ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-446-O27-1 循環不全を呈した小児に対しNPPV を使用した17 例の検討松戸市立病医院 小児集中治療科山下 由理子、岡田 広、三好 義隆、平本 龍吾【背景】NPPVは呼吸不全に対してのみでなく、胸腔内圧上昇、静脈還流量減少による前負荷軽減と左室貫壁圧の低下・左室収縮圧の上昇を介して循環不全にも有効であることが知られている。当院PICUでは循環不全を呈した小児に対してもNPPVを積極的に導入している。これまでの症例を後方視的に調査し、効果を検討した【方法】2014年4 月から2015年7月までに当院PICUに入院しNPPV を装着した65 例のうち循環不全のみの適応で装着した18 例について、装着前後の心拍数、呼吸数、乳酸値の変化を後方視的に調査した。入院前より在宅NPPVを使用していた1例は除外した。循環不全の判断は頻脈、低血圧、呻吟、網状チアノーゼ、CRT延長の有無により行った【結果】月齢の中央値は2か月、予測死亡率(PIM2)の中央値は6.2%、実死亡率は0%だった。対象となった病態は心不全7例、Sepsis10例だった。装着期間の中央値は1日、転帰は10例が軽快・離脱、2例が症状増悪のため挿管、3例が手術など処置のため挿管、2例が在宅NPPVへ移行となった。心拍数の中央値は装着前192回/分、装着1時間後169. 5回/分、2時間後152回/分、呼吸数の中央値は装着前50回/分、1時間後32回/分、2時間後27.5回/分だった。また、乳酸の中央値は装着前3.3 mmol/L、装着後1.4mmol/L だった【考察】NPPV は成人領域においてはCOPD の急性増悪や心原性肺水腫、抜管後、免疫不全者の呼吸不全などに対して有効性が確立されており、小児領域でも細気管支炎や気管支喘息での有効性が報告されている。生理学的な機序からはこれら以外に循環不全に対しても有効性が示されているが、本邦においては小児に対するNPPV使用の報告は少なく、中でも循環不全に対する使用の国内報告はない。今回我々は循環不全の適応でNPPVを装着した小児17 例について検討し、生理学的なパラメーターや血液検査データの改善を確認した。今後、さらなる症例の集積と効果や合併症に関する検討が望まれる。口演 27 心臓・循環・体液管理③ 2月13日(土) 11:00~12:00 第5会場O27-2 小児心臓手術後の、新たな呼吸器weaning 法―Nasal High Flow system-一酸化窒素併用療法―1)弘前大学医学部胸部心臓血管外科、2)弘前大学医学部付属病院 医療技術部・臨床工学部門小渡 亮介1)、鈴木 保之1)、冨田 栄一2)、後藤 武2)、福田 幾夫1)Nasal High flow system(NHF)を用いた呼吸管理は、挿管期間の短縮、抜管成功率の改善が得られるとされ、小児でも普及が進んでいる。一方、小児心臓外科手術後の患者は、周術期のPH crisisの予防や、良好なFontan 循環のため一酸化窒素療法(NO)が通常挿管下で行われる。今回NHF(OptiflowTM)とNO(アイノベントR)を併用し、挿管期間を延長せず良好な経過を得た症例を経験したので報告する。(症例1)月齢8、男児、診断は総肺静脈還流異常 2 型。前医で診断が遅れ、体重増加・哺乳不良で当院紹介。来院時SpO2は60%台で、高度肺高血圧で、CTでは全肺野に浸潤影を認めた。総肺静脈還流異常修復を行い、3PODに二期的閉胸、5POD に抜管、NHF+NO 管理を行い、6POD にNO 終了しICU を退室。(症例2)月齢6、男児、診断は総肺静脈還流異常 1型で、日齢22に総肺静脈還流異常修復を行ったが、吻合部狭窄による高度肺高血圧を認め、CTで全肺野に浸潤影を認めた。狭窄解除術を施行し、3PODに二期的閉胸、同日抜管し、4PODにNO終了し5PODにICUを退室。(症例3)5歳、男児、診断は単心室、漏斗胸で、Fontan手術と漏斗胸手術(Nuss 法)を同時施行した。ICU に挿管帰室後、NO での循環動態改善を認めたため、抜管後の疼痛による陰圧換気不良の可能性も考え、抜管後NHF+NO管理を行った。2PODにNO終了し、3PODにICUを退室。【まとめ】抜管時の呼吸器条件は全例FiO2 1.0、Flow 8L/m、NO 10 ppmで、抜管後は呼吸・循環状態を見て速やかにNO をweaningした。吸気NO2濃度は0-0.2ppmで、ベッドサイドで全例0 ppmだった。症例1,2は抜管前後のPH crisis 予防のため、症例3 はよりよいFontan 循環のためNHF+NO 療法を行い、NHF+NO 療法による有害事象はなく、経過良好だった。またベッドサイドでNO2は観測されず周囲への曝露もなかった。NO は今後小児心臓手術後患者で適応となる見込みであり、NHF+NO療法はNO 依存性患者の早期抜管、呼吸器weaningに有用であると考えられる。O27-3 先天性心疾患術後の急性期におけるトルバプタン使用症例の検討名古屋市立大学 大学院医学研究科 麻酔科学・集中治療医学分野上村 友二、宮津 光範、小出 明里、冨田 麻衣子、佐野 文昭、太田 晴子、田村 哲也、森島 徹朗、薊 隆文、祖父江 和哉【背景】バソプレッシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンは、近年小児においても使用報告が徐々に増加している。しかし、その多くは慢性期の心不全治療における使用報告であり、先天性心疾患術後の急性期の使用報告は少ない。【目的】先天性心疾患術後の急性期におけるトルバプタンの効果、安全性を調査すること。【対象・方法】2014年4月から2015年7月、先天性心疾患術後の急性期(術後5日以内)にトルバプタンを使用した乳幼児例。患者背景、トルバプタンの使用目的、使用量、効果、副作用等を診療録より後方視的に調査した。【結果】症例は6例で、根治術3例、姑息術3例。月齢は1-30ヶ月(中央値3.5ヶ月)。投与開始日は術後2-5日(中央値3.5 日)、目的は体液貯留の改善で、初期使用量は0.05-0.1mg/kg/日、維持量は0.1mg/kg/日であった。開始日の尿量は6例中5 例で増加し、全例で体重減少を認めた。全例で血清Na値の上昇や2例でBUN/Cre値の上昇を認めたが、基準値を超えることはなかった。また、全例でループ利尿薬・抗アルドステロン薬を併用していた。【考察】低用量のトルバプタンの使用で、尿量増加、体重減少を認め、先天性心疾患の術後急性期における水分管理が容易となった。一方で、基準値を超えてはいないものの、血清Na値やBUN/Cr値上昇などの事象も認めており、投与中の厳密な電解質・体液バランスの監視が必要であると考えられた。急性期におけるトルバプタン適応、最適な開始時期、投与量に関しては、今後の調査が必要である。【結語】トルバプタンは先天性心疾患術後の急性期においても、十分な監視下に安全に使用でき、低用量投与で尿量増加や体重減少が得られていた。