ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-437-O22-4 がん専門病院におけるEarly Warning Scoreの有用性についての検討1)国立がん研究センター中央病院 麻酔集中治療科、2)岡山大学病院 麻酔蘇生科松三 絢弥1)、廣井 一正2)、川口 洋佑1)、柴田 麻理1)、新井 美奈子1)、佐藤 哲文1)入院患者の状態が悪化した場合の集中治療室(ICU)入室や集中治療医へのコンサルトの判断は容易ではなく、タイミングが不適切な場合には患者に不利益を与えうる。病棟における患者状態の指標として様々なEarly Warning Score(EWS)が考案されているが、比較的循環器系リスクが低く免疫抑制リスクの高い症例の多い当院のようながん専門病院における有用性は明確ではない。今回、ICUに緊急入室した患者の入室判断におけるEWSの有用性について検討した。【方法】対象は2014年8月から2015年6月にICU に緊急入室した入院患者で、緊急手術と心肺停止症例は除外した。ICU 入室に最も近い時点における電子カルテのバイタル記録からModified Early Warning Score(MEWS)、Standardized Early Warning Score(SEWS)、VitalPAC Early Warning Score(ViEWS)を算出した。【結果】対象は58 例で、MEWS 6.3 ± 2.5、SEWS 6.5 ± 3.0、ViEWS 10.5 ± 3.5 と高値であった。各スコアはICU 入室日のAPACHE2 スコアと正の相関を示したが(MEWS p=0.015, r2=0.11;SEWS p=0.004, r2=0.15;ViEWS p=0.006,r2=0.13)、ICU 滞在日数およびICU 死亡との相関はなかった(MEWS とICU 滞在p=0.58、ICU 死亡p=0.58。SEWS とICU 滞在p=0.21、ICU 死亡p=0.84。ViEWS とICU 滞在p=0.36、ICU 死亡p=0.55)。【結論】EWS は一般病棟で得られるバイタルサインから算出可能で、がん専門病院においてもICU入室時の患者重症度を反映しており、ICU入室の判断指標として有用であると考えられた。O22-5 Rapid Response Systemに準じた拡大コードシステム導入の効果~続報~横浜市立みなと赤十字病院 救命救急センター鈴木 健人、和智 万由子、武居 哲洋、米澤 直樹、畠山 淳司、藤 雅文、山田 広之、藤澤 美智子、永田 功、伊藤 敏孝【背景】院内急変対応は医療安全における重要な課題であるが、本邦においてその効果を検証した研究は多くない。以前報告した新システム導入後1 年分のデータを、さらに期間を延長して検証した。【方法】当院に2006 年度から存在した院内放送で無秩序に人員を参集させる院内心停止に対応するコードシステムを、1 年を費やしRapid Response System(RRS)に準じたチーム主導の拡大コードシステムに変更した。具体的には、1.いかなる職種からも暗記しやすい番号(4444)で蘇生チームに直接連絡可能とした。2.コール基準は厳密に決めず心停止に陥る前に早めにコール可能であることを強調した。3.蘇生チームは医師・看護師混成で、現場での指揮系統と役割分担を明確化した。4. 事例の検証を行い問題点を抽出するフィードバックループを持つ仕組みを構築した。今回はシステム介入前の2009-2010年度の2 年間(before群)と、介入後の2012-13年度の2 年間(after群)のアウトカムを比較した。【結果】システム起動件数はbefore群(2年間)で9例、after 群(2年間)で92 例と約10倍に増加した。院内心停止後にICUに入室した症例はbefore 群19 例、after 群34 例であったが、システム起動を経て入室した症例はbefore 群5 例(26%)に対しafter 群27例(79%)と大きく増加した。両群間で28日の時点の死亡率は同等であったが(63vs.62%)、良好な神経学的転帰は有意に増加した(0vs.24%、p=0.02)。【結論】心停止に陥る前に積極的にシステムを起動するRRSに準じた拡大コードシステムは、予期せぬ院内心停止患者のアウトカムを改善する可能性がある。O22-6 当院Rapid Response Systemが終末期医療へ与える影響の調査1)北里大学 医学部附属新世紀医療開発センター 集中治療医学、2)北里大学病院 集中治療センター RST・RRT室、3)北里大学 医学部 麻酔科学新井 正康1)、小池 朋孝2)、森安 恵実2)、大塚 智久3)、吉野 和久3)、伊藤 壮平3)、小坂 康晴3)、鈴木 優太郎3)、西澤 義之3)、黒岩 政之3)【背景】当院では2011年からRapid Response System(RRS)を導入したが、悪性、非悪性疾患にかかわらず、疾患の終末期に近い時点でのRapid Response Team(RRT)要請を経験してきた。患者管理方針が、終末期医療へ転換するにあたり、RRTの役割は大きいことが考えられる。【目的】疾患の終末期で要請されたRRS起動において、RRTに求められる素養は何かを調査する。【方法】2011年7 月から2015年7月までの間で、RRSデータベースから後ろ向きに、調査した【結果】調査期間中のRRS総起動件数は702 例で、うち悪性腫瘍患患者は151例であった。さらに、このうちRRTの直接的、間接的関与を問わず、RRT関与後にDNARに指示が変更された症例は32例であり、 MEWSは4.8±2.4であった。32例中の悪性腫瘍は21例(非悪性疾患11例)であった。非悪性疾患の内容としては、肺炎3例、心不全(腎機能障害、心疾患、敗血症などに起因)5件、間質性肺炎1例、肝硬変1例、その他1例であった。20 例(62.5%)において、要請理由が呼吸の異常(SpO2 の異常、呼吸困難、呼吸回数が25/min より多い)であった。現場で行った処置としては、ネブライザー、NPPV、バックバルブマスクがそれぞれ8例、口腔、鼻腔の吸引が5例、気管挿管が4例であった。RRS起動、翌日に死亡したものが11例(34.3%)、1週間以内までに死亡した症例は16例(50.0%)、1か月後までに死亡した症例が22(68.8%)であった。【考察】RRS 起動において、悪性腫瘍、非悪性疾患にかかわらず、疾患の終末期に遭遇する可能性は低くなかった。処置の選択を適正に行い、担当科、病棟看護師とともに、治療方針の整理と決定を促すことを通して、RRTは終末期医療においても重要な役割があると考えられた。