ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
- ページ
- 433/910
このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている433ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている433ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-431-O19-4 手術前後の筋量変化のCT 画像による検討1)東京都 都立墨東病院 麻酔科、2)東京都 都立墨東病院 心臓血管外科大西 龍貴1)、高田 朋彦1)、桐野 若葉1)、佐藤 千穂子1)、松永 裕樹2)、三島 秀樹2)、片山 康2)、石川 進2)、鈴木 健雄1)、伊藤 淳2)【目的】周術期のADL低下については廃用による筋量減少などが言われるが、これまで体重や窒素平衡などからの定性的、間接的な判定にとどまっていた。そのため、水分貯留による体重増加や、筋量減少による体重減少などの望ましくない変化を区別できなかった。上記背景に鑑み本研究は周術期の筋量をCT 画像により定量的、直接的に検討するものである。【対象】2012 年1 月から2014年9月に待機的に腹部大動脈瘤開腹手術または血管内手術(ステントグラフト内挿術)を受けた41例。研究デザインは院内倫理委員会で承認された。【方法】手術前、術後1年外来受診時の胸腹部CT 画像で筋量を判断した。胸骨切痕の高さでの大胸筋鎖骨部、恥骨結合の高さでの大腿直筋、それぞれの短径を左右で計測した。計4か所の計測に対して筋力は断面積に比例することから大胸筋径の和と大腿直筋径の和の積を術前後で比較した。筋肉の境界不明瞭の場合は相当部位を計測した。【結果】術前後で筋量は有意な変化が見られなかった。術後筋量は術前との比[90%信頼区間]で0.990[0.963-1.016]であった。言われているように1 年ごと1.5%の筋量減少、測定誤差に5%を見込んだ場合の[0.889-1.086]より狭い範囲であった。術式、麻酔方法による差は認められなかった。【考察】手術によって筋量は減少しないことが示された。適切なリハビリや運動処方によってADLを維持、向上できる可能性がある。【研究限界】腹部大動脈瘤では術前に明示的または心理的に運動制限を課されていた可能性がある。【研究計画】CT画像による筋量計測の再現性について検討したい。O19-5 Neutrophil-to-Lymphocyte Ratioを用いた集中治療の予後解析名古屋大学 大学院 医学系研究科 救急・集中治療医学分野眞喜志 剛、塩屋 悠斗、海野 仁、日下 琢雅、東 倫子、田村 有人、江嶋 正志、沼口 敦、角 三和子、松田 直之【はじめに】好中球数/ リンパ球数比率(Neutrophil-to-Lymphocyte ratio; NLR)は,交感神経緊張や炎症性サイトカイン産生に影響を受ける。ICU管理のNLR と予後についての解析を報告する。 【方法と結果】2015 年4月1日から7月7 日まで,ICU管理を必要とした連続134名の成人症例を対象とした。入室時および第3病日のNLRを測定し,NLRを0-5,5-10,10-15,15以上の4カテゴリに分類し,院内死亡率を評価した。除外患者は,1)16歳未満,2)重症管理以外を目的とした入室,3)複数回入室,4)積極的治療を行わないDNR 症例とした。結果として,入室時のNLR カテゴリと院内死亡率には有意な相関はなかったが、第3 病日及び第7病日のNLRカテゴリと,院内死亡率が相関した(第3 病日 カテゴリ1 vs カテゴリ4 で4.3% vs 40%, 第7病日で 0% vs42.1%)。さらに,入室時から経時的にNLRカテゴリを比較したところ,カテゴリ減少でICU滞在期間および入院期間が短く,増加で長い傾向を認めた。【結語】NLR は重症患者の予後と関連しており,その予後予測に有用であるとともに,低下させる治療が期待される。経時的なNLRの推移からも,ICU滞在期間および入院日数が予測できた。当講座では,長期予後改善バンドルの1ブランチに,NLRの監視を含めている。O19-6 日本における重篤小児の予測致死率算出式(PIM-j.β)の開発1)国立成育医療研究センター 成育社会医学研究部、2)九州大学病院 救命救急センター、3)横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター松本 正太朗1)、賀来 典之2)、六車 崇3)【緒言】予測致死率の算出式は、集中治療の質評価の指標を提供する必要不可欠なツールであり、小児ではPIM2(pediatric riskof mortality 2)が頻用されている。しかしながら、異なる傷病分布・医療体制のもとで作成された予測式を、他集団に適用することは誤った解釈につながりうるため、適用する集団・時代のデータを用いた予測式の開発が必要である。【目的】本邦の医療事情に適した重篤小児症例の予測死亡率算出式の開発【方法】国内3施設(救命救急センター2, 小児専門施設1)のICU入室のうち16歳未満の症例を対象とした。2011~12年のデータから、PIM2と同じ10個の変数を用いて多変量ロジスティックモデルにより新たな予測死亡率算出式を作成。2013~14 年のデータに当てはめて、識別能および適合度をPIM2と比較検討した。【結果】2011~12 年:2464 例( 死亡62 例)、2013~14 年:2190 例( 死亡41 例)。作成した予測式(PIM-j. β ) を[https://goo.gl/77gKmk]に示す。2013~14年の実死死亡率1.9%に対し、予測死亡率(%)はPIM2:新予測式=4.1:2.6。ROC曲線下面積(同0.79:0.80, p=0.5286)、Hosmer-Lemeshow 検定χ 2(同9.9:13.5)であり、識別能、適合度ともにほぼ同等であった。死亡率に最も影響を与えた変数は” 対光反射の消失” であったが、前期・後期で対光反射消失と死亡の関連が大きく異なっていた。【考察】新予測式の識別能・適合度は改善しておらず、対光反射の死亡との関連の違いが、モデルの性能を低下させた可能性がある。診断コード、来院時の臓器障害指標など、より詳細なデータを変数として採用することで、より正確な予測死亡率算出が可能となる可能性がある。一方で、項目数を増加させると入力負荷が過大となるため、バランスのとれた算出式の開発が望まれる。