ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-405-O6-4 ST上昇型急性心筋梗塞症における適切なDoor-in to Door-out Time の検討済生会熊本病院 心臓血管センター 循環器内科永野 雅英、西上 和宏、中尾 浩一、坂本 知浩【目的】ST上昇型急性心筋梗塞症(STEMI)では, 梗塞範囲を狭く抑えるためにも、できるだけ早い再還流療法が必要である. 現在時間指標としてdoor-to-balloon(DTB)timeが広く使われているが, あくまでもPCI施設内での時間経過のみであり, PCI 施設に来院するまでの非PCI施設や搬送にかかる時間は考慮されていない. 最近では非PCI 施設での時間経過を検討したdoor-in to doorout(DIDO)time が注目されている. 今回当院に紹介されたSTEMIでのDIDO time の有用性について検討した.【方法】2013 年に非PCI 施設から当院に紹介搬送されたSTEMI患者は60名であった. エンドポイントは院内死亡および冠動脈イベントの再発とした.【 結果】DIDO timeの中央値は70.5分であった. DTB timeとDIDO timeの間に有意な相関は認めなかった. 推奨DIDO time30 分以内を満たすものは10%のみであったが, 推奨DTB time 90 分以内を同時に満たすものはさらに少なかった(6.7%). DIDOtimeを中央値で分け, DIDO timeが長い群と短い群で予後を比較した. 単回帰分析では高齢(OR 1.117; p=0.041), うっ血性心不全(OR 32.800; p=0.002), 長いDIDO time(OR 10.545; p=0.032)がエンドポイントの有意な予測因子であった. 【結論】DIDO timeを短縮させることは、院内死亡等の予後改善に役立つ可能性がある.O6-5 当院に来院した心原性院外心停止における冠攣縮の頻度と特徴についての検討1)聖路加国際病院 救急部、2)聖路加国際病院 臨床疫学センター羽田 佑1)、望月 俊明1)、大出 幸子2)、石松 伸一1)【背景】当院ではCPA で来院し、蘇生後脳低温療法を施行する患者に全例CAG を施行する。冠動脈狭窄がない場合に急性期Ach負荷試験の施行の是非には議論がある。しかし冠攣縮の関与が不明なまま脳低温療法中に再度心停止を生じる危険性が報告されており、当院でも同様の症例を経験した。【目的】当院における心原性院外CPA の原因として冠攣縮が関与した頻度を調査する。それらに共通する背景因子及び、冠攣縮の早期発見に関わる因子を検討する。【方法】2005 年3 月1 日から2014 年7月31 日の期間に院外CPAで当院に来院した患者から、蘇生後入院となりCAGとAch負荷試験をともに行い原因が同定された患者を抽出し、冠攣縮群とそれ以外の群にわけ各因子を比較した。小児、外傷原因、中枢原因は除外した。統計手法は単変量解析には、カイ二乗検定とMann-Whitney のU検定、多変量解析にはアウトカムを冠攣縮とした多重ロジスティック回帰分析を用いた。【結果】院外CPA2604 名中、CAG を施行したのは199例で、Ach 負荷試験ともに行ったものは50 例であった。心原性院外CPA の中で、冠攣縮群は19例(10%)で、非冠攣縮群は31例(15.6%)あった。CPAを来す冠攣縮の特徴としては、単変量解析では高齢(p=0.009)、低身長(p=0.032)、高血圧既往(p=0.001)にて有意な差を認めたものの、多変量解析では高血圧既往(p=0.037)にのみ有意な差を認めた。【結語】心原性院外CPAの原因として冠攣縮は10%を占める。これらを早期に検出する因子として高血圧既往の影響が強く関連している可能性はあるが、年齢、身長については今後慎重な分析が必要である。O6-6 急性冠症候群におけるドクターヘリ搬送症例の臨床的特徴日本医科大学 千葉北総病院 集中治療部西郡 卓、小林 宣明、澁谷 淳介、塩村 玲子、岡崎 大武、鶴見 昌史、品田 卓郎、松本 尚、畑 典武、清水 渉【目的】急性冠症候群におけるドクターヘリ(Helicopter emergency medical service, HEMS)使用の現状やその妥当性に関して十分な検討はなされていない. 【方法】急性冠症候群で入院した症例のうち, HEMSで搬送されたHEMS 群176例とその他の手段で搬送・受診したNon-HEMS 群 1011 例の比較を行った.【成績】HEMS 群はNon-HEMS 群に比較し有意に若年で(65 才 vs 67 才, P=0.013), 男性が多く(85%vs 78%, P=0.04), 前駆症状を有さない例が多く(34% vs46%, P=0.004), 来院までの時間が短かった(98分 vs 273分,P<0.001). またHEMS群でST上昇型心筋梗塞の頻度(72%vs 57%, P=0.002), Killip IVの頻度(17% vs 8%, P<0.001)が多かった. 【結論】HEMSはACSにおいて突然発症の重症例を適切に選別し早期に医療機関へ搬送しており, その適正使用が確認された.