ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-347-GD1-3 重症患者の栄養療法ガイドライン作成委員会の委員会報告:経腸栄養1)神戸市立医療センター中央市民病院麻酔科、2)日本集中治療医学会 重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会東別府 直紀1,2)、小谷 穣治2)、江木 盛時2)、海塚 安郎2)、亀井 有子2)、神應 知道2)、木下 浩作2)、佐藤 格夫2)、清水 孝宏2)、清水 義之2)、志馬 伸朗2)、白井 邦博2)、巽 博臣2)、西田 修2)、松田 兼一2)、真弓 俊彦2)CQ1. 経腸栄養の開始時期はいつが望ましいか?A1. 重症病態に対する治療を開始した後、可及的に24 時間以内、遅くとも48 時間以内に経腸栄養を開始する事を推奨する。CQ3.栄養チューブの留置位置の選択と経十二指腸チューブの挿入法CQ3-1. 経腸栄養施行の際、経胃投与よりも、十二指腸以遠から投与されるべきか? A3-1. 誤嚥のリスクがある症例では幽門後からの経腸栄養を考慮することを弱く推奨する。(2C)CQ4. 入室後早期の経腸栄養の至適投与エネルギー量は?A4-1. 重症化以前に栄養障害が無い症例では、初期の1週間は消費エネルギーに見合うエネルギー投与量を目指さないことを弱く推奨する。(2D)ただ、至適投与量に関しては、消費エネルギーの1/4程度、500kcal/ 日程度の研究があるが、推奨出来る結論は出ていない(unknown field)A4-2. 重症化以前に栄養障害がある症例では、至適投与量は不明である。しかし、エネルギー負債が大きくなり過ぎない程度の投与量は必要である。(unknown field)本ガイドラインでの本項目の推奨の文言は以上になっている。 早期経腸栄養はこれまでのガイドラインでも一致して推奨されていた。ICU入室24-48 時間以内に経腸栄養を開始する事により生命予後を改善することが種々のメタアナリシス、観察研究より示されている。また、重症度が高ければ早期経腸栄養の効果はより高くなると考えられている。幽門後に栄養チューブの先端をおき、栄養剤を投与することに関しては、種々のメタアナリシスが発表されている。本委員会でもメタアナリシスを行い、幽門後栄養は生命予後改善には寄与しないものの、肺炎発症率を低減する事が示された。ただ、本邦ICUのマンパワーを鑑み、全ての症例で幽門後栄養を推奨することは現実的ではなく、誤嚥リスクの高い症例に対して幽門後栄養を推奨するとした。消費エネルギーの100%をICU入室後早期に投与すべきか否か、ICU入室後早期の経腸栄養の目標については議論がある。消費エネルギーの25%程度を目標投与量とするtrophic feedingや消費エネルギーの60-70%程度を目標とするpermissive underfeedingを、消費エネルギーの100%を目標とするfull feedingを比較した研究群である。本委員会でそれらを用い、メタアナリシスを行ったが、生命予後、感染症発症、在室日数など、種々の予後には経腸栄養投与量は影響しなかった。ただ、underfeedingにより腎代替療法を必要とする可能性が低減することが示され、またfull feeding による利益は示されなかったため、ICU入室後初期はfull feedingを行う事は推奨しないとした。ただ、上記の研究はBMIは25以上、50-60代の若く, 栄養障害の影響を受けにくいと考えられる症例が対象であったことには注意を要する。そのため、栄養障害がある症例の投与すべきエネルギーは不明であるとした。GD1-4 「重症患者の栄養療法ガイドライン作成委員会」の委員会報告:静脈栄養(PNの開始時期,PN の至適投与量)1)製鉄記念八幡病院 救急・集中治療部、2)日本集中治療医学会 重症患者の栄養管理ガイドライン作成委員会海塚 安郎1,2)、小谷 穣治2)、江木 盛時2)、亀井 有子2)、神應 知道2)、木下 浩作2)、佐藤 格夫2)、清水 孝宏2)、清水 義之2)、志馬 伸朗2)、白井 邦博2)、巽 博臣2)、西田 修2)、東別府 直紀2)、松田 兼一2)、真弓 俊彦2)重症患者における急性期栄養療法の基本は, 栄養評価, 早期経腸栄養, 血糖値管理である. 栄養投与ルートとしては, 経腸栄養を優先する. その中で, 静脈栄養(PN)を選択するケースは経腸栄養禁忌,腸管不耐症による実施不可症例, もしくは経腸栄養開始後に目標投与エネルギー量に達しない場合である.そのような背景のなか本ガイドライン(GL)では,PNに関しても型どおり,CQ. を設けそれに対するA. を作成した. 作成にあたりCQ1-4. はSystematic Review を行った. その結果6 編が「経腸栄養が出来ない場合の静脈栄養」に関して検討をした論文であった. 更に委員会で6編の論文を精査し,今回PNの章の推奨作成にあたり参照にすべき論文を3 編(Early PN Trial, EPaNIC Trial, SPN Trial)とした. 推奨を参考にするに当たり, 検討3 論文の対象患者は, いずれもBMI28前後であり, 本邦のICU症例のBMI分布とは大きく異なっている.そのため,内因性エネルギーに依存する急性期栄養管理においては, そのまま当てはめるには注意を要する点を強調しておきたい. 以下CQ.-A. を列記する.CQ1. 静脈栄養の適応患者は? A1.重症化前に低栄養がない患者において,初期1週間に経腸栄養が20kcal/ 時間以上投与できれば,目標量達成を目的とした経静脈栄養を行わない事を弱く推奨する.(2B)CQ.2 静脈栄養の開始時期は? A2. 持続的な経腸栄養によるエネルギー投与量量が平均20kcal/時間未満の症例での静脈栄養の開始時期は明確ではない.(Unknown field)CQ3.静脈栄養のエネルギー投与量は? A3.急性期における静脈栄養の至適エネルギー投与量は明確ではない.(Unknown field)CQ4.静脈栄養時の組成はいかにすべきか? A4.静脈栄養を実施する場合にはブドウ糖輸液単独では行わないことを弱く推奨する.(1C)となり, 推奨事項は甚だ心許ないものである. 現状においては急性期の静脈栄養の適応に関しては, 個々の患者の病態, 栄養状態を勘案し, 開始時期, エネルギー投与量の多寡による有益性および有害性を考慮し決定されるべきである. 更に,PNに特有の注意点としての,ビタミン・微量組成,投与経路に関し以下のCQ.-A. を作成した.CQ5. ビタミン, 微量元素の投与を重症度の高い集中治療患者に行うべきか? A5. 重症度の高い集中治療患者への総合ビタミン剤,微量元素製剤の通常量の投与を強く推奨するが,投与推奨量を決定する十分なデータはない(1B)Refeeding syndromeを起こることが予測される患者には血中リン, マグネシウム, カリウムのモニタリングを推奨する(1C).CQ.5.静脈栄養時に,中心静脈アクセスを使用すべき場合は? A.5.中心静脈ルートは,浸透圧比3以上の輸液製剤を用いる場合に使用することを強く推奨する(1D).