ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-422-O15-1 救急外来における重症敗血症の初期所見1)名古屋市立大学 医学研究科 先進急性期医療学、2)大阪府立急性期・総合医療センター 救急診療科松嶋 麻子1)、中本 直樹2)、吉川 吉暁2)、藤見 聡2)【背景】 重症敗血症は早期診断と治療が重要であるが、その初期症状は多彩であり早期診断は必ずしも容易ではない。日本集中治療医学会のGlobal Sepsis Alliance(GSA)委員会では、敗血症の早期発見の手がかりとして、38℃以上の発熱、36℃以下の低体温、90 回/ 分以上の頻脈、20 回/分以上の頻呼吸、意識の変容、全身の浮腫、四肢の冷感、低血圧を挙げ、一般市民に対しては、2項目以上を満たす場合に敗血症を疑い病院を受診するように勧めている。今回、救命救急センターに入院した重症敗血症について、救急外来における初期診療所見を見直し、敗血症の早期発見の手がかりを検討した。【方法】 2013年4月から2015年8月に救命救急センターの集中治療室に重症敗血症で入院した患者を対象とした。後方視的に診療記録を見直し初療時のバイタルサインとGSA委員会が提示する基準を比較した。【結果】 対象患者は120例、救急隊により重症病態と判断され三次救急搬送されたのは32 例、重症病態がなく二次救急搬送または独歩で来院されたのは88 例だった。来院時の所見として、38℃以上の発熱または36℃以下の低体温を呈したのは64例(53%)、90 回/分以上の頻脈を呈したのは86例(72%)、意識の変容は61例(51%)、低血圧(収縮期血圧90mmHg以下)は29 例(24%)に認めた。呼吸数は66 例(55%)しか記載がなく、その中で20 回/分以上の頻呼吸は52例(79%)に認めた。全身の浮腫、四肢の冷感についての所見はほとんど記載がなかった。記載がある所見において、来院時に2項目以上の異常所見を呈したのは100例(83%)であった。【結語】 重症敗血症では、救急外来の初療時より、バイタルサインに異常を示していることが多かった。救急外来を受診する患者において、GSAが提示する所見を複数項目認めた場合は重症敗血症も考慮した診療が必要である。口演 15 多臓器不全・敗血症② 2月12日(金) 11:00~12:00 第10会場O15-2 敗血症患者の頻脈性不整脈に対するランジオロールの使用経験1)札幌医科大学 医学部 麻酔科学講座、2)国立病院機構災害医療センター、3)札幌医科大学 医学部 集中治療医学木井 菜摘1)、佐藤 昌太2)、東口 隆1)、巽 博臣3)、升田 好樹3)<はじめに>敗血症では血中カテコラミン濃度が上昇し、血圧上昇や臓器血流灌流量の維持を図る一方、adrenercic stressにより心機能抑制や難治性の頻脈性不整脈が生じることがある。塩酸ランジオロール(以下ランジオロール)は,超短時間作用性でβ1選択性の高い遮断薬であることから様々な場面での応用が期待されているが,敗血症性ショック時の頻脈性不整脈への使用は安全性や有効性について十分に検討されていない。今回、当院ICU にて敗血症性ショック患者に対するランジオロールの安全性と有効性について後ろ向きに検討したので報告する。<方法>当院ICUにて2013年1月から2014年12月までの2年間に敗血症性ショック治療中に頻脈性不整脈治療のためランジオロールを使用した患者を対象とした。<結果>調査期間内の対象症例は19例であった。6 時間輸液量は39.3 ± 30.3ml/kg、24 時間輸液量は123.5 ± 79.1ml/kg、 24 時間Lac クリアランスは21.9 ± 40.6 % だった。APACHEIIスコアは23.1 ±4.9点であった。使用開始時ランジオロール投与量は2.6±1.9μg/kg/minで、平均使用日数は5.6 ±3.9日であった。ノルアドレナリンを併用した症例は8例あり投与量は0.12 ±0.07μg/kg/minであった。使用開始時の不整脈は洞性頻脈6例、心房細動13例だった。投与前後で血圧に有意な変化は見られなかったが(p=0.1045)、心拍数は有意に減少した(p<0.0001)。危機的血圧低下があり使用を中止した症例はなかった。心房細動13 例のうち11例(84.6%)が洞調律に回復した。<結果>蘇生開始後十分な輸液管理を行う事により、有意な血圧低下を伴わず、rate controlおよび高い洞調律化が可能であり、敗血症において安全に用いることができる可能性が示唆された。O15-3 β遮断薬服用患者の敗血症の生命予後は良好である1)旭川医科大学 救急医学講座、2)旭川医科大学 集中治療部岡田 基1)、柏木 友太1)、鷹架 健一1)、中嶋 駿介1)、林 健太郎1)、長島 道生2)、小林 厚志1)、西浦 猛1)、小北 直宏2)、藤田 智1)【背景】敗血症におけるβ遮断薬の有効性が示唆されているが、ヒトでの有効性は必ずしも示されていない。一方、心不全や虚血性心疾患においてβ遮断薬は生命予後を改善させることがすでに知られている。【目的】平成26 年1 月より平成27 年6 月までに旭川医大救命救急センターに敗血症と診断されて入院した患者27名のうち、β遮断薬をすでに服用している群(BB)11 名としていない群(NB)16 名で、患者背景と予後を検討した。【結果】敗血症の原因は、肺炎と尿路感染がそれぞれBB: 45.5, 45.5%, NB:43.8%, 50% だった。平均年齢はBB: 76.8 ± 9.9 歳で男性63.6%、NB: 69.0 ± 19.9 歳で男性37.5%だった。β遮断薬の種類と投与量はビソプロロール7 例(平均1.8mg)、カルベジロール2例(2.5mg)、その他2 例であった。BB 群は全例心不全と診断されており、入院時のNT-proBNP はBB: 1807.8 ± 225.1pg/ml と著明な上昇であったのに対し、NB: 92.5 ± 17.7pg/ml と正常範囲だった。入院時脈拍数はBB: 107.4± 21.8, NB: 114.4± 22.4/ 分、CRP値はBB: 12.7± 13.7, NB: 12.5± 9.8mg/dlで差はなかったが、プロカルシトニン値はBB: 6.1 ± 3.1, NB: 12.9 ± 5.3ng/mlでNB 群が高値を示した。転院・退院までの平均在院日数はBB: 17.7± 5.4日に対して、NB: 7.2 ±1.6 日と優位に短かったが、これはBB 群での透析例が3例(27.2%)含まれていることに影響された。興味深いことに、NB群で敗血症性ショック4例(25%)の全例が死亡例だったのに対し、BB群ではショック1例を認めたが死亡例はなかった。【結語】β遮断薬をすでに使用している患者は、高齢男性で多く心不全を合併しているにもかかわらず、敗血症の生命予後は良好である可能性が示唆された。