ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-455-O31-4 抗精神病薬・睡眠薬過量内服による急性薬物中毒における合併症(誤嚥性肺炎)の検討近畿大学 医学部 救急医学濱口 満英、植嶋 利文、松島 知秀、村尾 佳則【はじめに】抗精神病薬・睡眠薬過量内服による急性薬物中毒症例は意識障害を伴い時に集中治療管理を必要とする。治療中に合併症として生じる誤嚥性肺炎について後方視的に検討した。【対象】2009年4月から2014年3月までの5年間に当院救命救急センターに搬送となった抗精神病薬・睡眠薬過量内服による急性薬物中毒症例を対象とした(搬入日に退院となった症例は除外した)。【結果】対象症例は75 例(男性12 例、女性63 例)であった。誤嚥性肺炎を合併しない症例における入院日数は平均4.7 日で、誤嚥性肺炎合併症例では平均9.0日であった。転帰は退院62例、転院・転科が12例、死亡例は1例であった。誤嚥性肺炎は23例(31%)にみられた。搬入時の意識レベルでは、JCS(Japan Coma Scale)1~30 では誤嚥性肺炎の合併はなかったが、JCS100~300 では49%に合併していた。搬入時間で誤嚥性肺炎の合併率をみると、20時~4時は18%と低く、8時~16時は56%と高値であった。【考察】薬物中毒は軽症が大半であるが、誤嚥性肺炎を合併すると重症化することなどがあり入院期間の長期化となる。意識レベルがJCS 100~300の意識障害を認める症例や日中の搬入症例は誤嚥性肺炎を合併しやすいと考えられ抗菌薬などを含めた治療介入に関しても考える必要がある。O31-5 急性中毒診療における集中治療管理の必要性大阪府済生会千里病院 千里救命救急センター吉永 雄一、澤野 宏隆、佐藤 秀峰、夏川 知輝、小濱 圭佑、大場 次郎、大谷 尚之、伊藤 裕介、林 靖之、甲斐 達朗急性中毒の診療は、救命救急センターなど集中治療管理が可能な医療機関で行われることが多く、特に呼吸や循環の管理を要する可能性が疑われる症例は二次救急医療機関に敬遠される傾向にある。当センターにも数多くの急性中毒症例が搬送され、年間130~150例の入院があるが、それらの約3割が、人工呼吸や補助心肺、血液浄化療法、特異的中和剤などを用いた集中治療管理を必要としている。一方、他の約7割の症例については、輸液や活性炭投与などの標準治療のみでの経過観察により、ほぼ全例が問題なく軽快治癒に至っているという現状もある。そこで、過去2年間に当センターで入院治療を行った急性中毒症例を用いて、集中治療管理の必要性と関わる因子を検証した。対象は2013~2014年の急性中毒(エタノールは除く)による入院症例のうちデータ欠損例、悪性症候群の症例を除外した268例。これらを、年齢、性別、企図歴、医薬品/非医薬品、服用後経過時間、来院時意識レベル(JCS)について解析したところ、年齢、医薬品/非医薬品、来院時JCS に集中治療管理との相関が見られた。また、医薬品による急性中毒症例について、総服用錠数、服用薬剤種別で解析したところ、総服用錠数、バルビツレート類(BAR)に集中治療管理との相関が見られた。非医薬品の場合は、粘膜障害に対する気道保護目的に気管挿管を要することが多いこと、BARについては、大半が合剤のベゲタミン製剤であり、これによる重篤な意識障害が影響していることが予想された。急性中毒は症例毎に状況が異なり、精神科的な問題も有するため一概には言及できないが、今後このような因子をもとにした集中治療管理の必要性予測が、搬送先医療機関の選定や入院病床の選択などの方針決定に寄与する可能性が期待される。O31-6 DPC データを用いた有機リン中毒におけるPAMの有効性の検討1)産業医科大学病院 集中治療部、2)産業医科大学病院 救急医学講座荒井 秀明1)、城戸 貴志2)、高橋 直樹2)、染谷 一貴2)、長谷川 潤2)、大坪 広樹2)、高間 辰雄2)、蒲地 正幸1)、真弓 俊彦2)【背景】有機リン中毒に対してpralidoxime(PAM)の投与が行われているが、その有効性は不明な点が多い。また、比較的稀な疾患であり、多数症例での評価は容易ではない。【目的】有機リン中毒へのPAM 投与の有効性。【対象】2010 年1月から2012 年12月の3 年間の有機リン中毒(T600)を主病名とする症例のDPC データを抽出した。【方法】48 時間以内のPAM投与群、非投与群の2群に分け、28日死亡率・90日死亡率・院内死亡率をprimary、人工呼吸器装着期間・在院日数・医療費をSecondary end pointとし、Propensity-score matchingの手法を用いて比較検討した。【結果】抽出されたデータ件数は884 件であり、このうちPAM使用群は591 件、未使用群が293 件であった。Propensity-score matching で両群の背景を合わせたところ両群各225 件となり、死亡率や人工呼吸器装着日数・在院日数では有意差を認めず、コストはPAM投与群が有意に高かった。【考察・結語】PAM投与には臨床的な有効性がない可能性が示唆された。しかしながら、DPC データを用いた検討においては、比較的大規模な検討が可能であるという利点がある一方で、limitationも多く注意が必要である。