ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-369-LS20金沢大学附属病院 集中治療部岡島 正樹 ヒトは、永い進化の過程で、身体的危機に対しきわめてすぐれた代償機構を備えてきた。その担い手の1つが、交感神経系である。特に、生命を脅かす危機的状況に対しては、過剰に代償しなんとしても生命を維持しようとする。つまり、交感神経系の活性化は、生きぬいていくうえで必要不可欠な機構である。一方、交感神経の過剰な活性化は、臓器虚血などの身体的悪影響を及ぼすこともしばしばある。たとえば、大量出血をした場合、交感神経が活性化し、血管を収縮することで、平均血圧を維持し、腎血流を減少させ、体液喪失を回避させる。一方、そのような代償機構としての末梢血管収縮や体液のセントラルシフトは、多臓器の血流不足をまねき、交感神経活性化による代謝亢進と相まって、組織の酸素需要と供給のバランス破綻をきたしやすい環境をつくる。さらに、交感神経の過剰活性化による頻脈性不整脈を合併した場合、さらに組織酸素供給が不足し、負のドミノが動き出し、臓器機能障害に陥る。交感神経の代償機構は諸刃の刃である。 当然だが、救急や集中治療室に入室する患者の特徴上、その重篤な状態から、交感神経活性による代償機構がフル活動している。そして、生命維持機構の例にもれず、過剰に代償することが多いことを経験する。特に、心臓手術/ 非心臓手術後、急性心不全、敗血症を含む重症感染症は、救急や集中治療室入室患者の中でも交感神経系が活性化しており、頻脈性不整脈を合併しやすく、血行動態を含めた管理に難渋することが多い。 交感神経の活性化の最もわかりやすい表現型の1つが、心房粗細動を含む頻脈性不整脈であろう。勿論、交感神経が活性化するような水面下で進行する危機的病態を検出することが、最重要課題である。しかし、一般的に心拍数が200拍/ 分以上になると心室への血液充満が不足し心拍出量が減少して血圧を維持できなくなる。また、130 拍/ 分以上が持続すると左室拡張不全が生じ、うっ血性心不全を来す。また、頻脈状態が続けば、頻脈誘発性心筋症となり低心機能に陥る。よって、不整脈発症の原因となる病態がコントロールされるまで、この頻脈性不整脈不整脈をマネージメントすることは重要である。 このように交感神経の活性化の程度をコントロールすることは、クリティカルケアにおいて重要であり、その武器は当然βブロッカーということになる。ただし、βブロッカーも諸刃の刃であり、危機的身体にとって必要な交感神経活性化までも抑制してしまうと、さらにクリティカルな状況を悪化させてしまうこともある。 そこで、主に術後、心不全、敗血症における頻脈性不整脈などの交感神経過緊張の弊害とβブロッカーを用いた調節について、成功例や失敗例などの症例を中心に紹介したい。そして、当施設での若干の集積データを加え、クリティカルケアにおけるβブロッカーの可能性を探り議論したい。ランチョンセミナー 20 2月13日(土) 12:20~13:20 第9会場救急集中治療におけるβ遮断薬の有用性LS21京都大学医学部附属病院 初期診療・救急科佐藤 格夫 重症患者の栄養管理において各国でガイドラインなどが作成され、日本集中治療医学会においても「重症患者の栄養療法ガイドライン」を作成しています。各国の栄養ガイドラインが作成されることで、曖昧な提言しかできない部分、主張が異なる部分、逆に主張が一致する部分などが明らかになりました。そして、ガイドラインの改訂の際に推奨するべく内容を確立するために、次々と大規模なRCT が行われました。その結果、栄養療法として混沌とした状態を生じさせてしまいました。みなさんもよく話題を聞いていると思いますが、免疫修飾栄養素などは大変革をもたらした領域の一つです。 本セミナーでは『栄養療法の基本の見直し』、『最近の世間をにぎわせたRCT』、『注意をするべく病態や病状』を取り上げながら解説をしていきます。 『栄養療法の基本の見直し』としては、若手を指導する場合に、医師・看護師問わずこれは知っておかないといけない内容を簡潔に解説したいと思います。『最近の世間をにぎわせたRCT』を解説することで、実際に世界ではどこに着目をして臨床研究が行われたのか、その結果がどんなことであり世間を騒がせたRCT となったのかなど解説をしたいと思います。また、世間を騒がせていないRCT も一部解説をできたらと思います。『注意をするべく病態や病状』として下痢を中心に取り上げたいと思います。特に重度な下痢の場合の対応を皆で考えていきたいと思います。ランチョンセミナー 21 2月13日(土) 12:20~13:20 第10会場やさしく学ぶ、重症患者の栄養療法 ~便失禁ケアシステムの意義を交えて~