ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-387-AW2-3 下行大動脈血流VTI比測定による体肺動脈短絡術後の急性期肺血流量評価兵庫県立こども病院 心臓血管外科長谷川 智巳、大嶋 義博、田中 敏克、圓尾 文子、佐藤 有美、祖父江 俊樹【目的】 チアノーゼ性心疾患に対する体肺動脈短絡手術では、術後急性期に肺血流過多によるsystemic low outputに陥ることがある。グラフトのサイズや経路の選択などによって至適な肺血流量の確保に努めるが、術後急性期には手術侵襲や人工心肺の影響による換気不良などから、肺血流の過多を推定することは困難であることが多い。今回、体肺動脈短絡術後の急性期肺血流量評価のため、心エコーによる下行大動脈血流VTI比(dAo-BFR)測定の有用性に関して検討した。【方法】 2010 年4 月から2014 年8 月までに当院で施行された体肺動脈短絡術73例(Norwood手術を除く)のうち、術後心エコーにてdAo-BFR を測定した53 例を対象として後方視的検討を行った。dAo-BFR は、経胸壁心エコーによる横隔膜レベルでの下行大動脈パルスドプラーから、収縮期順行性血流に対する拡張期逆行性血流のVTI比として計測した。【結果】 dAo-BFR は、術直後 0.50 ± 0.15, 術後1 日目 0.56 ± 0.12, 2日目 0.55±0.14, 7日目0.45±0.11。dAo-BFR>0.8を6例に認め、うち4例が肺血流過多によるsystemic low outputとなり、絞扼(3例)やクリップ(1例)によるシャント血流量調整を要した。これら高肺血流性イベントが発生するdAo-BFRのcutoff値を0.8とすると、感度100%、特異度97.1%であり、シャント血流量、SpO2、血中乳酸値、base excessと比して、感度・特異度ともに有意に良好であった。また、多変量解析にてdAo-BFR>0.8のみが高肺血流性イベントの有意なリスク因子となった(P<0.0001)。【結論】 経胸壁心エコーによるパルスドプラーを用いたdAo-BFR測定は、低侵襲かつ簡便にベッドサイドで繰り返し行うことができ、体肺動脈短絡術の術後急性期肺血流量の評価法として有用である。dAo-BFR > 0.8は高い感度・特異性を持って高肺血流性イベントを予測し、事前のシャント血流量調整を行うための有効な判断指標となり得ると考えられた。AW2-4 Sonoclotを用いた血液凝固管理が人工心肺下開心術の周術期輸血量に及ぼす影響1)北見赤十字病院 麻酔科、2)札幌医科大学 医学部 麻酔科、3)市立釧路総合病院 麻酔科汲田 翔1)、川口 亮一2)、西原 教晃3)、枝長 充隆2)、山蔭 道明2)汲田 翔、川口亮一、西原教晃、枝長充隆、山蔭道明北見赤十字病院麻酔科札幌医科大学医学部麻酔科学講座【背景】心臓手術では人工心肺による血液凝固能障害が懸念されるが、止血のための輸血製剤投与に関する明確な指標はない。Sonoclot は、フィブリン形成能を評価できるPoint-of-careモニタリング機器であり、新鮮凍結血漿(FFP)の投与指標に活用できる可能性がある。今回、人工心肺下開心術を対象に、Sonoclot 使用症例と非使用症例の輸血量について後ろ向き検討を行った。【方法】過去1 年間の人工心肺下開心術のうち40 歳以上の患者を対象とし、Sonoclot 使用群(S 群、n=18)と非使用群(Cont 群、n=18)に分けた。人工心肺離脱後のFFP投与基準は、S 群ではSonoclot のフィブリン形成能指標であるclot rateが、Cont群では麻酔科医および心臓外科医の臨床的判断が用いられた。術中の赤血球濃厚液(RBC)および濃厚血小板(PC)の投与基準、術後の輸血・凝固管理基準は両群共通であった。術中の輸血量と出血量、および術後18 時間以内の出血量と輸血量を両群で比較した。統計学的検討にはMannーWhitneyのU検定を用い、p < 0.05 を有意とした。【結果】両群の患者背景、手術因子、術前血算・凝固能(Hb、血小板、PT-INR、APTT、フィブリノゲン)に有意差は認めなかった。S群の術中FFP投与量(2[0.25-4]単位)はCont群(6[4-8]単位)と比較し、有意に少なかった(p<0.001)。また、S群の術中RBC投与量(0[0-2]単位)はCont群(2[0.5-5.5]単位)と比較し、有意に少なかった(p<0.05)。術中の出血量、術後の輸血量、出血量、および血算・凝固能は両群で有意差を認めなかった。【結語】心臓手術におけるSonoclot の使用は、有害事象を認めることなく人工心肺離脱後の輸血量を減少させることが示された。