ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-452-O30-1 帝王切開麻酔導入時の心停止に対し、死戦期帝王切開を施行した1 例1)四国こどもとおとなの医療センター 救命救急センター、2)四国こどもとおとなの医療センター 麻酔科高野 信二1)、多田 文彦2)【はじめに】帝王切開麻酔導入時の心停止に対し、心肺蘇生と並行し死戦期帝王切開を行うことで救命。その後、集中治療を行い、母子ともに後遺症なく回復できた症例を経験したので報告する。【症例】28歳、女性。双胎妊娠、切迫早産にて当院産婦人科入院。塩酸リトドリン、硫酸マグネシウム、ベタメタゾンが投与されていたが、肺水腫、肝機能障害、顆粒球減少を認めた。妊娠27週1日、緊急帝王切開のため脊椎麻酔を施行している時に呼吸困難が増強。そため全身麻酔に変更したが、直後に心停止をきたした。ただちに心肺蘇生および死戦期帝王切開が開始され、心停止後4 分で胎児娩出、18 分後に心拍再開した。胎児は第1 児が体重1078g、アプガースコア1/7、臍帯血pH7.353、第2児が体重1068g、アプガースコア1/3臍帯血pH7.384で、娩出後新生児科管理となった。母体は低心拍出量症候群、急性腎不全をきたし、大動脈内バルーンパンピング、持続的血液濾過透析、脳低温療法を用いた集中治療を施行。心不全、腎不全は徐々に改善。神経学的後遺症も認めず、術後14 日目に軽快退院となった。【考察】妊婦の心停止においては、ガイドライン上でも死戦期帝王切開が推奨されている。この場合、5 分以内の死戦期帝王切開開始が推奨されているが、実際には5分間待つ必要はなく、早期の開始が支持される状況がある。われわれの経験した症例では、18 分と比較的長い心停止であったが、手術室内で麻酔科管理中であったことも幸いし、心停止後4分で胎児娩出することができ、母子ともに神経学的後遺症など残すことなく軽快退院した。妊婦の心停止に対しては、死戦期帝王切開への早期の判断や、心肺蘇生、蘇生後の集中治療が母体、胎児の生命予後やQOL を改善しうることを念頭に置く必要があると思われた。口演 30 心肺蘇生・蘇生後ICU管理② 2月13日(土) 13:30~14:30 第6会場O30-2 心肺停止蘇生後にSSEP N-20 陰性から意識が回復した2 症例1)日本医科大学 多摩永山病院 救命救急センター、2)日本医科大学付属病院高度救命救急センター久野 将宗1)、金子 純也1)、磐井 佑輔1)、田上 隆1)、諸江 雄太1)、谷 将星1)、富永 直樹1)、福田 令雄1)、畝本 恭子1)、横田 裕行2)背景:心肺蘇生に関するガイドラインの普及は蘇生に成功する心肺停止症例の増加に寄与し、また蘇生後の治療として脳低体温療法の有用性が報告され心肺停止蘇生後における神経学的予後の改善に寄与した。一方で心肺停止蘇生後の神経学的予後予測は困難なことが多い。SSEPにおけるN-20の陰性所見は予後不良のサインとされ、当施設においては以前からSSEPを行いN-20陰性からの意識回復症例は経験がなかった。しかしながら最近、N-20 陰性にも関わらず神経学的に良好と判断された2 症例が続いた。これらの症例について報告をする。症例1:23 歳男性。早朝帰宅し就寝後に心肺停止となり家人により救急要請された。現場波形VFであり救急隊処置により来院時はPEAであった。ACLS継続にて難治性VFとなりPCPS挿入となった。冠動脈造影検査所見では優位狭窄は認めなかった。その後、脳低体温療法を行った。脳低体温療法終了後の意識回復は悪く第8 病日に施行したSSEPではN-20を認めなかった。しかしその後、非常に緩徐ながらも意識レベルが上昇し最終的にはGCS15となった。症例2:67歳女性。めまいを訴えた後に意識消失。現場にてPEA のため心肺蘇生が行われ来院時には脈拍が回復していた。同日施行したSSEP にてN-20を認めず保存的にICU管理となった。しかしながら翌日には意識回復し挿管下でGCSのM6が確認された。再検したSSEPでもN-20 は陰性であった。考察:心肺停止蘇生後の神経学的予後予測判定にSSEP は有用とされ特に両側N-20 陰性所見はほぼ100%予後不良と判定出来る。心肺蘇生のガイドラインでは24-72時間とあるが当施設では可能な限り速やかにSSEPの測定を行ってきた。しかし意識回復する症例においても急性期以降に陰性になり得ることやN-20陰性でも意識があるということが存在し得ることが上記の症例で判明した。結語:SSEPが神経学的評価に有用であることは明らかであるが、稀ながら例外が存在することに注意が必要である。O30-3 院外心停止のECPR におけるX線透視下カニュレーションによる合併症発生の低下東京都立墨東病院 救命救急センター柏浦 正広、田邉 孝大、杉山 和宏、明石 暁子、濱邊 祐一【目的】心停止に対するECPRにおいて大腿動静脈に送脱血管を留置することは簡便な手技ではなく,カニュレーションに伴う合併症を経験し止血などの対応に難渋することがある。当院では従来,エコーガイド下でカニュレーションしていたが,新たに初療室にIVR-CTを導入しX線透視を併用したカニュレーションを開始した。今回,ECPR におけるX 線透視下カニュレーションと合併症との関連を検討した。【方法】2011年1月から2015年8月の間でECPRを行った院外心停止を対象とし,X線透視併用群(2014年8月から2015年8 月)を従来群(2011年1月から2014年7月)と比較した。アウトカムはカニュレーションに伴う合併症(血腫形成,血管損傷,送脱血管の迷入,血管確保困難,カットダウン法への切替)とした。【結果】全70 例中,透視併用群20 例,従来群50例であった。両群の背景には大きな差はなかった。生存退院はそれぞれ5例(25.0%),9例(18.0%)であった(p=0.522)。合併症の発生はX線透視併用群で有意に少なかった(2 例(10.0%)vs. 18例(36.0%); p=0.04)。病院到着から体外循環確立までの時間はほぼ同等であった(中央値,18.5 分 vs. 17.0 分; p=0.745)。【考察】カニュレーションに伴う合併症の発生は透視併用群で少なかった。透視の使用により手技の複雑化が予想されたが,体外循環確立までの時間は同等であった。エコーガイドにより血管を同定し安全に穿刺することができ,さらにX線透視を併用することでガイドワイヤー位置やダイレーションの際のワイヤーのキンク,送脱血管の位置を確認することが可能になる。カニューレやガイドワイヤーなどの器具,術者や抗血小板薬などによる出血傾向などの交絡も考えられるものの,X線透視を併用したカニュレーションは合併症発生の低下と関連していると考えられた。【結語】X 線透視を用いた送脱血管のカニュレーションは体外循環確立までの時間を遅らせずに合併症発生の軽減に寄与する可能性がある。