ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-349-GD1-7 重症患者の栄養療法ガイドライン作成委員会」の委員会報告(小児の栄養管理)1)大阪府立 母子保健総合医療センター 集中治療科、2)日本集中治療医学会 重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会清水 義之1,2)、小谷 穣治2)、江木 盛時2)、海塚 安郎2)、亀井 有子2)、神應 知道2)、木下 浩作2)、佐藤 格夫2)、清水 孝宏2)、志馬 伸朗2)、白井 邦博2)、巽 博臣2)、西田 修2)、東別府 直紀2)、松田 兼一2)、真弓 俊彦2)【はじめに】小児集中治療において栄養管理は支持療法の一つとして重要である。しかし、小児重症病態における栄養管理のガイドラインとしては、2009 年に、米国静脈経腸栄養学会(A.S.P.E.N.)の重症病態小児に対する栄養サポートのガイドライン以外にはない。今回のガイドライン作成に当たっては、先に作成されたA.S.P.E.N. ガイドラインを基に、近年の小児集中治療における栄養管理についてのRCTを集積したものを加味して作成した。【内容】8つの小項目(A.栄養療法の必要性、B.栄養評価、C.エネルギー投与量、D.三大栄養素(多量栄養素)、E.栄養投与ルートの決定、F.免疫調整経腸栄養剤、G.血糖管理、H.経腸栄養投与プロトコール、チーム医療)に分け、それぞれの項目でいくつかのQ&Aと解説を加えた。これらの項目分けに関しては、基本的にはA.S.P.E.N. ガイドラインに準拠したが、血糖管理については2009 年以降に、小児集中治療領域において、比較的大規模のエビデンスがいくつか得られたので、「G.血糖管理」を項目として追加し、構造化抄録を作成した。以下にそれぞれの項目の要旨を示す。A.入室時の低栄養は死亡率や人工呼吸日数を延長させる。解決策は不明。B.身体計測による栄養評価を行う。血液検査所見での栄養評価は困難。C.エネルギー消費量は間接熱量計で計測できるが、理想の目標投与エネルギー量は不明。D.炭水化物、たんぱく質、脂質の適正な投与量は不明。エキスパートオピニオンのみ。E.経腸栄養が優先される。幽門後投与は目標エネルギー投与により早く到達する。F.免疫調整経腸栄養剤投与を支持するエビデンスはない。G. 厳格な血糖管理は推奨しない。H. 経腸栄養プロトコールやチーム医療は、臨床転帰に影響を及ぼすエビデンスはない。【まとめ】小児分野における栄養管理のエビデンスは規模も数も少ない上に、本邦におけるデータは乏しく、未解決の分野が多いが、成人のデータをそのまま小児にあてはめることは望ましくない。そのような状況を鑑み、このガイドラインではできる限り小児集中治療分野のデータを基に作成した結果、多くの項目で、不明瞭な部分が多く、推奨も弱い。しかし、エキスパートオピニオンのみに頼った推奨を行わず、不明瞭な部分を不明であると明らかにすることで、今後の小児重症病態における栄養管理の研究の方向性が示されたともいえる。この分野での今後の臨床研究の蓄積が待たれることになる。