ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-396-O2-1 人工呼吸療法に関する疫学研究1)日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター、2)自治医科大学さいたま医療センター 集中治療部齋藤 伸行1)、讃井 將満2)背景:人工呼吸器に発展により様々な換気モードが使用されるようになった。しかし、患者の重症度やタイミングによって、モードの選択は様々であり、さらに施設ごとで異なっている。本邦では現時点で人工呼吸療法に関する疫学調査はなく、施設間の使用モードや離脱までのプロセスの違いについては不明である。そこで、我々は本邦における人工呼吸療法の実践を調査することを目的に1 日横断的研究を計画した。方法:倫理員会により承認を受けた集中治療室および救命救急センターにおいて、特定した1日に人工呼吸療法を実施している患者すべてを対象として以下の項目を調査する。調査項目:施設の特徴、患者背景、人工呼吸器設定、換気状態、使用薬剤(鎮静薬・鎮痛薬など)、合併症予防策など。研究によるインパクト:本邦における標準的な人工呼吸療法の実践が把握でき、さらに国際的比較も可能となる。本研究は、日本集中治療医学会CTGの承認を受け、昨年の本学会で中間報告を行った。現在、全国の41施設46ICUが参加し、平成27年9月30 日に研究終了予定である。最終報告を本学会で行う予定である。口演 2 気道・呼吸・呼吸管理② 2月12日(金) 13:30~14:30 第2会場O2-2 従量式換気と従圧式換気はどのように選択されているか新潟大学医歯学総合病院 高次救命災害治療センター本田 博之、上村 夏生、鈴木 友康、青木 信将、新田 正和、本多 忠幸、遠藤 裕【目的】新しい人工呼吸様式の効果を検討する際、比較対象として選択された従来の人工呼吸器の設定が実状を正確に反映しているかどうかが問題となりうる。そこで、従来の換気様式として設定されることの多い従量式換気(Volume-controlled ventilation;VCV)と従圧式換気(Pressure-controlled ventilation; PCV)がどのように選択されているのかを明らかにすることにした。【方法】当施設は10床のOpen ICUで、集中治療担当医が24時間常駐して各科主治医と協力して診療にあたっている。人工呼吸器の設定に関するプロトコルは無い。2014 年11 月1 日から2015 年7月31日までにICU に入室して人工呼吸管理を受けた18歳以上の患者を対象とし、入室直後の人工呼吸器の設定でVCVもしくはPCVが選択されたものを抽出した。入室48時間以内の積極的治療辞退例、ICU在室中に死亡した症例は除外した。【結果】VCVは107人、PCVは90人で選択されていた。VCV群とPCV群を比較したところ、PCV群はAPACHEIIスコアとSOFAスコアが高く、人工呼吸管理期間とICU在室日数が長かった。また、PCV 群は初期設定における換気パラメータにおいて最高気道内圧が低くPEEP が高かったが、一回換気量には差が無かった。予定術後入室患者と緊急入室患者に分けて解析してもほぼ同様の結果が得られた。【考察】一回換気量を適切に調節しようとした場合、重症例ではVCVよりPCVの方が低い最高気道内圧と高いPEEPを達成しやすいのかもしれない。【結語】重症度によって換気様式の選択には差が存在した。臨床研究を計画したり結果を反映させたりする際に、このような差も考慮に入れるべきである。O2-3 間質性肺炎急性増悪例の人工呼吸器設定についての検討1)東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生体集中管理学、2)東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 統合呼吸器病学若林 健二1)、足立 裕史1)、立石 知也2)、稲瀬 直彦2)、中沢 弘一1)【背景】間質性肺炎急性増悪(IPAE)は予後不良の病態で、best supportive care(BSC)にとどまる症例も散見される。一方で免疫抑制剤やPMX 吸着療法を併用した、積極的治療を行う際の呼吸管理法に関しては統一した見解がない。今回我々はICU 入室したIPAE症例の呼吸管理における特徴を検討した。【方法】2008年~2015年のIPAE延べ50例に関して、診療録を参照して検討を行った。酸素投与もしくは人工呼吸器設定については、入室治療開始後最初の血液ガス採取時のものを記録した。【結果と考察】気管挿管例は54%、NPPV もしくはネーザルハイフロー(HFNC)を使用した例は24%であった(表1)。挿管例では高い気道内圧の使用を避けた結果として高いFiO2、hypercapniaの傾向を認め、またICU滞在日数は長期化していた。NPPV とHFNC 施行例における高いICU退室率は、比較的軽症、もしくはBSCとして挿管を希望しなかった症例が多いためと考えられた。【結語】IPAEの重症症例における挿管管理ではpermissive hypercapniaを念頭に置いた、低めの気道内圧で呼吸管理を行う傾向が認められた。