ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-440-O24-1 気管挿管が喉頭に及ぼす形態学的影響 ―単施設前向き観察研究―1)横浜市立市民病院 救急総合診療科、2)横浜市立大学 医学部 救急医学教室石川 淳哉1,2)、森村 尚登2)、内倉 淑男2)、古郡 慎太郎2)、川村 祐介2)、大塚 剛2)【はじめに】気管チューブ抜去後の気道狭窄の原因は“喉頭浮腫”と表現されることが多いが、実際に喉頭にどのような解剖学的変化が起きているかを詳細に検討した研究は少ない。気管挿管から気管切開(以下気切)に至った症例の気切直後に、気管支鏡を用い喉頭を詳細に観察し、その形態学的変化を調査した。【方法】単施設前向き観察研究。当院高度救命救急センターで2013 年12 月1日から2014年3月31日までの間に気管挿管を経て気切に至った成人患者を対象とした。気切直後に気管支鏡で喉頭を観察しその所見を記録した。なお予備検査を基に、声帯突起から喉頭内腔に向けて肉芽が襞状に張り出す(A)、声帯が腫脹する(B)、などの所見の有無に特に注目した。本研究は倫理委員会の承認と、患者近親者から書面での同意を得て行った。【結果】34 例に気切が行われ28 例が評価対象となった。男性18 例(64.3%)、年齢70[44.8, 76.3]歳(中央値[25%, 75%]以下同様)、原疾患は脳血管障害と頭部外傷が多く、気切となった理由も意識障害の遷延が最多であった。気管挿管期間は7[5,9]日、気管チューブは内径7.0~8.0mm(外径10.4~11.8mm)であった。22例(78.6%)で気管挿管に際して筋弛緩薬が用いられた。挿管困難とされた症例はなかった。肉芽形成(A)は25例(89.3%)に、声帯浮腫(B)は21例(75.0%)に認められた。【考察】(A)の肉芽は気管チューブが声帯突起に強く接触することで気管チューブの腹側面を覆うようにして襞状に増生し、抜管後に喉頭の下1/3の軟骨間部の気道抵抗を上昇させると考えられる。このような肉芽の形成がカフリークテストの感度の低さに関与している可能性がある。抜管前に気管支鏡で観察する際には、声帯と気管チューブの間に充分な空間が存在するか、気管チューブの腹側面を覆う肉芽が存在しないかなどをよく確認する必要がある。口演 24 気道・呼吸・呼吸管理⑤ 2月13日(土) 11:00~12:00 第3会場O24-2 気管切開患者に対する高流量酸素療法の効果:酸素流量の違いによる評価1)神戸大学附属病院 集中治療部、2)神戸大学附属病院 麻酔科、3)神戸大学附属病院 臨床工学部門、4)徳島大学病院 ER・災害医療診療部三住 拓誉1)、藤本 大地2)、北 博志3)、今中 秀光4)、溝渕 知司2)【背景】経鼻高流量酸素療法(nasal high-flow oxygen therapy: NHF)では、高流量のガスにより呼吸仕事量の軽減を認めるとの報告があるが、気管切開患者に対する高流量酸素療法(tracheal high-flow oxygen therapy: THF)において気道内圧の変化、呼吸仕事量に関する報告はない。気管切開用高流量酸素療法のデバイスとしてF & P社のOptiflowTM気管切開コネクタを用い、ガス流量の変化に伴う呼吸仕事量、気道内圧、動脈血液ガスを測定し比較検討した。【方法】同意を得た呼吸機能の正常な術後気管切開患者20名に対し、トラキオマスク酸素40%10L/min(ガス流量40L/min)(以下TM群)、気切用コネクタでの酸素40%ガス流量20・40・60L/min の各状態(20 群、40 群、60群)において、1. 食道内圧、吸気流量を測定し、圧容量曲線からその面積を積分して呼吸仕事量を計算 2. 気道内圧を測定 3.動脈血液ガス(pH,PaO2,PaCO2)測定し、比較検討した。統計にはrepeated measuresANOVA を用いP < 0.05 を有意差ありとした。【結果】TM 群とTHF 各群と比較して呼吸仕事量には変化がなかった(P=0.54)。ガス流量の増加に伴って平均気道内圧の上昇が認められた(中央値mmHg: TM 群0.058、20 群0.062、40 群0.338、60 群0.954; P <0.001)。血液ガスにおいてはPaO2 のみ上昇が見られた(中央値mmHg: TM 群137、20群138、40群140、60群141; P < 0.001)。またpost hoc解析ではTM 群に比較し平均気道内圧、PaO2ともに40群、60群で有意差が見られた。【考察】気切用コネクタを介してガス流量を増加させることで平均気道内圧の上昇とPaO2の上昇が見られた。PaO2の上昇は、ガス流量を上げることによって気道内に流入する供給ガスが増加し吸入酸素濃度が上昇したことが主な原因と考えられるが、平均気道内圧の上昇がどの程度関与したかは不明である。O24-3 酸素マスクの形状による吸入酸素濃度および二酸化炭素濃度に関する研究徳島大学病院 救急集中治療部高磯 甫隆、安見 武哲、大西 沙紀、大藤 純、近田 優介、今中 秀光、西村 匡司背景:酸素投与効率の向上や二酸化炭素の再呼吸を減らすため、従来の簡易型酸素マスクとは形状が異なる開放型マスクや酸素吹付型カニュラなどが開発されている。今回、酸素マスクの形状の違いが吸入酸素濃度や二酸化炭素濃度に与える影響を調べた。方法:2名の健康成人に2種類の簡易型マスク(EcoLite:Intersurgical、Oxygenmask:Intersurgical)、3種類の開放型マスク(OxyMask:Covidien、:Respiall:Atom Medical、cap-ONE マスク:日本光電)、1 種類の吹付型カニュラ(OxyChin:Covidien)で酸素投与を行った。酸素流量は1、3、5、10L/minとした。鼻腔内および口腔内にサンプリングチューブを留置し、吸入酸素濃度と二酸化炭素濃度を測定した。結果:吸入酸素濃度は簡易型、開放型、吹付型マスクとも同程度であった。二酸化炭素濃度は簡易型がcap-ONE マスクを除く開放型、吹付型よりも高かった(図参照)。結語: cap-ONE マスク以外の開放型マスクおよび吹付型酸素カニュラは、簡易型マスクより二酸化炭素の再呼吸は少なかったが酸素投与効率は同程度であった。