ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-388-AW3-1 日本語版CAM-ICUフローシートが最も推奨されるICUせん妄評価ツールである学校法人鉄蕉館 亀田医療大学 成人看護学古賀 雄二、宮崎 俊一郎【目的】代表的なICUせん妄評価ツールである日本語版CAM-ICU 、日本語版CAM-ICUフローシート、日本語版ICDSCの3 ツールのいずれが最も推奨されるツールかを検証する。【方法】精神科医が評価するDSM-IV-TR をせん妄診断基準として3 ツールの妥当性・信頼性を検証後、患者への評価負担を比較する。妥当性検証は精神科医群のDSM-IV-TR、リサーチナース(RNs)群とスタッフナース(SNs)群の3ツールの評価結果から感度・特異度を算出した。ICDSCはカットオフ値の検討も行った。信頼性検証は3ツールごとにRNs-SNs 間の評価の一致度をκ係数で算出した。また、ツールの特性を考慮し、ICDSC についてはレトロスペクティブな使用方法に限定した調査を行った。所属機関研究倫理委員会の承認(H24-46-2)を得て、国内2カ所の大学病院ICUで調査した。【結果】対象者数82 名、年齢(mean ± SD)68.5 ± 10.3 歳、RASS-0.33 ± 2.5 であり、11 名(11.8%)は挿管管理中であった。精神科医(DSM-IV-TR)判定は18 名(22.0%)がせん妄で、不活発型せん妄17 名(94.4%)、活発型せん妄1 名(5.5%)であった。CAM-ICU はRNsとSNs それぞれの感度が83%と78%、特異度が95%と97%、一致度κ= 0.85 であった。CAM-ICU フローシートは感度が78%と78%、特異度が95%と97%、一致度κ=0.81であった。CAM-ICU とCAM-ICUフローシートの結果の一致度は、κ= 0.96~1.0(p < 0.001)と高度であった。また、CAM-ICU フローシートはCAM-ICU と比べて、所見2 で12.2~29.7%、所見4で95.1~97.6%の評価回数低減が可能であった。ICDSCはカットオフ値を3点とした場合、感度が66.7%と72.2%、特異度が78.1%と71.9%、一致度κ=0.55であった。【結論】日本語版CAM-ICUと日本語版CAM-ICUフローシートおよび日本語版ICDSCの3ツールは基準関連妥当性と評価者間信頼性が示されたICUせん妄評価ツールである。3 ツール中で最も推奨されるツールは、日本語版CAM-ICUフローシートである。優秀演題 3 2月12日(金) 11:00~12:00 第6会場AW3-2 手術後せん妄発症と手術前後での関連因子の検討1)群馬県立心臓血管センター リハビリテーション課、2)群馬県立心臓血管センター 心臓血管外科、3)群馬県立心臓血管センター 循環器内科山下 遊平1)、生須 義久1)、高柳 麻由美1)、満山 兼一郎1)、長谷川 豊2)、江連 雅彦2)、金子 達夫2)、大島 茂3)【背景】高齢化に伴い,心疾患有病率は増加し心臓血管外科手術を施行する患者も増加し,ICU関連症候群や手術後せん妄といった合併症が問題となる.手術後せん妄の発症要因は多岐に渡り,多因子に対応した多角的なアプローチを実践することがせん妄の発症率を減少させると報告されている.一方で手術後せん妄において手術前からせん妄発症因子を検討した報告が少ない.【 目的】本研究では,手術後せん妄発症の手術前後でせん妄を発症する因子の検討を行った.【対象・方法】平成26年9 月から平成27 年4月までに当院にて待機的に心臓血管外科手術を施行した患者88 名(平均年齢65 ± 12 才,男60 名)を対象とした.手術前に精神機能についてHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale),ADL についてはBI(Barthel Index),認知機能についてはMMSE(Mini-Mental State Examination)を使用して評価をおこなった.手術後には経口挿管抜管後7 日目までの期間でせん妄についてCAM-ICU(Confusion Assessment Method for the ICU),手術経過における水分の出入量変化について経時的に調査した.CAMICUにて陽性と判断された群をせん妄群,その他を非せん妄群として2 群間で,各指標の比較検討を行った.統計処理にはMannWhitney U test を用いた. 【結果】手術後せん妄は11 名(12.5%)に認めた.また,せん妄群では非せん妄群と比較して抑うつが高く(p=0.003),認知機能が低く(p=0.031),手術後に除水量が少なかった(p=0.03).その他の項目では統計学上の有意な差は認めなかったが,年齢が高く,BI が低い傾向にあった.【まとめ】手術後せん妄は,手術前の認知精神機能に影響を受けており年齢やADL 能力とも関連している可能性が示唆された.手術後より早期にリハビリテーションを行うことに加え,手術前より認知精神機能やADL能力の改善を目的としたリハビリテーションを行い手術に備える必要が示唆された.