ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-448-O28-1 J 波症候群が原因と考えられた心室細動の1 例1)金沢大学 集中治療部、2)金沢大学大学院医学系研究科循環医科学専攻臓器機能制御学講座余川 順一郎1,2)、蜂谷 聡明1)、相良 明宏1)、関 晃裕1)、北野 鉄平1)、佐藤 康次1)、越田 嘉尚1)、野田 透1)、岡島 正樹1)、谷口 巧1)症例は44 歳男性。38歳頃にふらつきを契機に発作性心房細動を指摘、ベラパミル、塩酸ピルジカイニドを処方されていた。失神やその他の不整脈の既往はなかった。朝4時に自宅にて不穏状態にあるところを妻に発見された。その後心肺停止となり、妻により心肺蘇生を施行された後、救急搬送となった。救急車内で2回心室細動となり、電気的除細動を2回施行されて心拍再開となった。自己心拍再開まで約14 分であった。AED(Automated External Defibrillator)の記録上、洞調律復帰後にST 上昇を伴うJ 波を認めた。病着後心臓カテーテル検査を施行したが、冠動脈に有意狭窄はみられず急性心筋梗塞は否定的であった。集中治療室入室後低体温療法を開始したが、低体温療法中にもJ波の増高を認めた。後日施行したエルゴノビン負荷試験、サンリズム負荷試験はいずれも陰性で、冠攣縮狭心症、Brugada症候群はそれぞれ否定的であった。神経学的後遺症なく、植え込み型除細動器を植え込み後退院となった。J 波症候群は心室細動の原因として近年注目されている概念で、広義にはBrugada症候群と早期再分極症候群を含む疾患概念である。当施設では2014年1月~2015年6月までの期間にJ波症候群が原因と考えられる心室細動の症例を4例経験した。それぞれのJ 波の特徴をまとめたため、あわせて報告する。口演 28 心臓・循環・体液管理④ 2月13日(土) 13:30~14:30 第5会場O28-2 著明な高マグネシウム血症のため高度徐脈・意識障害を来した原発性副甲状腺機能亢進症患者の1 例九州大学病院 救命救急センター・集中治療部加来 秀隆、原 雅俊、徳田 賢太郎、生野 雄二、中川 拓、久保田 健介、安田 光宏、前原 喜彦82歳女性。高カルシウム血症の精査目的で入院し、原発性副甲状腺機能亢進症と診断された。慢性便秘症に対して入院後より酸化マグネシウム(Mg)1g の定期内服を追加された。大腸内視鏡の前処置で入院20 日目にクエン酸Mg 34g(マグコロールP 1包)を内服した。入院21日目に腹痛増悪と嘔吐、意識障害、徐脈(HR20bpm, 心室補充調律)、血圧低下が出現したため、気管挿管後に一時的ペーシングを挿入し、ICU管理とした。著明な高Mg 血症(Mg2+3.2mmol/L, 正常 0.52-0.60mmol/L)を認めた。輸液負荷・利尿剤投与でMg排泄を促したが、症状改善に乏しかったため、22 日目よりCHDFを開始し、循環維持目的でDOAを併用した。血清Mg値の低下に伴い、循環動態・意識障害が改善し、26 日目に人工呼吸を離脱し、29 日目にペースメーカを抜去した。Mg 製剤の内服中の患者で、意識障害、血圧低下、徐脈などの重篤な症状を来たした場合に、高Mg血症を鑑別に上げる必要がある。O28-3 うっ血性心不全に合併した頻脈性心房細動・心房頻拍に対するアミオダロン静注の有効性と安全性1)日本医科大学心臓血管集中治療科、2)日本医科大学循環器内科林 洋史1)、山本 剛1)、圷 宏一1)、細川 雄亮1)、三軒 豪仁1)、黄 俊憲1)、鈴木 啓士1)、古瀬 領人1)、清水 渉1)、時田 祐吉2)【背景】頻脈性心房細動・心房頻拍はしばしばうっ血性心不全に合併し、血行動態が悪化する可能性があるため、速やかな心拍数コントロールもしくは洞調律復帰が求められる。今回我々はうっ血性心不全に合併した頻脈性心房細動・心房頻拍に対するアミオダロン静注の効果および有害事象について後向きに検討を行った。【方法】対象は、2011 年4月から2015年7月までに当施設で頻脈性心房細動・心房頻拍に対してアミオダロン静注を行った連続50 例(男性27 例,76 ±12 歳, 心房細動45 例)である。基礎心疾患は虚血性心疾患21 例、拡張型心筋症4 例で、平均左室駆出率は36 ± 17%、平均BNP は1195 ± 1118pg/ml であった。アミオダロン125mgの初期急速投与の後、負荷投与または維持投与を行い、洞調律復帰率、心拍数コントロール効果および有害事象の有無を検討した。【結果】アミオダロン初期急速投与により50 例中10 例が洞調律に復帰し、投与開始1.8 時間(0.7-17.3)後、最終的に25例(50%)で心房細動が停止した。洞調律に復帰しなかった群においても心拍数が122±16bpmから103±20bpmまで低下し(p<0.01)、血行動態の改善が得られた。アミオダロンによる有害事象は血圧低下が2 例、静脈炎が1 例認めたものの全例投与継続可能であった。著明なQT延長、torsades de pointesは1例も認められなかった。投与後の心原性脳梗塞が1例認められた。洞調律に復帰した群と復帰しなかった群との比較では、復帰群において有意に左房径が小さかった(40 ± 7mm vs. 46 ± 8mm p <0.01)。【結語】うっ血性心不全に合併した頻脈性心房細動・心房頻拍に対するアミオダロン静注は、洞調律復帰および心拍数コントロールの両面で有用であることが示唆された。ただし1例で投与後に脳梗塞がみられており、塞栓リスクの高い症例については経食道超音波による左房内血栓の評価が必要と考えられた。