大藤 純2)、井内 茉莉奈1)、小野寺 睦雄2)、堤 保夫3)、今中 秀光2)、原田 永勝1)、西村 匡司2)【目的】重症患者の栄養評価においては病態・病勢の著しい変化に伴い、包括的かつ繰り返しの評価が必要となる。本研究では、ICU 患者の入室後の体組成の変化と予後の関連性について検討を行った。【方法】徳島大学病院ICUに入室した成人患者46人を対象とした。体組成計はBioScan920-I(I Malton)及びPhysionMD(日本シューター)にて入室後1,3,5,7日目に測定した。BMI、APACHEIIスコア、入室後60 日死亡率、人工呼吸器装着日数を記録した。統計処理にはGraphPad Prismを使用しt-test及びSpearman correlation testを行った。【結果】対象患者の平均年齢は63.5 ± 12 歳(男性29 人、女性17 人)、平均BMI は22.34 ± 6.41kg/m2、APACHEII スコアの中央値は24(11-42)であった。下肢筋肉量は入室時の値と比較して3日目に21.3±4.5%, 5日目に32.4±6.9% 7日目に43.6±6.7%と著明な減少を示した。同様に上肢筋は3 日目に18.3 ± 6.2%, 5 日目に25.4 ± 7.6% 7 日目に41.8 ± 7.7%、体幹筋は3 日目に15.1 ± 7.2%, 5日目に20.3±6.9% 7日目に35.6± 5.4%と減少した。3日目までの全身筋肉減少率は入室時の位相角(r2=0.674)及びAPACHEII(r2=0.453)と有意な相関を示した。【考察】ICU入室患者では下肢のみならず上肢・体幹の筋肉量減少も著しく、予後不良の患者で筋肉量減少が著明である可能性が示唆された。口演 41 栄養管理① 2月13日(土) 11:00~12:00 第12会場O41-2 ICU acquired weakness発症患者における筋力及び筋肉量の回復推移~栄養摂取量との関連に着目した一考察~1)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 リハビリテーション部、2)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 NST、3)聖マリアンナ医科大学病院 リハビリテーション部、4)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター松嶋 真哉1,2)、根本 慎司1)、吉沢 和也1)、横山 仁志3)、渡邉 陽介3)、武市 梨絵3)、吉田 英樹4)、吉田 徹4)、桝井 良裕4)【背景】重症患者特有の筋力低下であるICU acquired weakness(ICU-AW)が近年注目されているが,その発症後の経過を示した報告は少ない.今回ICU-AWを発症した患者に対して早期からリハビリテーション(リハ)介入を行い,筋力及び筋肉量の回復推移を得たため,栄養摂取量との関連に着目し後方視的に考察した.【症例】25歳,男性.原因不明の心肺停止にて搬送され,IABP,ECMO及び人工呼吸器での管理となった.第2病日よりリハを,第7病日より他職種での栄養サポートを開始した.第7病日IABPとECMOが離脱となり,離床を開始した.第12病日に抜管し,翌日ICU退出となったが重度の筋力低下(Medical Research Council sum score=17)を認めた.【経過】介入から17病日までは,嚥下障害や下痢などの問題があり必要とされる栄養摂取量が得られず,リハもベッドサイドでの離床が中心であった.第18病日に訓練室へ移行,自覚症状に合わせて負荷量を漸増し,第46病日にHarris-Benedict式で算出された必要Kcalの摂取が可能となった.筋力と筋肉量の推移を第18~46病日(T1)と第46~90病日(T2)の2期に分けて示す.T1において,平均握力は11.0から16.3kgf,平均脚伸展筋力は14.4から44.3N・mへ改善した(Celeration lineの傾きはそれぞれ0.23,1.54).生体インピーダンス法を用いた筋肉量は19.2から20.0kgへわずかな改善に留まった.T2では,平均握力が18.8から30.0kgf へ,平均脚伸展筋力が49.0 から89.7N・m へ改善した(Celeration line の傾きはそれぞれ0.49,2.41). また, 筋肉量は20.0 から23.0kg へ15.0% 改善した.最終的に,第90病日に杖歩行で転院となった.【考察】ICU-AW発症後,栄養摂取量が必要Kcalに満たない時期にも筋力は改善するが,筋肉量は必要Kcalが摂取可能となった時期から顕著に増加し,筋力の改善率も向上する結果を認めた.よって,ICU-AWを発症した患者には早期リハに加え,栄養摂取量を可及的速やかに向上させるようなアプローチの必要性が高いと考えられた.O41-3 本邦ICUにおける人工呼吸器装着症例の間接熱量測定:連続80 症例の測定製鉄記念八幡病院 救急・集中治療部海塚 安郎栄養療法時, 侵襲後1週間の投与熱量は, 簡易推算式値より控えめな設定が望ましいとされる. しかし, そのような結論を導き出したRCTの対象患者は,平均BMI28-30, 年齢も50-65 歳を対象としている.本邦での投与熱量設定の元になるべき重症患者急性期の消費熱量に関する詳細な検討はない。【目的】当院ICUで挿管呼吸管理を行った症例における消費熱量測定(EE)検討から,個々の症例おける至適投与熱量を推定する.【方法】2013.01から2.5年間,内因性疾患で3日以上挿管管理を行い,抜管まで連続してEEを測定した, 連続80 症例のうち11 症例を除外(高度脳障害,EE 測定不能)した69症例に関し1)患者背景.2)全症例平均消費熱量値.3)BMI と消費熱量の関係を検討する【結果】1)年齢73 ± 11.4,BMI21.8 ± 4.58(BMI < 20:31.9%), APACHEIIscore=24.0 ± 3.98, 死亡率23.2%. 2)EE=1244 ± 295.7kcal/day,EE/BW=23.5 ± 5.14kg/kcal/day. 3)BMI とEE/BW の相関係数=-0.608(p < 0.01:スピアマンの順位相関係数), 単回帰分析;y(kcal/kg/day)=-0.655 × x(BMI)+37.5(p < 0.01).【考察】当院ICU 症例は, 欧米からの報告と比しより痩せ,高齢症例である.今回の検討で低BMIほど有意に体重当たりの消費熱量が増加する負の相関が示された. このような低BMI症例における推算式での補正法は確立されていない.侵襲度が高い場合には痩せ,高齢では,体内蓄積(筋肉,脂肪)が不足しておりnutrition riskが高いと言える. 痩せ, 高齢症例での意図的なunderfeedingは, 累積栄養負債による予後不良の可能性を排除できず, 更に回復後のADL低下が危惧される. 【結論】本検討でのBMIからのEE 予測式は,特にnutrition risk のある症例で有用性が示唆される.