ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-348-GD1-5 「重症患者の栄養療法ガイドライン作成委員会」の委員会報告:血糖管理1)神戸大学医学部附属病院 麻酔科、2)日本集中治療医学会 重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会江木 盛時1,2)、小谷 穣治2)、海塚 安郎2)、亀井 有子2)、神應 知道2)、木下 浩作2)、佐藤 格夫2)、清水 孝宏2)、清水 義之2)、志馬 伸朗2)、白井 邦博2)、巽 博臣2)、西田 修2)、東別府 直紀2)、松田 兼一2)、真弓 俊彦2)CQ1. ;目標血糖値はいくつにすべきか?180mg/dL 以上の高血糖を呈した場合, 血糖値を低下させるためにインスリン投与を開始する。血糖値のコントロールを行う際には, 目標血糖値は180 mg/dL以下とし, 血糖値を80-110mg/dL に維持する強化インスリン療法は行わないことを強く推奨する(1A)(作成方法A)。<解説>血糖値180mg/dL以上でインスリンプロトコルを開始することや180mg/dL以下を目標血糖値とすることの根拠は, NICESUGARtrialに由来している。患者の状態、重症度および医療者の判断によるが、重症患者では、経静脈栄養や持続経腸栄養によって栄養投与される場合がある。この際のインスリン投与は、間歇的投与と比較して、持続的静脈投与の方が低血糖や血糖の変動が少なくなると考えられており、各ガイドラインでも推奨されている。間歇的経腸栄養投与が行われている際には、間歇的インスリン投与の使用も考慮する。CQ2;血糖値測定をどのようにすべきか?1)経静脈的インスリン療法をうけているすべての患者は血糖値とインスリン投与量が安定するまで1-2時間毎に, 安定したのちは4 時間毎に, 血糖値を測定することを強く推奨する(1C)。(作成方法C)2)毛細管血を使用した簡易血糖測定法は血液ガス分析器による血糖測定と比較して測定誤差が大きく、正確性に欠けるため、血液ガス分析器による血糖測定の使用を強く推奨する(1B)。(作成方法C)3)血液ガス分析器による血糖測定でも測定誤差が生じるため, 適宜中央検査室での血糖測定を行い, その正確性を確認することを強く推奨する(1B)。(作成方法C)<解説>インスリン使用時に生じる危険な低血糖をさけるためには、頻回の血糖測定を行う必要がある。過去の急性期血糖管理の研究では、血糖値は少なくとも4 時間毎には測定されている。NICE-SUGAR studyでの通常血糖管理群3013 名(目標血糖値;144-180mg/dL)でも血糖値は少なくとも4時間毎に測定されていた。が、477名(15.8%)において41-70mg/dLの中等度低血糖が少なくとも1 度は生じ、15 名(0.5%)において40mg/dL以下の重度低血糖が少なくとも1 度は生じていた。また、これらの低血糖発生はいずれも死亡率増加と有意に関連していた。多くの重症患者の血糖測定では簡易血糖測定が選択されるが, その測定値は不正確でしばしば高く見積もられるため, 低血糖の発生を見逃す可能性がある。従って、重症患者における血糖管理は血液ガス分析器による血糖測定を使用する事が推奨される。しかし, 低血糖帯(血糖値80mg/dl以下)では、血液ガス分析器による血糖測定においても有意に測定誤差の発生率が増加するため注意が必要であり, 中央検査室での血糖測定による再検を適宜行い, その正確性を確認する必要がある。GD1-6 経腸・静脈栄養療法中の患者管理1)那覇市立病院 看護部、2)日本集中治療医学会 重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会清水 孝宏1,2)、小谷 穣治2)、江木 盛時2)、海塚 安郎2)、亀井 有子2)、神應 知道2)、木下 浩作2)、佐藤 格夫2)、清水 義之2)、志馬 伸朗2)、白井 邦博2)、巽 博臣2)、西田 修2)、東別府 直紀2)、松田 兼一2)、真弓 俊彦2)重症患者の栄養療法の重要性が認識され各施設で盛んに栄養療法が普及してきている。栄養療法は急性期と慢性期では患者の状態が異なるため管理が異なる部分も存在する。本ガイドラインは栄養療法中の患者管理として経腸栄養療法と静脈栄養療法の患者管理について取り上げている。経腸栄養療法中の患者管理として胃管の位置確認、胃内残量の管理、経腸栄養投与中の体位、間欠投与と持続投与、開放式・閉鎖式、便失禁管理システム、栄養チューブの口径、胃瘻の適応について。静脈栄養療法中の患者管理として中心静脈カテーテル挿入時の感染防御、中心静脈カテーテルの留置部位の選択、静脈カテーテルの交換について取り上げた。これら患者管理は限られた研究報告の内容で、エビデンスに乏しい部分もある。しかし栄養療法を安全に行うための管理については一定の見解を示す必要がありガイドライン作成委員会で検討した。