ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ページ
438/910

このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている438ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-436-O22-1 適切な要請基準策定のためのMedical Emergency Team(MET)要請症例の後方視的検討1)千葉大学附属病院 救急科・集中治療部、2)成田赤十字病院 救急・集中治療科矢崎 めぐみ1)、織田 成人1)、渡邉 栄三1)、安部 隆三1)、中田 孝明1)、立石 順久1)、服部 憲幸1)、高橋 和香1)、島居 傑1)、栗田 健朗2)【背景】当院では、救急科・集中治療部医師を中心としたMedical Emergency Team(MET)を結成し、24時間体制で院内急変に対応している。今回MET が要請された症例を後方視的に検討し、予期せぬ死亡および重症例を予測しうる因子について検討した。【方法】2012 年2 月から2015 年3 月までのMET 要請となった入院症例のうち、活動後ICU・CCU 入室となった症例を対象とした。到着時に心肺停止状態であった症例は除外した。症例を28日以内の生存群と死亡群に分け、MET要請6時間前とMET 到着時のバイタルサインや、MET処置を要した気道、呼吸、循環、中枢神経系の異常の有無について比較検討した。バイタルサインはmodified early warning score(MEWS)を元に異常所見の有無に分けた。【結果】入院中にMET 要請となった症例203 例のうち、対象症例は60例であった。うち、死亡群は16例(26.7%)であった。MET要請6時間前のバイタルサインを検討すると、脈拍数の異常(≦ 50 or > 100bpm)を認めた症例が生存群で有意に多く、収縮期血圧の異常(≦ 100 or >200mmHg)を認めた症例が死亡群で有意に多かった。MET 到着時のバイタルサインでは、死亡群で意識レベルの異常(GCS≦ 12)を認めた症例が有意に多かった。また、死亡群では中枢神経系の異常に対し処置を要した症例が有意に多かった。【考察】死亡群では、6時間前には血圧異常を認めている症例が多く含まれていたが、その時点ではMET要請に至っていなかった。今後適切なタイミングでMET要請をするためには、血圧の異常に加え、意識状態の継時的変化をより早期に捉えるなど、複合的な認識を周知する必要があると考えられる。口演 22 Rapid Response Team・院内急変① 2月12日(金) 13:30~14:30 第13会場O22-2 Rapid Response Team要請時期と予後因子ならびに患者特性の関係1)北里大学病院 集中治療センター RST・RRT室、2)北里大学医学部麻酔科学教室、3)北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 集中治療医学小池 朋孝1)、黒岩 政之1,2)、森安 恵実1)、大谷 尚也1)、伊藤 荘平2)、新井 正康1,2,3)目的当院ではRapid Response Systemを2011年から運営し、直近の1 年間では要請件数は約300 件となった。当院では入院からRRT 要請までの期間と要請頻度の関係は、入院早期に頻度が高く、入院7日目までの要請が43%を占めている。本調査は対応した症例の入院からRRT要請までの期間と予後因子の関係、その特徴を分析する事を目的とした。方法2014年5月から2015年7月のRRT要請374件を遡行的に調査した。対象患者の入院からRRT要請までの日数が、7日以内の早期要請群(早期群:163件)と8日以降の非早期要請群(非早期群:211件)に分け患者特性と予後因子を調査した。調査内容はICU入室患者の要請数、RRT介入時の転帰、要請者職種、1ヶ月後の生存率、DNR orderの有無、RRT要請後のDNR orderとして、2群間を比較した。統計はχ2乗検定を用い、危険率5%未満を有意とした。結果ICU での要請は37件で、これを除いた337件のうちICU 入室となった件数は早期群32件(20%)、非早期群29件(14%)であり早期群に有意に高率であった(p=0.031)。医師からの要請は早期群55 件(34%)、非早期群50件(24%)で早期群に有意に高率であった(p=0.035)。1ヶ月後の生存率、DNR orderの有無、RRT要請後のDNR orderは早期群でそれぞれ、30件、17件、3件、非早期群で82件、44件、12件であった。1ヶ月後の生存率は早期群で有意に高く(p< 0.001)、DNR order の有無は非早期群で有意に高かった(p=0.007)。考察早期群では集中治療の適応を示唆した症例、一般病棟では対応困難な症例が多く、医師からの要請が多いのはこの為と考えられた。病棟看護師に対して入院直後の治療方針が不明確な患者や、状態の急激な変化を来しやすい患者を早期に認識し評価する教育が重要と考えられた。O22-3 Rapid Response System起動基準における看護師の懸念の有用性について1)東京ベイ・浦安市川医療センター 集中治療科、2)東京ベイ浦安市川医療センター 集中治療室、3)聖マリアンナ医科大学 救急医学内藤 貴基1)、工藤 由子2)、岡本 賢太郎1)、片岡 惇1)、則末 泰博1)、平 泰彦3)、藤谷 茂樹1)【目的】Rapid Response System(RRS)は本邦でも導入施設が増えてきているが、看護師の勤務体制などの医療環境の異なる欧米のデータに基づいて導入されている。特に起動基準はRRS の重要な要素であり、近年National Early Warning Score(NEWS)をはじめとしたスコアリングの有用性が示されているが、本邦での検討は乏しい。有用とされるNEWS には、本邦で広く起動基準に含まれる看護師の懸念(NC)という主観的な要素は含まれていないが、一方ではNCが有用であるとする報告もある。本研究ではRRS起動基準としての看護師の懸念が有用であるかの検討を行った。【方法】当院で2013年11月から2015年2月までに起動された98 例のRRS 症例について後ろ向きcohort研究を行った。主要アウトカムを院内死亡率、副次アウトカムを予期せぬICUまたはHCU入室率としてNCとの関連性を調べた。単変量解析で交絡因子と考えられる項目についてはロジスティック回帰分析で調整を行った。【成績】 NC で起動された症例(NC 群)は28例(28.8%)でNC群と非NC 群において患者背景、起動場所、バイタルサインなど19 項目には有意な差は認めなかった。NC群における院内死亡率は32.1%(9/28)で、非NC群27.1%(19/70)と比較して統計的有意差は認めなかった(P=0.245)。また予期せぬICU またはHCU 入室率はNC 群 42.9%(12/28)、非NC 群 27.1%(19/70)とNC群で多い傾向がみられたが有意差はなかった(p=0.153)。単変量解析結果よりNC、GCS、DNRに関してロジスティック回帰分析を行ったがNC と院内死亡率に統計学的な有意差は認めなかった(Adjusted OR 0.74,CI 0.28-1.98)。【結論】今回の解析では、NCは院内死亡率の予測因子として有意差を認めなかった。しかしNCは予期せぬICUまたはHCU入室率の予測因子としての有意な傾向を認めた。単施設での研究であり症例数が少ないため、今後は他施設での研究を行う予定である。