ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-393-AW5-3 小児患者を対象とするRapid response systemの長期的効果1)静岡県立こども病院 小児集中治療科、2)静岡県立こども病院 MET部会川崎 達也1)、関根 裕司2)、唐木 克二2)、諏訪 まゆみ2)、塩崎 麻那子2)、稲員 恵美2)、金沢 貴保1)、菊地 斉1)、伊藤 雄介1)【背景・目的】入院患者に発生する予期せぬ心停止や予期せぬ死亡などの重大な有害事象を減らす方策として、近年Rapidresponse system(以下RRS)が注目されている。小児患者を対象としたRRSの有用性については評価が定まっておらず、わが国では広く普及するには至っていないが、当院では2009年9月に全国に先駆けてRRSを導入し5年余にわたって運営してきた。今回、当院における小児RRS の長期的効果を検討した。【方法】2007 年4 月から2015 年3 月までの院内死亡率、予期せぬ病棟心停止の発生率、およびPICU 入室症例の転帰のRRS 導入前後(前2007年4 月から2009年3 月;後2010年4 月から2015 年3 月)の変化、および全期間における経年的変化を後方視的に比較した。【結果】RRS導入以降の総起動件数は156件、起動頻度は1,000入院あたり5.6件、1,000入院日数あたり0.36件であった。RRS 対象外である新生児病棟患者を除き、1,000入院あたりの院内死亡率はRRS 導入前8.18 より導入後5.30 へと有意に低下した(p <0.01)。院内死亡率の低下は経年的傾向としても有意であった(p< 0.05)。一方、病棟での予期せぬ心停止の発生率は、RRS 導入前1,000入院あたり0.88 件、導入後1.09 件と変化を認めなかった。病棟からのPICU入室患者の死亡率はRRS導入前後で11.5% から2.1%にまで有意に低下しており(p<0.001)、PIM2予測死亡率で調整した標準化死亡比(以下SMR)も1.09から0.26へ有意に低下していた(p< 0.0001)。なお、対照として、同期間に院外からPICU に入室した患者の死亡率、SMRとも変化を認めなかった。これらの入院経路別のPICU 入室患者のSMRの変化は経年的傾向としても同様であった。【結論】小児患者を対象としたRRS 導入に伴い、院内死亡率が減少した。この効果は重症化しつつある入院患者に対する早期介入が促されたためと考えられた。AW5-4 小児の中心静脈穿刺のアウトカム;超音波ガイドとランドマーク法の比較;システマティック・レビュー1)京都府立医科大学 麻酔科学、2)京都医療センター 救命救急センター/救命救急科、3)京都府立医科大学附属病院 集中治療部細川 康二1)、志馬 伸朗2)、橋本 悟3)【背景】小児の中心静脈穿刺失敗率を、超音波ガイドと体表解剖等を利用するランドマーク法とで比較した場合、過去のランダム化比較試験(RCT)を集めたシステマティック・レビューでは有意差が示されない。代表的な合併症である動脈誤穿刺率に関しても同様である。しかし、小児対象の観察研究結果からこの2法で成功率や合併症発生率が同等とは考えにくい。【目的】超音波ガイドの有用性を示すこと、示されない場合はその理由を導くこと。【方法】関連する用語を用いてPubMed を電子検索して得られたリストから、上記2法を比較した観察研究およびRCTの中で、穿刺成功率か動脈誤穿刺率をアウトカムに含むものを選択した。抽出した数値を用いて、ランダム効果法によるメタ解析を行い、オッズ比を推定した。【結果】15の研究(観察研究, 6; RCT, 9)から得たアウトカムをメタ解析に用いた。穿刺失敗率は、超音波ガイド群がランドマーク法群に比して有意に低かった(OR, 0.20[0.07-0.61], p < 0.01)。動脈誤穿刺率も、超音波ガイドで有意に低かった(OR, 0.35[0.18-0.70], p < 0.01)。サブグループ解析で、ランドマーク法での失敗率が低い研究サブグループでは、穿刺成功率に2 法の間で有意差が認められなかった。【考察】観察研究とRCT の結果を集計した本研究から、小児の中心静脈穿刺に、超音波ガイドはランドマーク法に比して患者利益を増やしそうだ。ただし、ランドマーク法での失敗が少ない(たとえば、経験の豊富な施行者が行う)状況では、超音波ガイドが失敗率を減らさない可能性がある。