ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-414-O11-1 急性A 型大動脈解離患者に対する初期大量輸血療法が術後の臨床転帰に及ぼす影響1)福岡大学病院 救命救急センター、2)福岡大学病院 心臓血管外科佐光 英人1)、仲村 佳彦1)、峰松 紀明2)、和田 秀一2)、田代 忠2)、石倉 宏恭1)【目的】急性A型大動脈解離において、大量輸血療法を実施した症例の術後ICU管理および臨床転帰に及ぼす影響を検討する。【対象と方法】2013年4月から2015年3月までの期間に、急性A型大動脈解離にて緊急人工血管置換術が施行され、術後28日以上生存していた連続37 症例を対象とした。今回の検討において、大量輸血療法は術前から24 時間以内に赤血球、新鮮凍結血漿、血小板の総輸血量が40 単位/m2以上と定義とした。対象症例を通常輸血療法群(UT 群:22 例)と大量輸血療法群(MT 群:15 例)の2群に分類し、術後ICU管理およびWHO performance status(PS)を用いた術後90日目までの臨床転帰を比較検討した。【結果】MT 群(68 ± 23 単位/m2)は、UT 群(30 ± 6 単位/m2)と比較し、平均年齢は有意に高かったが、その他の術前患者背景に有意差は認めなかった。また、MT群では1 日平均利尿薬投与量が多く(9.0mg/日vs.20.5mg/ 日, p<0.05)、人工呼吸器離脱までの期間が長く(5.0 日vs.10.3 日, p < 0.001)、ICU 滞在期間が長かった(7.6 日vs.12.7 日, p < 0.001)。臨床転帰に関して、MT 群はUT 群と比較し、術後30 日、60 日、90日後のWHO PS による臨床転帰に有意差を認めた(UT群vs.MT群=2.3vs.3.1, p < 0.001; 1.4vs.2.2,p < 0.05; 0.6vs.1.5, p < 0.001)。【結論】急性A 型大動脈解離における初期大量輸血療法は、術後ICU 管理ならびに亜急性期の臨床転帰に多大な影響を与える。口演 11 心臓・循環・体液管理② 2月12日(金) 11:00~12:00 第8会場O11-2 急性B 型大動脈解離後の急性腎障害と院内合併症の関連東京都済生会中央病院 循環器科高橋 寿由樹、平田 直己、中川 晋【目的】様々な疾患で急性腎障害(AKI)が予後に悪影響を及ぼすことが知られている。本研究の目的は、急性B型大動脈解離(ABAD)後のAKI 発症の規定因子、およびAKIと院内合併症の関連を明らかにすることである。【方法】発症48 時間以内に入院したABAD患者のうち、透析例(n=1)、破裂による死亡例(n=2)を除いた連続56例を対象とした。AKIはKDIGOの基準を用い、血清クレアチニン(Cr)値0.3 mg/dl以上の上昇(48時間以内)、あるいは50%以上の増加と定義した。AKI群と非AKI 群で患者背景因子、解離の範囲、偽腔開存の有無、白血球数、CRP値、血糖値、Cr値、院内合併症(臓器虚血、急性肺障害など)、慢性期腎機能について比較検討した。【成績】非AKI 群(n = 36)と比べて、AKI 群(n = 20)では入院時Cr 値が高く(0.7[0.6-0.8]mg/dl vs 1.0[0.9-1.2]mg/dl, p=0.0002)、高血圧が多かった(67% vs 95%, p=0.02)。糖尿病は両群で同等であったが、入院時血糖値はAKI 群で高値であった(129[113 - 154]mg/dl vs 149[137 - 161]mg/dl, p = 0.02)。入院時白血球数、CRP 値には差がなかったが、最大白血球数(11,550[9,350-13,000]/μl vs 14,350[11,800-16,900]/μl, p=0.009)、最大CRP値(11.0[6.3- 16.3]mg/dl vs 19.7[11.2-24.3]mg/dl, p = 0.02)はAKI群で高値であった。院内合併症はAKI 群で高率に認め(39% vs70%, p = 0.03)、退院時Cr 値は高値であった(0.9[0.7- 1.0]mg/dl vs 1.1[1.0 - 2.0]mg/dl, p = 0.0001)。多変量解析では、入院時Cr 値と腎動脈への解離進展がAKI 発症の強力な規定因子であった。【結論】ABAD では、入院時の腎機能および腎動脈への解離進展がAKI 発症の独立した予測因子となり、AKI合併例では炎症反応上昇とともに院内合併症が高率に認められた。O11-3 腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術後の短期集中治療によるtype II エンドリーク減少効果1)手稲渓仁会病院 心臓血管外科、2)手稲渓仁会病院 麻酔科栗本 義彦1)、氏平 功祐1)、西岡 成知1)、伊庭 裕1)、丸山 隆史1)、八田 英一郎1)、山田 陽1)、中西 克彦1)、横山 健2)【目的】腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR)では一定の頻度で腰動脈からの逆流によるtype IIエンドリーク(II-EL)が術後残存し遠隔期に瘤径拡大に至る事が最大の問題となっている。ステントグラフトの種類により術後集中治療室にて開始する短期間の降圧管理によりII-EL 減少が得られる事を報告する。【方法】2013年よりEVAR 直後1 日目を集中治療室にて観血的動脈圧モニターのもと平均血圧を75-90 mmHg への降圧管理を開始し、術後2日目は病棟にて間歇的な血圧管理を施行した。降圧管理治療群(治療群, n=65)と2012 年までに施行した術後降圧未介入群(対照群, n=62)間で術後6ヶ月時点での造影CT によるII-LE の頻度を比較した。【成績】治療群と対照群間で年齢、性別、抗凝固剤 / 抗血小板剤の内服は76.2才, 76.1才、男性93.8%, 85.5%、9.2% / 53.8%, 17.7% / 53.2%と差を認めなかったが、使用したグラフトはExcluder / Powerlink / Endurant で29.2%/ 12.3%, 58.5%, 25.8% / 32.3% / 41.9%と治療群でEndurant を多く使用していた(p=0.023)。術後6ヶ月でのII-LE残存率は治療群と対照群で15.4%, 33.9% であり、降圧により減少した(p=0.002)。多変量解析によりII-LE 残存因子は降圧(odds ratio 0.32)、Powerlink(OR 0.26)、Endurant(OR 0.18)であった。グラフトの層別解析によりExcluder使用群ではII-LE発生率は降圧管理により75.0% から15.8% へ大きく改善されたが(p=0.001)、Endurant 使用群では効果は少なかった。【結論】EVAR 術後2 日間の軽度降圧管理によりExcluder を用いたEVAR術後のtype II エンドリークの減少が得られた。低侵襲治療のEVAR であっても術直後の集中管理により遠隔成績改善の可能性が示唆された。