ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-442-O25-1 心臓大血管手術後の長期挿管になる要因の検討医療法人 徳洲会 名古屋徳洲会総合病院加藤 直輝、中村 美津【目的】心臓大血管開心術後の呼吸器離脱までの期間に影響を及ぼす要因を明らかにし、抜管プロトコルを再検討する【方法】2014年1月~6月に心臓大血管開心術をした患者100名を対象に、早期抜管群(術当日~2日目)と長期挿管群(術後3日目~)に分類し、年齢・性別・手術時間・出血量・予定、緊急手術・人工心肺の有無・基礎疾患(HT,DL,DM,CRF,肺気腫)、BMI で比較検討した。また、バイパス術35例、弁手術33例、大血管手術26例、その他に分けて挿管日数を比較検討した。【結果】年齢、性別、出血量、基礎疾患(HT,DL,DM,CRF, 肺気腫)について、挿管日数に有意差はなく、長期挿管群には緊急手術、長時間手術、人工心肺の使用、BMIが大きい患者が有意に多かった。術式では、バイパス術が1.3±1.3日、弁手術が1.6±2.0日、大血管手術が2.7±2.5日で抜管可能でありバイパス術と大血管手術の挿管日数平均に有意差がみられた。弁手術と大血管手術の挿管日数平均に有意差はなかった。【考察】急性大動脈解離のような大血管の緊急手術は、術前からの全身状態が悪く重症度も高いため、予定患者のように状態を整えて手術に臨めないことが影響していると考える。また、人工心肺使用により肺の虚脱、炎症反応の上昇によるSIRSの合併が長期挿管に影響していると考える。そのため、術後の呼吸器ウィーニングを進めるにあたり、緊急手術、人工心肺使用症例の患者には慎重に自発覚醒トライアル、自発呼吸トライアルを行う必要がある。人工心肺使用症例でも予定手術の患者は早期抜管が可能なことから、循環動態、出血などに問題がなければ早期に呼吸器ウィーニング・抜管を進める。術式ではバイパス術は早期に人工呼吸器からの離脱が可能だが、肥満体型の緊急大血管手術に関しては慎重に進める必要がある。口演 25 気道・呼吸・呼吸管理⑥ 2月13日(土) 13:30~14:30 第3会場O25-2 SBTプロトコルを用いた看護師によるWeaning assessment社会医療法人 友愛会 豊見城中央病院 集中治療室仲間 敏春、大城 和也、臼井 雄一、兼久 絵里、山内 芳乃、仲間 康敏、玉城 正弘【はじめに】当ICUの挿管患者は年間約130 例である。人工呼吸器の早期離脱が患者のADL・QOL 等を改善させ早期抜管に向けた意識付けが重要視されている。当ICU 内の人工呼吸器管理は主治医・ICU 専従医の包括的指示下に呼吸療法士(以下RT)が中心となり日々のWeaningがなされている。今回、当院独自のSBTプロトコルを作製し、看護師主体のWeaning assessmentを行った。そこで、SBTプロトコルの有用性を検証した。【研究目的】Weaning過程評価へ向けたSBTプロトコル有用性の検証【研究対象・期間】2013年4月1 日~2015年3月31日間の人工呼吸器管理患者、全299例。RT管理群(以下R群)とICU看護師管理群(以下I群)の2 群に分け、再挿管率・挿管時間を比較した症例対照研究。気管切開・死亡・挿管のまま転床した症例を除外。【結果】2013年度の R群:133例。2014年度のI群:122例。再挿管率はR群1.5/I群1.64%。挿管平均時間はR群39.3/I群86.5時間。【考察】両群共に再挿管率・挿管管理時間は国内外のデータと比較しても有意に少数であり、安全かつ適切なタイミングでの抜管であったと言える。R・I群において再挿管率に有意差は認められなかった。これはSBTプロトコルによりWeaning 過程評価を適正に行えた結果であると考える。SBTプロトコルの存在は患者の呼吸状態評価に医師・コメディカル間の共通認識を可能とし、更に院内抜管基準に等しいツールとなった。今後、看護師主体のWeaning assessment の反復は、看護師のAssessment 力向上や呼吸ケアへの主体的な関わりを増加させると思われる。【結論】SBT プロトコルの導入は、Weaning 過程評価に有用である。抜管基準に対する共通認識を持てる。O25-3 人工呼吸器離脱プロトコル導入がVAE(人工呼吸器関連事象)サーベイランスに及ぼす効果三菱京都病院 RST嶋 雅範、文字 香織、橋本 めぐみ、出見世 真人、篠原 智誉、山下 直己(はじめに)人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発生率低減を目指し、多くの施設においてNHSNのVAEサーベイランスを用いてサーベイランスが行われている。当院においては、呼吸器サポートチームが中心となり2014 年4 月よりSAT(自発覚醒トライアル)とSBT(自発呼吸トライアル)をもとに、人工呼吸器離脱プロトコルをマニュアル化し導入した。今回この導入効果を、VAEサーベイランスにて評価したので報告する。(方法)2013 年1月より2014 年5 月に人工呼吸器管理をされた256 例を未介入群、2014 年6月より2015年8月に人工呼吸器管理をされた222例を介入群とし、VAEサーベイランスの結果を評価、検討した。(結果・考察)人工呼吸器離脱プロトコル導入前後において、人工呼吸器使用比が未介入群0.25から、介入群0.22 へ、また平均人工呼吸器使用日数が未介入群3.13日から介入群2.78 日へと減少した。当院はオープンICUであることや、人工呼吸器使用患者の多くが外科系の患者であることから、主治医がICUから離れる時間が多く、人工呼吸器からの離脱が遅れる傾向にあった。しかし人工呼吸器離脱プロトコル導入後は、主治医が人工呼吸器離脱プロトコル導入可能と判断した時点で看護師が中心となり人工呼吸器の離脱を進めた事で、抜管までの時間が短縮し人工呼吸器使用比も減少した。VAE発生率は未介入群の8 例(9.65/1000 device days)より、介入群の5例(7.82/1000 device days)へと減少した。人工呼吸器を使用することによって患者に起こる合併症は、肺水腫、急性呼吸促迫症候群、無気肺、肺塞栓など肺炎だけでなく様々なものがある。VAEサーベイランスは、酸素化の悪化を示す、すべての合併症を対象としているため、人工呼吸器使用時間が減少すれば、新たなVAE 発生が抑えられ、VAE の発生率も減少したと考えられた。(結論)人工呼吸器の早期離脱に向けた取り組みにより、人工呼吸器使用時間や人工呼吸器使用比を短縮でき、VAEの発生率が減少した。