ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-449-O28-4 アミオダロン投与中に低血圧と徐脈となり、濃度測定で有効血中濃度上限を超えていたことが判明した症例横浜市立大学附属 市民総合医療センター 集中治療部小倉 玲美、月永 晶人、早川 翔、宮本 裕里、鈴木 ちえ子、村田 志乃、刈谷 隆之、後藤 正美、倉橋 清泰、大塚 将秀<はじめに>アミオダロンは抗不整脈薬として臨床に欠かせない薬剤である。アミオダロンは脂溶性で分布容積が大きく、飽和に十分な初期投与量が必要となるが、代謝は肝臓で行われ、半減期は長い。血中濃度の測定は不要で、肝不全の場合を除いて肝機能や腎機能低下症例、高齢者でも投与量の調節は不要とされる。今回、致死性不整脈を呈した症例に、添付文書が定める投与量でアミオダロンを投与したところ、血圧低下や徐脈を認め、アミオダロン血中濃度を測定し、正常上限を超える血中濃度を認めた症例を経験したので報告する。<症例>83歳男性。身長169cm、体重61.8kg。既往:高血圧症、長期喫煙。胸部大動脈瘤に対し上行弓部大動脈置換術施行後、ICU に入室した。<経過>POD3より上室性期外収縮、二段脈を認め、POD4 に血圧低下を伴う発作性上室性頻拍が出現した。収縮期血圧も60mmHg以下となったためアミオダロンを添付文書が定める投与量と方法で開始した。その後は洞調律となり循環動態は安定した。その後、腎機能が悪化したためPOD9 に持続的血液濾過透析を導入した。POD11 より房室接合部調律となり再び循環動態が不安定となった。POD12に両側胸水と心嚢水貯留を認め、心嚢ドレナージ、胸腔ドレナージを施行した。血圧は一時的に上昇したが、その後も徐脈と低血圧が続き、昇圧薬の増量を余儀なくされた。アミオダロン過量を疑いPOD15に血中濃度を測定し、持続投与を中止した。後日判明した投与中止時のアミオダロン血中濃度は1396ng/ml(有効血中濃度500~1000 ng/ml)、モノデスエチルアミオダロンは301ng/mlであった。<考察>アミオダロンの血中濃度が上昇した原因として、肝機能障害の進行、低アルブミン血症、術後急性膵炎の可能性のために経腸栄養開始が遅れたことが考えられた。<結語>アミオダロンは、循環動態の悪化や肝機能障害の進行を認めた場合には血中濃度を測定し、中止を検討する必要がある。O28-5 心臓手術後の心房細動予防に対するベータ遮断薬の有用性についてー各種メタ解析からの分析1)自治医科大学附属さいたま医療センター 救急部、2)自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部下山 哲1)、讃井 將満2)、守谷 俊1)【はじめに】心臓手術後の心房細動の発生率は約20%に上る。このイベントは、入院期間の延長や脳梗塞の発症などのリスクとなる。現在までに、種々の薬剤の予防効果が報告されている。これらの、副作用と費用対効果について文献検索し比較した。【方法】MEDLINE よりMeSH 語句としてCardiac Surgical Procedure, Postoperative Complication, Atrial Fibrillation およびPublicationTypeとしてMeta-analysisで検索し得られた43件より、RCTにより解析された6件について比較した。【結果】比較された介入は、Statins、Polyunsaturated fatty acids(PUFA)、Carvedilol、Landiolol、Amiodarone 経口および静注、Steroidsの予防投与である。表に示すように、全て対照群より相対危険度の減少が見られた。中でも、Carvedilol、Landiolol は絶対危険度減少率10%以上、治療必要数15以下であった。【結論】心臓手術後の心房細動に対してCarvedilol、Landiolol の予防投与は効果的と考えられるが、費用の問題と他薬剤との直接比較など更なる検討が必要である。O28-6 出血性ショック心臓の催不整脈性に対する異なった人工酸素運搬体の効果1)防衛医科大学校病院 集中治療部、2)防衛医科大学校病院 救急部高瀬 凡平1)、橋本 賢一1)、田中 良弘2)、東村 悠子1)、池内 尚司2)出血性ショック心臓(HS)においては低心機能・致死性不整脈により予後不良となる。これまで、リポソーム封入ヘモグロビン(A-Oxg)の有効性を報告してきた。LHb(Hgb=6g)またはHbV(Hgb=10g)の異なったHgb 濃度のA-Oxg のHS における効果を実験的に検討した。方法:SD rat(n=30)に30%出血性ショック状態を作成し、非蘇生群、洗浄赤血球(RBC)蘇生群、生理食塩水蘇生群、5%アルブミン蘇生群、A-Oxg-LHb 蘇生群及びA-Oxg-HbV 蘇生群の6群間で心筋を摘出Tyrode 液で灌流後Nachannel 感受性色素を用いたOptical mapping system(OMP) で興奮伝播・活動電位持続時間不均一性(Action potentialduration dispersion :APDd)、致死性催不整脈性を検討した。結果:蘇生群では、5群とも全例蘇生に成功した。しかし、生理食塩水、5%アルブミン群ではOMPで著明な左心室伝導遅延とburst pacingによる心室細動が全例で誘発されたのに対し、RBC蘇生群・A-Oxg-LHb蘇生群・A-Oxg-HbV蘇生群では、伝導遅延・心室細動誘発ともに認められなかった。生理食塩水、5%アルブミン群では著明にAPDd値が増大したが、RBC蘇生群・A-Oxg-LHb蘇生群・A-Oxg-HbV蘇生群では正常に保たれていた。結語:HSでは、左心室伝導遅延とAPDd 増大を惹起し、電気的不安定性から致死性不整脈が誘発されると示唆された。A-Oxg 治療はHgb 濃度が異なってもRBC 治療と同等に、これら指標の保持と予防効果を有すると示唆された。