ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-401-O4-4 骨髄移植後に認めた重症呼吸器合併症の7 例金沢大学付属病院 集中治療部小池 康志、蜂谷 聡明、中村 美穂、相良 明宏、関 晃裕、佐藤 康次、越田 嘉尚、野田 透、岡島 正樹、谷口 巧骨髄移植後の患者における呼吸器合併症は30~60%に認められると報告されており、感染性肺障害および非感染性肺障害に大別される。移植後早期は好中球減少をはじめとする免疫不全あるいは免疫抑制薬の投与などの影響により細菌、真菌、ウイルスの感染性肺障害が多数を占める。一方、非感染性肺障害は診断に難渋することが多く、びまん性肺胞出血や特発性肺炎症候群、閉塞性細気管支炎などがある。これら各疾患の特異的治療法の有効性を示す報告が散見されるが、一般に治療反応性に乏しく、予後不良である。 今回、我々は、2007 年から2015 年までに当院ICUに入室した骨髄移植後の呼吸器合併症患者7例を経験したので、その治療成績および転帰を報告する。年齢は15~64歳であり、男性3名、女性4名であった。ICU入室時のP/F 比は平均144.2であった。7例中5 例が化学療法後nadirの状態であった。7例中3例は肺胞出血、1例は肺アスペルギルス症が最も疑われ、ほか3 例は感染性肺炎が疑われた。確定診断に至った症例は認めなかった。7 例中5 例で気管挿管を行い、そのうち2例は体外式膜型人工肺を導入した。治療法として全例に対して抗菌薬投与を行い、5 例に対してステロイドパルス療法を施行した。7例中4 例で気管支肺胞洗浄を施行し、そのうち治療方針の決定に有用であったものは3例であった。骨髄移植施行後から呼吸器合併症発症までの日数と、発症しやすい疾患の関連性は認めなかった。呼吸および全身管理に尽力したが、7例中救命しえた症例は認めなかった。ICU滞在期間は平均8.25日であった。 骨髄移植後の呼吸器合併症を早期に鑑別する手段として気管支肺胞洗浄は有用となる可能性がある。しかし、ひとたび発症し人工呼吸器管理を要するほど重症化すると、その予後は極めて不良となるため、重症化する以前に積極的加療を行うことが必要と考えられる。O4-5 当院における気道出血36 症例の検討1)国立病院機構災害医療センター 救命救急センター、2)国立病院機構災害医療センター 臨床研究部井上 和茂1)、金村 剛宗1)、金子 真由子1)、高田 浩明1)、神保 一平1)、吉岡 早戸1)、岡田 一郎1)、霧生 信明1)、加藤 宏1)、小井土 雄一2)【はじめに】気道出血は気道閉塞,換気困難や低酸素血症を生じ,分離肺換気(DLV)や体外循環を要する場合もあり,迅速な診断および適切な呼吸管理が要求される.【方法】2011年1月~2014年12月に当院へ救急搬送された内因性疾患,または外傷症例でA~Dの異常に対し気管挿管を行い,かつ気道出血を認めた症例を対象とした.来院時心肺停止症例は除外した.【結果】36 例が該当した.死亡例は8 例あり,呼吸不全が直接死因となったものは4例だった.生存群と比較し搬送時間・乳酸値が有意に高値を示したが,vital signや動脈血液ガス分析結果には有意差を認めなかった.原因は内因性疾患:外傷=6例:30例であり,年齢(中央値)はそれぞれ28 歳,68歳で有意差を認めた.止血方法として,内因性疾患に対してはTAE 4 例,DLV 3 例が行われ,外傷に対してはhigh PEEP 6 例,DLV 4 例,VV-ECMO 3 例が行われた.DLV またはVV-ECMO を要した10 例のうち4 例が死亡したが,DLVまたはVV-ECMO と死亡に関連はなかった.また,原因に関して死亡率との相関はなかった.【考察】来院時胸部Xp やCTで今後患側肺の出血や換気不全が予測される症例に対し,当院では積極的にDLVを行っている.しかし,定型的な気管挿管・人工呼吸管理に加え,気道出血に対してDLV などで迅速に介入し呼吸管理を行った場合でも,内因性疾患では患者背景から,外傷では肺挫傷やDICによる止血困難から,低酸素血症となり死に至る可能性がある.【結語】当院における気道出血症例の検討を行った.気道出血の重症度の早期評価とそれに伴う介入が重要である.O4-6 Berlin基準によるnon-ARDS症例の90 日予後の検討公立陶生病院 呼吸器・アレルギー疾患内科寺町 涼、谷口 博之、近藤 康博、木村 智樹、片岡 健介、松田 俊明、横山 俊樹【背景】2012 年にBerlin 基準が提唱され,現在ARDS の診断においてPEEP ≧ 5cmH2Oの酸素化が用いられている.PEEP≧5cmH2O下の酸素化による重症度が予後に関連すると言われているが,PEEP下でPaO2/FiO2(P/F)> 300 となりARDS から逸脱する症例(non-ARDS)でも死亡例は認められる.【目的】AECC 基準を満たすARDS 症例の内Berlin 基準によりnon-ARDS となる症例の予後を調べ,死亡に関連する因子を検討する.【方法】2007 年5 月から2013 年3 月に当院呼吸器内科に入院したAECC基準によるpulmonary ARDS症例のうちNPPV を導入しPEEP 4-5cmH2O を用いて酸素化を評価した症例を検討した.Non-ARDS症例の90 日予後を評価し,予後規定因子を後方視的に検討した.【結果】対象期間中AECC 基準を満たしたARDS 症例52例の内,Berlin 基準でnon-ARDS と診断された症例は22 例であった.年齢72.1 ± 16.0 歳,男性16 例(73%),APACHE2 score 12.3 ± 4.0,SOFA score 3.6 ± 1.5.ARDS の原因疾患としては肺炎が6 例(27%)で最多であった.NPPV 装着前のP/F 194.7 ± 45.7,PEEP4-5 cmH2O 下のP/F 375.5 ± 52.7 であった.90 日死亡は5 例(22.7%)で認められた.Logistic 回帰分析を用いた単変量解析では血中トロンボモジュリン(p=0.040)が90 日死亡の有意な予測因子であった.また24 時間以内に酸素化の悪化を認めARDS に再定義された症例は12 例(55%)で,これらの症例は酸素化が安定している症例に比べ90 日死亡が有意に多い結果であった(5/12 vs0/10; p=0.040).【結語】Non-ARDSの中にも死亡例は認められた.死亡例はいずれも早期での酸素化の悪化が認められARDSに再定義された.Non-ARDSにおいても慎重に経過を追う必要がある.