ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-404-O6-1 うっ血性心不全急性期に合併した急性腎障害の予後分析; KDIGO基準を用いて岐阜県総合医療センター 循環器内科吉眞 孝、野田 俊之、荒井 正純、谷畠 進太郎、小野 浩司、廣瀬 武司、岩間 眞、小島 帯、割田 俊一郎、加藤 崇【背景・目的】うっ血性心不全急性期の急性腎障害(AKI)の合併は生命予後と関連するといわれている。AKI の診断には、RIFLE、AKIN、KDIGOといった複数の基準が存在する。最新の基準であるKDIGO基準は他に比べて感度が高く今後の普及が見込まれるが、うっ血性心不全患者へKDIGO 基準を用いてAKI を診断した報告は少ない。 【対象・方法】2012 年1 月から2015年2月に当院CCUに入院したうっ血性心不全患者493 例を対象とした。急性冠動脈症候群例ならびに急性期冠動脈造影施行例、右心不全例、維持透析例は除外した。KDIGO基準を用いて入院早期のAKIを診断し、院内死亡率と入院日数との関連を検討した。【 結果】1:入院後7日間でのAKI合併についてKDIGO基準により判定したところ、nonAKIは283例、stage1は155例、stage2は39例、stage3 は16 例であった。2: 院内死亡率はnon AKI で3.28%(9 例)、stage1 で10.32%(16 例)、stage2 で17.95%(7 例)、stage3 で31.25%(5 例)であった。3: 平均在院日数はnon AKI で23.17 ± 15.79、stage1 で28.22 ± 21.51、stage2 で33.13 ± 25.44、stage3 で54.31 ± 39.73であった。4: 院内死亡率に関して、多変量解析を用いて分析すると、高齢、虚血性心疾患の有無、入院時血圧、AKI合併が予後予測因子として有意であった。AKI合併の影響はオッズ(95%信頼区間):4.67(1.93-11.3)であった。【結語】うっ血性心不全例に対してのKDIGO 基準を用いたAKI診断は、院内死亡率ならびに在院日数の予測因子となりうることが確認された。口演 6 心臓・循環・体液管理① 2月12日(金) 11:00~12:00 第5会場O6-2 FinGraphを用いた指先採血によるNa、K濃度と静脈採血によるNa、K 濃度の比較試験1)日本医科大学 武蔵小杉病院、2)日本医科大学付属病院曽根 教子1)、高木 宏治1)、徳山 榮男1)、菊池 有史1)、石川 昌弘1)、佐藤 直樹1)、清水 渉2)電解質異常を伴う疾患は様々であり、時に緊急対応を要する。救急医療現場においては、その異常を迅速に検知することは、初期治療および刻々と変動する病態の状態を把握に不可欠である。Fingraph は血糖測定に準じた方法により、指先穿刺による採血で、1 分間で血中ナトリウムとカリウム濃度の測定が可能であり、臨床的に有用であると考えられる。しかし、患者においてその精度は十分に検証されていない。そこで当院内科・循環器科の患者を対象に、Fingraph による測定値と静脈採血による測定値の比較を行い、測定精度を検証した。対象:内科・循環器科に受診、または入院した患者102名。結果:全測定値で比較検討した結果、ナトリウム値(r=0.826, 95%信頼区間[0.752-0.879], P値<0.001)、カリウム値(r=0.603, 95%信頼区間[0.463-0.714], P値<0.001)といずれももそれぞれ有意な相関が認められた。結語:FinGraphは低侵襲かつ迅速に測定可能であり、それによって得られたナトリウム値、カリウム値は実臨床でも有用であることが示唆された。O6-3 CONUT scoreは急性心不全入院患者における感染症発症の予測因子となりうる呉医療センター瀬川 貴嗣【目的・背景】入院を必要とした心不全患者の死因の解析では、非心血管死が23%に及び、その内訳として感染症はがんと並んで主要な死因の一つであった(Circ J 2012;76:1662-1669)。そこで我々は急性心不全患者の入院中の感染症発症の予測因子について検討した。【方法】対象は当院の救急病棟に緊急入院となった急性心不全患者323人で年齢 79.5 ± 11.3歳, 男性は50.5%であった。抗生剤治療を必要とする感染症の有無、ならびに関連する背景因子として、年齢, 性別, 既往歴, Ejection Fraction(EF), Na,BUN, Cre, Hb, BNP などの各種心不全関連因子、入院時の栄養状態をカルテ記録から後ろ向きにコホート調査を行った。栄養状態に関しては、CONUT score により評価した。【結果】入院中102 人(31.6%)に感染症を発症した。単変量解析では感染症発症と有意に関連した因子は年齢, 脳卒中の既往, EF, Hb, Killip 分類, CONUT scoreであった. 多変量解析ではCONUT scoreは前述の因子と独立して有意な関連性を示した。ROC 解析にてCONUT score の至適カットオフ値は5 点(AUC: 0.7)でありCONUT score≧ 5の多重ロジスティック解析における調整Odds比は5.7(95%信頼区間 2.9 - 11.5)であった。【結論】急性心不全入院患者においてCONUT scoreを用いた栄養評価は各種心不全指標と独立して入院中の感染症発症の予測因子と考えられた。特にCONUTscore≧ 5 の低栄養な急性心不全患者はハイリスクと考えられ注意が必要である。