ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-412-O10-1 敗血症性DIC 症例のプロテインC 値の変動と転帰1)日本大学 医学部 救急集中治療医学分野、2)日本大学病院 救急科千葉 宣孝1,2)、齋藤 豪1,2)、櫻井 淳1,2)、木下 浩作1)【目的】敗血症性DIC例におけるプロテインC値の変動率と転帰について検討した。【方法】対象は,敗血症性DIC を発症した117例とし,DIC発症時と5日後のプロテインC(PC)値を測定した。【結果】117例のうち51例が死亡した。転帰とPC変動率の関係は,死亡群と比較して生存群で有意にPC変動率が上昇していた(PC変動率中央値:50.0% vs. -11.5%,P<0.001)。年齢,性別,カテコラミン製剤,AT 製剤の使用,持続的腎代替療法を含めた転帰に対する多変量回帰分析では,PC変動率は転帰に対する独立した予測因子であった(オッズ比;0.88)。転帰に対するPC 変動率のROC曲線のROC下部面積は,0.81 で,PC変動率23%が感度+特異度の最高値を示した。【結論】DIC発症後のPC変動率は,敗血症性DIC例の死亡を予測する有用な因子で,そのカットオフ値は23%であった。口演 10 多臓器不全・敗血症① 2月12日(金) 13:30~14:30 第7会場O10-2 トロンボモジュリン遺伝子多型が重症敗血症の病態および転帰に与える影響1)千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学、2)久留米大学医学部 救急医学、3)東京医科大学八王子医療センター 特定集中治療部、4)兵庫医科大学 救急・災害医学、5)君津中央病院 救急・集中治療科、6)千葉大学 バイオメディカル研究センター渡邉 栄三1)、坂本 照夫2)、高須 修2)、池田 寿昭3)、小谷 穣治4)、北村 伸哉5)、寺竹 洋一6)、幡野 雅彦6)、織田 成人1)【背景】重症敗血症の転帰への遺伝子多型の関与が多く報告されている.一方近年,敗血症性播種性血管内血液凝固症(DIC)の病態が治療対象として注目されてきた.【対象・方法】2001年より2008年までの当 ICU入室重症敗血症患者125例(導出コホート),および2008 年より2012 年までの上記5 施設ICU入室重症敗血症患者268 例(検証コホート),の二つの重症敗血症コホートを設定した.遺伝子多型としては,DICの背景病態において重要な役割を担うとされるトロンボモジュリンの遺伝子(THBD)に注目し,その一塩基多型(SNP)を13 種類搭載したSNP チップ(Asper Biotech社製)を用いて,遺伝子多型解析を行った.また転帰に関してgenotype別に有意差を認めたpromoter SNPに対してルシフェラーゼ・アッセイを行った.【結果】導出コホートにおいて,THBD の転写開始点より1748 bp 上流のpromoter 領域に位置するrs2239562 のSNP(-1748*G/C) においてminor allele であるCallele の保有が,死亡率低下に有意に関与していた(p=0.033).この傾向は検証コホートでも維持され,2 つの統合コホートでも尚有意に関与していた(p=0.028).その結果を受けて,ルシフェラーゼ・アッセイでpromoter活性を比較したところ,単球系,血管内皮系いずれのcell line においても,G よりもC allele の方が有意にpromoter活性が上昇していた(p < 0.02)【結語】重症敗血症患者の転帰にTHBD多型が関与しており,それによって生じたTHBD発現の相対的上昇が重症敗血症転帰に有利に働いた可能性がある.この情報は,今後重症敗血症患者へのトロンボモジュリン製剤の投与対象を検討するうえでも注目すべきものと考えられる.O10-3 DIC を伴った尿路感染症患者に対するAT3およびrTM 投与の効果:DPCデータを用いた検討1)産業医科大学 医学部 救急医学講座、2)産業医科大学 医学部 公衆衛生学大坪 広樹1)、村松 圭司2)、岡田 祥明1)、米良 好正1)、弓指 恵一1)、高間 辰雄1)、久保 達彦2)、古屋 智規1)、松田 晋哉2)、真弓 俊彦1)【背景】アンチトロンビン3(AT3)およびリコンビナントトロンボモジュリン(rTM)は、その有用性の根拠が不十分で、Surviving Sepsis Campaign Guidelines 2012では推奨されていない。そこで我々はDPCデータを用いてDICを伴ったと考えられる尿路感染症(UTI)患者を抽出し、AT3 およびrTMの効果を検討した。【方法】2010~2012年度DPC 研究班調査データを解析対象とした。DPC6 桁分類が敗血症もしくはDIC で登録された患者で、ICD-10コードにUTIと考えられる疾患が病名として登録された患者を抽出(n=26938)し、その中でDIC を来たした患者(n=4380)を対象症例とした。対象患者をPropensity scorematching の手法を用いて患者背景を揃え、AT3 およびrTM 使用の有無で在院中死亡率の比較を行った。【結果】DIC を伴うUTI患者において、在院中死亡率はAT3 使用群(n=1,246)がAT3 非使用群(n=1,246)に比べて有意に低かった(26.7% vs. 31.9%, P<0.01)。また、rTMに関しても、rTM使用群(n=560)がrTM非使用群(n=560)に比べて在院中死亡率は有意に低かった(24.6% vs. 33.6%, P< 0.01)。【結語】DICを伴うUTI患者においてAT3およびrTM投与が予後を改善する可能性が示唆された。