ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-354-GD3-5 ステロイド,免疫グロブリン(IVIG)のガイドラインの作成過程の経過日本版重症敗血症診療ガイドライン2016作成特別委員会今泉 均、藤島 清太郎、升田 好樹、巽 博臣、藤村 直幸、後藤 孝治、早川 峰司、安田 英人、角 由佳、西田 修、小倉 裕司、井上 茂亮、射場 敏明、江木 盛時、垣花 泰之、久志本 成樹、小谷 穣治、貞広 智仁、志馬 伸朗、中川 聡、中田 孝明、布宮 伸、林 淑朗、松嶋 麻子、松田 直之、織田 成人、田中 裕日本版敗血症ガイドラインにおけるステロイドとIVIGの作成過程に関して報告させていただきます。ステロイドの重要臨床課題をPICO(Patients-Intervention-Control-Outcome)形式で4つのクリニカルクエスチョン(CQ)を設定し回答を導く方針とした。CQ1「成人敗血症性ショック患者に低用量ハイドロコルチゾン(HC)投与を行うか?」の重大・重要アウトカムとして28 日死亡率,7日後ショック離脱率,合併症を検討することとし,SSCG2012の文献検索期間以降の【(sepsisor septic shock)X(glucocorticoid or steroid or hydrocortisone or methylprednisolone)X(meta-analysys or systematic reviewor practice guideline or RCT)X(English or Japanese)X(Human)】の文献を検索し該当した3文献を含む8文献を網羅したSystemic Review(SR)がWang らにより報告され(Anesth Analg 2014;118:346?57),AMSTAR 評価に合致したため採用した。その後,新たなRCTを追加するため,bias評価,非直接性評価を行いForest plot, Funnel plotを作成しエビデンス総体の評価を行った。CQ2「ステロイドの投与時期は早期投与か晩期投与か?」,CQ3「ステロイドの至適投与量,投与期間は?」,CQ4「どの種類のステロイドを投与するか?」に関しては,投与時期や投与量,投与期間,ステロイドの種類を直接比較したRCTがないことから,各々コントロールと比較したメタ解析データを基に検討した。IVIGではCQ「成人敗血症患者にIVIG 投与を行うか?」を設定し,回答を導くために新たにSR を行った。【(sepsis or severesepsis or septic shock or septicemia or septicaemia or septic)X(immunoglobulin or IVIG or immuno globulin or immuneglobulin or IgG)X(randomized controlled trial OR controlled clinical trial OR randomized clinical trial OR clinical trials ORrandomly)X NOT(animals NOT humans)】で検索した結果981件がヒットし,一次検索で11件に,二次検索で6件を選別した。それを基にbias 評価,非直接性評価を行い,エビデンス総体を作成した。エビデンス総体に益と害,コスト等を評価し,推薦を決定することになる。GD3-6 日本版重症敗血症診療ガイドライン2016:学会合同作成の意義と今後日本版重症敗血症診療ガイドライン2016作成特別委員会小倉 裕司、西田 修、井上 茂亮、射場 敏明、今泉 均、江木 盛時、垣花 泰之、久志本 成樹、小谷 穣治、貞広 智仁、志馬 伸朗、中川 聡、中田 孝明、布宮 伸、林 淑朗、藤島 清太郎、升田 好樹、松嶋 麻子、松田 直之、織田 成人、田中 裕近年、Surviving Sepsis Campaign Guideline(SSCG)の普及などにともない、敗血症診療は世界的に注目されている。SSCGでは改訂ごとに参加学会が増え、SSCG2012 には26 学会(日本集中治療医学会・日本救急医学会含む)が参加し策定に協力した。日本では2012 年、本邦独自の治療法などを考慮した日本版敗血症診療ガイドラインが日本集中治療医学会から公表された。今回、日本版重症敗血症診療ガイドライン2016 を作成するにあたり、より広い普及を目指して日本集中治療医学会と日本救急医学会による合同委員会が組織された。19 領域にわたる各委員と若手を中心とするワーキングメンバー総勢70 余名で構成されており、約7割のメンバーが両学会ともに所属する。ワーキングメンバーによる相互査読、討議のオープン化など作業過程の透明化を図り、また19 領域に属さない中立的立場のアカデミック推進班を組織して作業工程の統一化・補助を行い、ガイドライン全体の質を担保している。日本集中治療医学会と日本救急医学会は、集中治療医学・救急医学という共通の学術フィールドを持ち、その中でも敗血症診療は特に重要な位置を占める。両学会がお互いに協力し、それぞれの専門性を生かしながら、広く診療で活用できる質の高いガイドラインを作成することは、今後の日本の敗血症診療を発展させる上で極めて重要と考えられる。また、両学会が連携することで、より広いvisionと信頼性を持ったガイドラインを多くの人に普及することが可能になり、実際の敗血症診療に貢献できる。ガイドラインは今後国内だけでなく海外に向けても発信されるため、両学会が合同で作成した日本発の新たな情報として国際的にも注目される。さらに、両学会の若手を中心としたワーキングメンバーが今回のガイドライン作成などを契機に積極的に交流し連携していくことは、学会の枠を超えた新たな学術活動(両学会合同の多施設共同研究を含む)など、将来への貴重な橋渡しになると期待される。両学会がお互いに活性化し合い、今後共に発展するためにも大切な“ 種まき”の役割を担うと考えられる。両学会の知的連携・人的連携が図られる今回の重症敗血症診療ガイドライン作成は、今後の日本の敗血症診療を格段に充実し、海外へ向けて強力に発信する上で重要な礎石になると考えられる。