ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-402-O5-1 集中治療領域における専従療法士体制が及ぼす影響総合病院 国保旭中央病院 診療技術部 リハビリテーション科稲垣 京司、菊地 聡、藤本 幹雄、高橋 功【目的】当院では集中治療室/救命救急センター(以下ICU)における早期離床を促進するため2013年度よりICUに理学療法士(以下PT)を配置する専従体制を開始した。今回専従体制が離床開始までの日数、介入率、ICU 在室日数や在院日数に及ぼす影響について調査した。【方法】2012 年度から2014年度までにICU へ入室した患者のうち、入室前にリハ介入があったもの、ICUを転出する当日にリハ開始したものを除いたPT介入者591名を調査対象とした。これらを専従体制開始前の2012年度(185名)、PT1名を配置した2013年度(205名)、PT2名に増員した2014 年度(201名)に分けて後方視的に解析した。【成績】カッコ内は2012 年度、2013 年度、2014 年度の順に表記。離床開始までの日数(2.7 ± 3.2 日、2.0 ± 1.9 日、1.5 ± 1.5 日)、在室日数(10.3 ± 16.1 日、7.6 ± 7.2 日、6.4 ± 5.7 日)、在院日数(43.1 ± 37.7 日、42.7 ± 40.2 日、37.1 ± 31.6 日)は短縮し、入室患者全体からみた介入率(19.6%、18.7%、19.2%)は変わらなかった。【結論】専従体制及び、増員では介入率に変化はなかった。次に、開始までの日数、在室、在院日数は短縮した。処置や検査等の時間が把握でき、頻回に訪室することなく介入が可能となった。また、PT 増員で重度介助者の車椅子乗車、複数回(AM・PM)実施が可能になった。以上から専従体制はICUリハ開始日数・在室日数・在院日数を短縮するのに有用で、その影響は、増員でより促進されると考察する。多職種カンファには毎日平均1~1.5 時間を要すため専従PTは一般床PT より担当人数、収益面で少なくなるが在室日数、在院日数が短縮することで医療費削減等の一助になると考える。今後の更なる早期離床の促進には集中治療早期リハ加算や専従体制加算等の新設を期待する。口演 5 早期離床・リハビリテーション① 2月12日(金) 11:00~12:00 第4会場O5-2 急性期早期離床を目指したシミュレーション実施報告1)国立病院機構 東京医療センター リハビリテーション科、2)国立病院機構 東京医療センター 救急科菅野 寛子1)、石井 由紀1)、大島 貴彦1)、栗山 陽子1)、妹尾 聡美2)、太田 慧2)、平田 尚子2)、廣島 勉1)、古野 薫1)、菊野 隆明2)急性期の早期離床はせん妄の予防、日常生活活動の早期再獲得などに有用である。また、ICUにおける早期リハビリテーション(以下、リハビリ)を安全かつ効果的に進めていくためには理学療法士(PT)、作業療法士(OT)などのリハビリ専門職種の積極的関与は必要不可欠でありチーム医療として推進すべきである(日本集中治療医学会雑誌2014;21:539- 579)。 当院救命救急センタ-(以下、センター)では2015 年1 月に包括的なリハビリ介入として早期離床チームを立ち上げ、同年6月にセンターにPT1名を専従配置するシミュレーションを5日間実施した。なお、OTについての専従配置は検討されていなかった。 PTはセンター内に在駐してリハビリを実施し、新入院カンファレンスや患者回診へ参加した。終了後、シミュレーションに参加した医師・看護師に対しアンケート調査を行った。結果、情報共有がしやすい、時間調整がしやすいという意見がある反面、看護ケアや処置の時間と調整が必要であるという意見もあった。また、PTの介入過程において高次脳機能障害や外傷などの器質的障害で救命センター入室を余儀なくされている患者に対して早期OT 介入の必要性を感じた。一方、シミュレーション前後でのリハビリ診療報酬を比較したところ、センター内での診療報酬は介入前の約3 倍となったが、PT1人あたりの診療報酬は約1/2 に低減した。 上記結果を踏まえて、PT1 名の専従配置からPT2 名、OT1 名の兼任配置へ変更し2 回目のシミュレーションを実施予定である。1 回目から2 回目のシミュレーションを実施するまでの経過を報告する。O5-3 当院集中治療室における早期離床と予後の検討1)愛知厚生連海南病院 リハビリテーション科、2)愛知厚生連海南病院 集中治療センター・麻酔科大川 晶未1)、飯田 有輝1)、伊藤 武久1)、三宅 健太郎2)、水落 雄一朗2)【目的】当院集中治療室(以下,ICU)における早期離床の現状とICU退室後予後との関係を検討すること.【対象と方法】2014年4月~2015年3月までに当院ICUに緊急入室となった症例のうち, カルテでの最終転機確認が可能であった222例を対象とした.ICU在室中の離床進行状況,在室,退室後の理学療法介入頻度を検討し,またICU在室中のリハビリテーション介入のあった群(以下,リハ介入群)となかった群(以下,非介入群)で,それぞれ年齢,APACHE2,ICU在室日数,在院日数,28日生存率,2015年7月時点での生存日数(以下,生存日数),最終転機,再入院率を比較検討した.なお,離床進行基準は当院リハビリテーションプログラムに従った.【結果】ICU 在室中のリハ介入群は222 例中128例(57.6%)であった. リハ介入群において APACHE2,ICU在室日数,在院日数が有意に高かった.ICU 在室中の離床進行状況は,ベッド上運動療法を含む離床制限48.4%,端坐位44.5%,立位, 車椅子移乗 5.5%,歩行1.6%であった.APACHE2 の点数が20 点以上の症例で2 群間の比較をしたところ,リハ介入群で28 日生存率,生存退院数, 生存日数が有意に多く, 再入院率が少ない結果となった.APACHE2 の点数が20 点以上の症例で退院時の転帰について, リハ介入群では自宅退院43.6%,転院15.5%,非介入群では自宅退院28%,転院15.8%であった.また退院時歩行レベルは,リハ介入群では歩行48.5%,車椅子10.7%, ベッド上1%, 死亡退院18.4%, 非介入群では歩行31.6%, 車椅子15.8%, ベッド上1.7%,死亡退院49.1%とリハ介入群で移動能力が高い傾向にあった.【結語】ICU 在室中における早期リハビリテーション介入が予後を改善するかについては本邦ではあまり検討されておらず, 今回の結果から少なくともAPACHE2が20 点以上の重症例ではリハ介入することの有用性が示唆された.