ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
468/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている468ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-466-O37-1 基礎疾患のない小児の感染性DIC にトロンボモジュリンは有効である1)神奈川県立こども医療センター 救急診療科、2)神奈川県立こども医療センター 集中治療科林 拓也1)、山田 香里1)、永渕 弘之2)<はじめに>当院でのDIC治療は、エキスパートコンセンサスに基づき、原病の治療に加え、血液製剤、AT製剤の補充を行っている。さらに2010 年からトロンボモジュリン製剤(rTM)の投与を行っている。小児での感染性DIC に対するrTM の有効性などの報告は少ないため、当院での使用経験を報告する。<対象>2012年7月1日から2015年6月30日まで当院ICU/HCUで、感染症性DIC に対してrTMを使用した51例。急性期DIC基準4 点以上を適応とし、380IU/kg/dose を6 日間投与した。<結果>9例が死亡。5例は先天性心疾患で重度の心不全合併、2例は脳性まひ、2例は重症血球貪食症候群であった。感染は、肺炎、髄膜炎、腹膜炎や感染巣不明のものまで多岐にわたり、約半数の症例はショックや人工呼吸管理を伴っていたが、感染巣にかかわらず基礎疾患のない感染性DIC 症例は全例DIC から離脱した。<考察> DIC治療の原則は、「現病」のコントロールが大原則であるが、重度の心不全や脳性まひの基礎疾患が存在するとDIC が重症化、遷延しやすい。基礎疾患がないDIC は、小児においても感染巣など現病のコントロールが良好であれば、成人と同様DIC 離脱にrTM は有効であると考えらえる。<結語>基礎疾患のない小児の感染症性DIC に対してrTMは有効である。口演 37 血液・凝固線溶② 2月13日(土) 11:00~12:00 第10会場O37-2 JSEPTIC DIC study報告:敗血症性DIC に対するトロンボモジュリン製剤の効果1)北海道大学病院 先進急性期医療センター、2)大阪府立急性期・総合医療センター 救急診療科、3)東京慈恵医科大学附属病院 集中治療部、4)東北大学大学院医学系研究科 救急医学分野、5)自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部、6)大阪大学病院 集中治療部、7)産業医科大学 救急医学講座早川 峰司1)、山川 一馬2)、齋藤 慎二郎3)、内野 慈彦3)、工藤 大介4)、飯塚 悠祐5)、讃井 將満5)、滝本 浩平6)、真弓 俊彦7)【目的】敗血症性DIC に対するトロンボモジュリン製剤(TM)の投与効果を検証する。【方法と結果】2011 年1 月から2013 年12 月の3 年間にsevere sepsis/septicshockを理由にICU に入室した3195 名から、DIC 患者1847 名を選択した。このうち、645名にTMが投与され(TM群)、1202名にはTMが投与されていなかった(Control群)。施設情報、患者背景、治療内容を使用したpropensity scoreを算出し、propensity score matching解析を実施し466組のペアが作成された。院内死亡率に対するオッズ比は、0.717(95%CI: 0.547-0.940, P=0.0161)であった。生存時間の比較では、ハザード比0.762(95 % CI, 0.615-0.943, P=0.0125)であった。TM 群での輸血量の増加は認めていなかった。処置を要する出血はControl群の1.3%に対し、TM群は2.8%と増加していたが、統計学的な差は認めなかった(P=0.1627)。【結語】敗血症性DIC に対するTMの投与は死亡率の低下と関係していた。O37-3 敗血症性DIC に対するAT製剤の有効性- 血栓止血学会DIC診断基準暫定案での追加検討-1)滋賀医科大学 救急・集中治療部、2)滋賀医科大学 麻酔科、3)滋賀医科大学 救急・集中治療学講座村尾 淳司1)、宮武 秀光1)、藤井 恵美1)、清水 淳次1)、今宿 康彦2)、山根 哲信1)、辻田 靖之1)、田畑 貴久3)、高橋 完1)、江口 豊3)DIC 診断基準として、急性期DIC診断基準(急性期基準)や旧厚生省DIC 診断基準(旧基準)が知られている。前者は、感度は高いものの特異度は低く、挿管鎮静下や心房細動症例ではSIRS 項目が病態を表していないことや、全ての基礎疾患に対して適用できないなどの問題点がある。後者は、特異度は高いものの、感度が低いとされる。これらの改善を目的に、2014 年に新しく報告された血栓止血学会DIC診断基準暫定案(血栓止血基準)では、アルゴリズムに沿って病態によって異なった診断基準を使用する点や、AT 活性と凝固分子マーカーが組み込まれた点が、従来の診断基準と大きく異なっている。2013 年7月から2015 年3月の期間に、本院集中治療室に入室した重症敗血症患者のうち、急性期DIC診断基準及びAT活性≦70%を満たした27症例に対して、AT製剤による抗凝固療法を施行し、旧基準と血栓止血基準で後ろ向きに追加検討を行った。AT製剤を単独で23症例に投与し、4 症例においては遺伝子組換えトロンボモジュリン(TM- α)を併用した。AT 製剤投与前後で、AT値の有意な上昇を認めた。全対象症例におけるICU内死亡率は0%で、AT製剤投与終了後28 日死亡率は14.8%、院内死亡率は25.9% であった。AT製剤単独投与群では、投与終了後28 日死亡率が17.4%、院内死亡率が26.1% であった。27 症例のうち、旧基準を満たしたものが18 症例(66.7%)、血栓止血基準を満たしたものが15 症例(55.6%)であった。投与終了後28 日生存例における、投与終了翌日のDIC離脱率は、急性期基準が26.1%、旧基準が42.9%、血栓止血基準が72.7%であった。血栓止血基準は、旧基準と比べ感度が低い結果となったが、予後に対する特異度は良好であった。今後、より多施設で、さらに症例を重ねて検討する必要があると考えられる。