ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-417-O12-4 Persistent inflammation, immunosuppression and catabolism syndrome(PICS)発症の関連因子についての検討1)日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター、2)日本医科大学付属病院 高度救命救急センター岡田 一宏1)、齋藤 伸行1)、柴田 あみ1)、久城 正紀1)、阪本 太吾1)、八木 貴典1)、原 義明1)、松本 尚1)、横田 裕行2)【背景】外傷後にICU 長期滞在、繰り返す感染症、低栄養を伴うタンパク異化亢進、管理可能な臓器障害を呈するPICS という病態が近年提唱された。しかし、その発症に関連する因子はいまだ明らかにされていない。【方法】2011年8月~2014年12 月まで当院ICU に10 日間以上入院した外傷患者を診療録より後方視的に抽出した。これらのうち(1)ICU入室後10日目のCRP >10 mg/dL、(2)ICU入室後10 日目のアルブミン < 2.5 g/L、(3)複数回の感染のエピソード、のうちすべてを満たした症例をPICS群、それ以外をnon-PICS 群として予後の比較を行った。次に、PICS群の関連因子を単変量解析にて抽出し、ロジスティック回帰にて解析を行った。【結果】対象は60例であり、うちPICS群は19例(31.7%)であった。年齢は中央値60歳(IQR: 44 - 71.5)、ISSは中央値34.5(IQR: 29 - 41)であった。PICS群ではnon-PICS 群に比し、入院死亡率が有意に高く(p = 0.031)、28 日間のventilatorfree days が有意に短かった(p = 0.021)。単変量解析ではICU入室後10 日以内の感染のエピソード、ICU入室後7 日以降の経腸栄養開始が有意にPICS と関連しており、ロジスティック回帰では年齢、ISSで補正したオッズ比はそれぞれ25.2(95%CI: 4.08 -156.02)、28.9(95%CI: 2.21 - 378.41)であった。【結論】PICS 群はnon-PICS 群と比較し、入院死亡率が高く、長期の人工呼吸器装着を要した。PICSの発症についてはICU入室後10日以内の感染と経腸栄養開始の7日以上の遅延が有意に関連していた。入院早期の積極的な感染予防や早期経腸栄養開始がPICS の発症を予防できるかについては今後の研究課題である。O12-5 尿中尿素窒素排泄量を指標に栄養を管理した80%重症全身熱傷の一症例1)浜松医科大学 麻酔蘇生学講座、2)浜松医科大学 集中治療部川島 信吾1)、鈴木 祐二2)、加藤 弘美2)、成瀬 智1)、御室 総一郎1)、土井 松幸2)、中島 芳樹1)【はじめに】重症熱傷患者は長期間過大侵襲下にあり、代謝動態が大きく変化する。炎症反応やエネルギー消費量の増大に対応するために内因性エネルギーとして筋肉からエネルギー基質が動員され、異化亢進状態となる。窒素不足状態が過大となると体蛋白の消耗や免疫担当細胞の活性低下により,治癒が遷延し予後が悪化する。今回、重症熱傷患者の尿中尿素窒素排泄量(UUN)を指標にして行ったので報告する。【症例】36 歳男性。身長170cm、体重70kg。既往歴に心室中隔欠損症手術、3年前より鬱病。自宅にて自殺目的で灯油に火をつけ全身に86%熱傷を受傷。近医に救急搬送され、緊急の減張切開術を施行されたが重傷熱傷患者の治療が困難なため、当院に搬送されICU に入室した。人工呼吸管理にて大量補液行い、中心静脈、動脈圧ラインを確保後、経管栄養用の小腸チューブを挿入し、入室当日より経管栄養を開始した。窒素、総エネルギー投与量の指標として、UUNを連日測定し,正の窒素バランスを目標に経腸栄養剤(ぺプタメンAFR)を中心として投与した。UUNは45 日後に最大35 g/日となり,62 日間のICU入室期間中は10-30 g/ 日の高値を示していた。最大投与窒素量は 37.7 g/日,カロリーは4,000kcal/ 日にもなったが、明らかなBUNの上昇や高血糖を起こすことなく管理できた。血清トランスサイレチン濃度は10-22 mg/dl であった。重症熱傷患者であるにもかかわらず、数回に及ぶ手術にも創部や全身の大きな感染トラブルもなく良好な経過となった。【結論】重症熱傷患者の栄養管理においてUUN のモニタリングは窒素,総エネルギーの投与量の指標として有用であった。O12-6 高齢者急性硬膜下血腫に対する緊急血腫除去術の工夫による早期リハビリテーション1)国立病院機構 福岡東医療センター 脳血管センター、2)福岡大学病院 救命救急センター、3)福岡大学病院 脳神経外科重森 裕1,2,3)、大蔵 裕子2)、長島 亮太郎2)、鈴木 祥子2)、西田 武司2)、岩朝 光利1,2,3)、石倉 宏恭2)【はじめに】急性硬膜下血腫(以下、ASDH)はこれまで広範囲減圧開頭術が施行されていた。その一方で、近年、極小開頭術でも症例によっては神経学的予後が良好との報告が散見される。今回我々は、75 歳以上の高齢者ASDH に対する内視鏡下小開頭血腫除去術の適応について検討を行った。【対象と方法】2011 年4 月から2014年9 月までに当院救命救急センターに入院したASDH症例は72 例で、このうち、75歳以上の28 症例を対象とし、内視鏡下小開頭血腫除去術を施行した症例について後方視的に検討を行った。【結果】対象は11 例。入院時のGCS 中央値は9.9(3-15)、退院時GCS は死亡例を除いて全て改善していた。手術時間の中央値は92.5(50-222)分であり、死亡例を含む在院日数の中央値は、9.3(1-27)日であった。退出時GOS は、GR=2 症例、MD=3症例、SD=3 症例、VS=1症例、D=2 症例であり、全例が翌日からリハビリテーション開始可能であった。【結語】様々な基礎疾患を持つ可能性が高い高齢者ASDH症例は、予後不良である事が知られている。そのため早期にリハビリテーションを開始する事は、合併症を減少させ転帰に大きく影響する可能性がある。高齢者ASDHに対する内視鏡下小開頭血腫除去術は、術後リハビリテーションを早期に行うことを可能にし、治療法の一手段として有効であると考えられた。