ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-397-O2-4 小児ARDS患者に対するHFOV使用例の検討国立成育医療研究センター病院 集中治療科芳賀 大樹、井手 健太郎、西村 奈緒、中川 聡【背景/ 目的】小児ARDS に対するhigh-frequency oscillatory ventilation(HFOV)の適応は定まっていない。HFOV は持続的で高い胸腔内圧から酸素化改善に寄与する反面、循環障害を来すリスクがある。HFOV が有効ではない症例の識別から適応を探る。【方法】2010-2014年に当PICUに入室した小児ARDS症例のうちHFOV を使用した症例を後方視的に検討。チアノーゼ性心疾患の症例は除外。患者背景およびHFOV導入前から導入後24時間までの呼吸器条件、酸素化/ 換気能、循環の各指標を記録し、生存/死亡例を比較検討した。【結果】対象は36 例。全例 HFOV 導入前にconventional mechanical ventilation を使用。以下平均(±標準偏差)で記載。導入時の患者背景は、月齢37.9(±50.9)、体重11.9kg(±9.3)、男児11例(30.6%)、PaO2/FiO2(P/F)124(±49.3)、Oxygenation Index(OI)16.7(± 8.2)、PELOD score 16.9(± 9.0)、Catecholamine Index(CAI)12.2(± 23.5)、死亡率は38.9%(14/36 例)であった。傷病内訳はpulmonary ARDS14 例、extra pulmonary ARDS 22 例であった。生存/ 死亡例の比較では、背景に差なし。Δ CAI-12h(12 時間値と導入時の差)が死亡をよく識別し(曲線下面積 0.81 ±0.161)、カットオフ値をΔCAI 5 上昇と設定すると、死亡に関して感度100%、特異度 54.5%、また生存曲線にて優位差(p=0.0001)を得た。同様にΔ P/F-24h、Δ pCO2-6hも死亡と相関を認めた。【結語】予後予測として以前から報告ある酸素化の指標以外に、循環/換気の指標が有用であるとの結果を得た。ΔCAI-12h 5以上の上昇は死亡予測として有用なツールとなるかもしれない。O2-5 小児におけるNIV-NAVA(Non-Invasive Ventilation with Neurally Adjusted Ventilatory Assist)の有用性長野県立こども病院 総合周産期母子医療センター 新生児科小田 新、中村 友彦、山口 由美NAVA は横隔膜電気的活動(diaphragm electrical activity; Edi)を用いて人工呼吸を調節する新しい人工呼吸モードである。Ediによって、呼吸開始のタイミングだけでなく、供給圧、吸気時間が患者自身によって規定され、患者-呼吸器間の同期性が大幅に改善する。NPPV としてNAVA の技術を応用したものがNIV-NAVA と呼ばれている。NPPV のうち、CPAP・DPAP・SiPAP には基本的に同期性がなく、BIPAPは小児、特に新生児ではリークによって同期が困難であった。ところがNIV-NAVAはリークの多少に関わらず、Edi によって呼吸器が圧を供給するため同期性が改善し、理想的なNPPVとなりうる。当院ではNIV-NAVAの使用症例を蓄積しつつあるので報告する。2015 年8 月現在で合計5 例に使用した。症例1、2、3 は超低出生体重児の再挿管症例に用いた。3 例とも修正30 週ころに抜管し、DPAP・SiPAPを用いたが、酸素化不良により再挿管となり、NIV-NAVAを用いて再び抜管し、成功した。症例4は完全大血管転位で、Jatene 術後に心不全・ECMO 管理となり、1 か月間以上の長期人工呼吸管理からの離脱が進まなかったが、NAVA とNIVNAVAを用いて離脱できた。症例5は右気管支食道起始症、総肺静脈還流異常症の児で、右肺摘出術後、抜管はできたが気管軟化症のためDPAP依存状態となった。啼泣に伴い軟化症からのSpell症状がみられたが、NIV-NAVA 装着後、安静を保てるようになり、Spellが見られなくなった。NIV-NAVAは、酸素化が安定し、呼吸筋の廃用萎縮からの回復を促し、快適性が増して安静度が向上していた。いずれも患者と人工呼吸器との同期性が改善していることが大きく影響していると考えられた。