ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-462-O35-1 A 病院ICU・CCU看護師のレジリエンスとレジリエンスに影響する要因の検討東海大学医学部付属八王子病院西山 久美江、君島 愛里【はじめに】日々、症患者やその家族と向き合いケアするICU・CCU看護師は、ストレスに満ちており、過酷な職務を遂行する上で、メンタリティを維持していくことは必要不可欠である。レジリエンスとは、逆境からの心理的回復力で、誰もが持っている心理的特性であり、レジリエンスを発達させることが出来れば、看護師として成長・進歩し、自立していく原動力となる。【目的】A 病院ICU・CCU看護師のレジリエンスとレジリエンスに影響する要因を明らかにする。【方法】ICU・CCU看護師36名を対象に無記名自記式質問紙を配布した。質問項目は、看護師レジリエンス尺度(32項目、5件法)、看護師として印象に残る困難な体験と困難を乗り越える上でどのような力が存在したか、基本属性として、年齢、性別、看護師経験年数、ICU・CCU 経験年数、基礎教育背景、勤務形態、配属希望の有無、取得資格について尋ねた。【結果】肯定的看護への取り組み3.45±1.01、対人スキル3.57±0.6、プライベートでの存在4.13±0.4、新奇性対応力2.88±0.49、総得点の平均は3.52±0.42 であった。レジリエンス尺度の総得点の均値をカットオフポイントとして、高得点群と低得点群に分け検討した結果、総得点の平均および肯定的な看護への取り組みで有意差を認めた。また年齢と性別で有意差があり、20代はレジリエンスの低得点群が多く、30代以上は高得点群が多かった。性別では、男性に高得点群が多いのに対し、女性は低得点群が多かった。印象に残る困難な体験については、急変時の対応が最も多く、困難を乗り越える際の力として、同期や先輩、家族の支えを挙げる者が多かった。【考察】臨床で仕事を行っていく中で、ストレッサーを完全に取り除くことは困難である。同期や先輩、家族の支えといった人的環境がレジリエンスを高め、発達させる可能性が示唆された。口演 35 ナースのストレス 2月13日(土) 11:00~12:00 第9会場O35-2 集中治療部に配置された看護師のストレスを評価する東北大学病院 ICU1菅原 希、坂本 千尋、秋山 恵美、鈴木 友里恵、工藤 淳、神 久美子、須東 光江、亀山 良亘、齋藤 浩二、星 邦彦【はじめに】 ICU看護師には高い専門性や集中的な治療介助などが求められるため、大きなストレスがかかると言われている。一般病棟からICU に新たに配属となった看護師には大きなストレスがかかると考えられる。心拍変動は身体的・精神的ストレスの指標になることが示されている。そこで、新たに配属された看護師の勤務前後の心拍数をモニタリングし、自律神経のバランスについて検討した。【対象及び方法】 東北大学病院ICU1 に2014 年4 月に新たに配属された看護師4 名を対象とした。日勤の前後に、ユニオンツール社製心拍センサーMyBeetのディスポーザブル電極を前胸部に貼付し、USB 受信装置を介して心電図をコンピュータに取り込み、心拍数・心拍変動係数(RRI)・低周波数成分/高周波数成分(LF/HF)を後日計算し、1年間全体と3期に分けて解析した。統計学検索は、JMP Pro11 を用いて、勤務前後は対応のあるペア検定を3 期間はWillcoxon検定を行った。値は平均値±標準偏差とした。 本研究は、東北大学大学院医学系研究科倫理委員会にて承認を得ている。【結果及び考察】 1年間の心拍数は勤務前92.8 ± 9.6、勤務後85.4 ± 7.3 回/ 分(p < 0.0001)、RRI は 7.3 ± 3、7.5 ± 3.7 %(p=0.646)、LF/HF 38.6 ± 8.5、85.4 ± 7.3(p=0.9975)と心拍数は有意に減少したが、自律神経のバランスには大きな変化が見られなかった。3期間の勤務前・後の心拍数、RRI、LF/HF に有意の差はなかった。 ICU に新たに配属された看護師には、自律神経のバランスを見るRRIやLF/HFには大きな変化がなく、ストレスはかかっていなかったと考えられる。勤務中の入室や挿管などの個々の事象では瞬発的なストレスが生じていた可能性があるが、勤務終了後の心拍数が減少していたことから、そのストレスは少なくとも勤務終了時には緩衝される程度のものであると推察される。【結語】集中治療部の勤務は、新たに配属された看護師に有意なストレスを与えていない。O35-3 自殺企図を繰り返す患者のケアにおいて看護師が抱く感情労働とストレスの関係1)水戸協同病院 集中治療室、2)茨城キリスト教大学 看護学部看護学科、3)筑波大学水戸地域医療教育センター水戸協同病院 救急集中治療科長津 貴子1)、栗原 加代2)、長谷川 隆一3)【はじめに】自殺企図を繰り返す患者をケアする看護師は、患者に対し「救命」する使命がある。しかし、患者の自殺という行為は、看護師が救命するということに相反する行為である。救急医療に従事する看護師は、自殺企図を繰り返す患者に対しても、陰性感情を表出せず冷静に対応している。そこでの看護師が行なう感情労働はストレスに影響を与えると考える。【目的】自殺企図を繰り返す患者のケアにおいて、救急部門の看護師が抱く感情労働とストレスの関係を明らかにする。【調査方法】対象は、A県二次・三次救急医療機関の救急医療に従事する看護師とした。調査項目は、対象者の属性、片山(2005)の感情労働測定尺度(ELIN)、鈴木(2007)の心理的ストレス反応測定尺度(SRS-18)とし、回答は無記名自記式として研究者宛に直接返送する方法とした。分析方法はELINと、SRS-18 およびその下位項目との相関係数を算出した(y =0.100、p>0.05)。【倫理的配慮】本研究は、所属機関の研究倫理審査委員会の承認(承認番号13-37)を得た。【結果】質問紙は770部配布し回収率は65%、有効回答率は488部(63%)であった。救急部門の看護師においてはELIN の総スコアが91.8 点と、岩谷(2008)の90.5 点と比べて高かったが、SRS-18は普通(42.0%)、弱い(36.3%)とストレス評定値は高くなかった。またELIN とSRS-18 の総スコアには相関はみられなかった。SRS-18では、総スコアと下位項目スコア(「抑うつ不安」、「不機嫌怒り」、「無気力」)において強い相関を認めた。さらに「不機嫌怒り」と「抑うつ不安」、「抑うつ不安」と「無気力」には強い相関を認めた。【結語】救急部門の看護師は、自殺企図を繰り返す患者のケアに対して常に高い水準で感情の抑制を強いる「感情労働」を行っていたが、精神的ストレスとの関連は示されなかった。