ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-415-O11-4 食道穿孔の治療に胸部大動脈ステントグラフト内挿術を併用した3 例1)手稲渓仁会病院 麻酔科集中治療室、2)手稲渓仁会病院 感染症科上村 亮介1)、山口 春子1)、秋本 貴子2)、横山 健1)、片山 勝之1)胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(以下TEVAR)は低侵襲であることから急速に普及した。近年は、大動脈瘤自体の治療以外への応用もなされ、その有用性の報告は散見される。今回我々は、食道穿孔の治療に際してTEVARを併用した3 例を経験したため報告する。症例1 84歳女性。大動脈弓部置換術を施行された8ヶ月後に繰り返す発熱があり、精査にて食道穿孔が判明した。人工血管感染が疑われ、大動脈破裂のリスクが高いことから再手術が考慮されたが、再置換のリスクは高いと判断した。TEVARを先行して行い、2日後に食道抜去、大網充填を施行した。全身状態は改善し、約5ヶ月後に食道再建を行い、自宅退院した。症例2 77歳男性。大動脈弓部置換術を施行された1年後に人工血管感染発症し、抗菌薬にて加療されていたが、経過中に食道穿孔を来した。症例1 と同様に、TEVAR、食道抜去が予定されたが、予定手術前に感染のコントロール不良となり、ショック状態となった。緊急手術となり、一期的にTEVARと食道抜去を行った。人工呼吸からの離脱は困難で、リハビリ目的に転院となった。症例3 85 歳男性。魚骨による食道異物にて当院へ搬送された。魚骨は上部消化管内視鏡にて摘出されたが、2 日後から吐下血が出現した。魚骨による食道穿孔と大動脈食瘻と診断された。高齢、塵肺があることから、侵襲度を勘案しTEVARを選択した。その後保存的に食道穿孔は改善し、自宅退院した。食道穿孔にて大動脈破裂の危険性がある場合や大動脈食道瘻のケースでは、早期の出血のコントロールと感染の制御が肝要である。根治的外科治療が望まれるが、侵襲度が高い。高齢者や合併症を持つ患者においてはTEVARを併用する事が有用である可能性がある。O11-5 急性肺血栓塞栓症の予後と,症状出現から治療までの時間についての検討1)日本医科大学千葉北総病院 循環器センター、2)日本医科大学千葉北総病院 集中治療室、3)日本医科大学付属病院 循環器内科宗像 亮1)、栗原 理1)、岡崎 大武2)、鶴見 昌史2)、小林 宣明2)、品田 卓郎1)、高野 雅充2)、畑 典武1)、清野 精彦1)、清水 渉3)【目的】 急性肺血栓塞栓症(APE)の予後は、決して良好とはいえず、APEの疑いがあれば早期に抗凝固療法が勧められている。症状発現から治療までの時間とAPEの予後と関連を検討したものは少ないため、検討を行った。【方法】 1996 年3 月から2013 年12月までAPEと診断し入院した108 例(男性34.3%, 平均年齢 61 ±14 歳)を登録した。症状発現から医療機関を受診し治療が開始されるまで48時間以上要した群(DL群)と48時間以内で治療開始された群(P 群)に分け、臨床背景、入院時所見、血行動態、院内予後を検討した。【成績】 院内死亡は108 例中16 例(14.8%)であり,DL群の死亡率は42 例中11例(26.2%)とP 群66例中5例(7.6%)に比し有意に高かった(p=0.008).また、DL群では有意に男性、入院時の心拍数、ヘモグロビン値が高かった(47.6vs 25.8%; p=0.024, 90.5 vs 68.2%; p= 0.007, 96.3 vs. 79.5 / bpm; p=0.006, 13.0 vs 11.9 g/dl, p= 0.024, 各々)。年齢、深部静脈血栓症の合併率、重症広汎型の肺動脈血栓塞栓症合併率、入院時収縮期血圧、PaCO2 とPaO2 / FiO2 比については、両群間で差を認めなかった(61.8 ± 12.6 vs. 59.7 ± 16.3 歳; p=0.45, 73.4 vs 79.2%; p= 0.493, 23.8 vs. 22.7%; p=0.89, 108 ± 47 vs. 110 ± 36 mmHg,36.4 ± 17.2 vs. 35.9 ± 9.5 Torr ; p=0.85, 229 ± 123 vs. 234 ± 117 ; p=0.10).多変量回帰分析において、症状発現から治療介入までの時間が長いことは、院内死亡の独立した危険因子であった(オッズ比4.6,95% 信頼区間 1.2 - 17.7, p = 0.025.年齢、性別、心拍数、重症度で補正)。【結論】症状発現から治療介入までのタイミングとAPEの予後について検討し、良好な予後を得るためには早期受診と診断、迅速な治療介入が重要であることが示唆された。O11-6 慢性血栓塞栓性肺高血圧症の8 症例の検討名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野塩屋 悠斗、東 倫子、海野 仁、日下 琢雅、田村 有人、江嶋 正志、沼口 敦、角 三和子、松田 直之【はじめに】慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)は,肺動脈が器質化血栓により慢性的に閉塞を起こし,肺高血圧症による呼吸不全と循環障害を認める病態である。CTEPHの8症例の診断と治療に関して報告する。【症例】症例は,男性2 例,女性6 例の平均年齢46(37~73)歳の8 症例であり,初発症状はすべて呼吸困難だった。胸部X線像,心電図,心エコー図において,肺高血圧症と右心不全所見を認めた。肺動脈カテーテルによる肺動脈圧は,平均79.5±11.5 /44.5±18.5 mmHgだった。肺動脈造影では,区域性もしくは亜区域性の肺動脈狭窄ならびに動脈先細り像,動脈壁不整像,血管中断像を認めた。全例にワーファリンを投与し,PT-INRを平均1.95±0.43に調節した。その他,全例に利用薬と抗エンドセリン受容体薬を投与した。一方,さらに8例中6 例にはグアニル酸シクラーゼ活性化薬を投与したが,肺血圧の改善が乏しく,経皮的肺動脈形成術(balloon pulmonary angioplasty:BPA)を施行することで改善した。【結語】私たちの集中治療管理の検討では,CTEPHに対して内科的治療はほぼ無効であり,経皮的肺動脈形成術等が必要となると評価された。が見込めるため,早期診断と集中治療による右心不全の治療と併行して,BPAによる外科的加療のセッティングを考慮する。