ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-468-O38-1 外傷性脊髄硬膜外血腫に対し、透視下経皮的ドレナージを施行した1 症例国立病院機構 京都医療センター救命救急科藤井 雅士、小田 裕太、藤野 光洋、浜崎 幹久、岡田 信長、大木 伸吾、田中 博之、竹下 淳、別府 賢、志馬 伸朗<症例>74 歳、女性。屋根裏部屋の掃除中、突然床が壊れて下の階に約3m転落し救急搬送となった。明らかな四肢の運動障害、感覚障害はなかったが、強度の安静時背部痛(NRS=8~9)と排尿障害を認め、体幹部CT検査及び脊髄MRI検査でTh11、Th12、L2椎体の骨折、Th11~L3 椎体後面に硬膜外血腫が認められた。四肢の神経症状の出現はなかったが、ペンタゾシン、アセトアミノフェン投与後も背部痛のコントロールは不良であり、排尿障害も続くため、受傷約8時間後に、硬膜外血腫の経皮的ドレナージ並びに生理食塩水を用いた硬膜外洗浄を試みた。患者を愛護的に腹臥位とし、透視下にL2/3 椎間より硬膜外穿刺し約1ml の血液を吸引した。その後ドレナージチューブ先端がL1 付近にくるように留置、吸引し再度約1ml の血液を吸引した。その後生理食塩水を用いて硬膜外洗浄を施行した。ドレナージ施行直後より、背部痛はNRS=5 程度に軽快し、以後は鎮痛剤の内服でコントロール可能であった。施行翌日には約50mlの排尿が2回、翌々日には140mlの排尿が認められ、第5病日以降は導尿の必要なく自力排尿が可能となった。また、施行翌日の脊髄MRI では血腫の縮小が認められた。第2、第3 病日にも生理食塩水洗浄を継続した後、ドレナージチューブは抜去した。以後も新たな神経症状の出現はなく、MRI検査でも血腫は縮小傾向となった。<考察と結論>神経症状を呈する脊髄硬膜外血腫に対する治療介入としては、手術療法が一般的である。今回用いた透視下経皮的穿刺は、比較的低侵襲かつ簡便に施行でき、迅速な物理的圧迫解除/減圧効果を呈した。本手法は、患者の全身状態が悪い場合など緊急手術治療が困難な症例や、手術適応を決めかねる際などに、治療の選択肢に加えうるかもしれない。口演 38 神経② 2月13日(土) 13:30~14:30 第10会場O38-2 診断に難渋した自己抗体介在性辺縁系脳炎の一例東海大学 医学部 総合内科石原 徹、柳 秀高、小松 昌道、桑野 公輔、真鍋 早季、門倉 彩奈、小澤 秀樹【症例】32歳、女性。【主訴】発熱、頭痛。【病歴】来院4日前より39℃台の発熱と全身倦怠感が出現。来院3日前より軽度の頭痛と嘔気が出現。症状持続するため、近医で精査したところ白血球700/μl であり、精査加療目的に当院へ救急搬送となる。来院時、GCS E4V5M6 で意識清明、SIRS4 項目を満たすも循環動態は安定していた。軽度の頭痛を認めるも、jolt accentuation、neckflexion test は陰性。身体所見や画像所見からは熱源不明であったが、発熱性好中球減少症として、セフェピム6g/ 日で治療を開始した。【経過】入院2日目、GCS E3V2M4の意識障害と、異常言動や異常行動や口唇周囲の不随運動が出現。髄液検査と頭部MRIを施行するも明らかな異常所見は認められなかった。感染性髄膜炎や脳炎は否定できず、バンコマイシン2250mg/ 日、アンピシリン12g/日、アシクロビル1500mg/日を追加。また、全身性痙攣が出現したため、ジアゼパム10mgとホスフェニトインナトリウム1125mg静注を開始。入院3日目、突然の低換気やショックや徐脈が出現し、緊急気管挿管・人工呼吸器装着、細胞外液大量投与、昇圧剤持続静注、プロポフォール持続静注を開始。また、痙攣予防や頭蓋内圧亢進に対して、レベチラセタム1000mg/ 日、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム19.8mg/ 日を開始。その後、呼吸と循環動態は改善傾向となり、人工呼吸器を離脱し昇圧剤を終了。入院9 日目、頭部MRIで新たに大脳辺縁系に病変が出現し、辺縁系脳炎と診断。臨床経過から、自己抗体介在性辺縁液脳炎と診断し、ステロイド導入と免疫グロブリンの大量投与を施行。神経学的所見も改善傾向となり、入院42日目に退院した。【結語】特徴的な精神症状や不随運動や急激な自律神経症状を呈した自己抗体介在性辺縁系脳炎の一例を経験した。初期の髄液検査や頭部MRI検査で異常所見を認めないことがあり、特徴的な臨床像から総合的に疑い早期治療が必要である。O38-3 抗NMDAR脳炎の2 症例JCHO 大阪病院 麻酔科堀 泰雄、佐野 博昭、中谷 桂治、栗田 聡【症例1】18歳女性、痙攣発作にて緊急入院。翌日より無呼吸発作が頻発する為、人工呼吸管理のため集中治療室へ入室となった。抗NMDAR 脳炎を疑い画像検索するも機能性嚢胞と考えられる嚢胞は認められたが、奇形腫は否定的とのことであった。痙攣コントロールを行いながら、ステロイドパルス療法・血漿交換療法を施行したところ、徐々に改善。第39 病日に集中治療室から退室となった。【症例2】15歳女性、数日前からの頭痛・発熱を主訴に当院救急受診。無菌性髄膜炎が疑われ、治療開始となるも改善認めず、第6 病日より易興奮性・辻褄の合わない言動が出現した。第8 病日に痙攣・呼吸状態の悪化が出現し集中治療室へ緊急入室となった。抗NMDAR脳炎を考え画像検査を行ったが、奇形腫と考えられる所見は認められず。ステロイドパルス療法・血漿交換療法・IVIg を行うも効果認めず。第15病日に再度画像検査を行ったところ、15mm程度の機能性嚢胞と考えられる嚢胞が認められたが、奇形腫は否定的とのことであった。治療継続するも症状改善は認められず、可能性は低いとされていたが奇形腫の疑いも考えられるため、第36 病日に試験開腹を行ったところ、卵巣軽度腫大しており、嚢腫摘出術を施行した。手術後より症状は徐々に改善し第44病日に集中治療室から退室となった。抗NMDAR脳炎と診断された上記2症例について文献的考察を含めて報告する。