ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-343-CR15-5 Rapid Response Systemにおける国際情勢と海外交流Rapid Response System検討委員会児玉 貴光、安宅 一晃、新井 正康、川崎 達也、川原 千香子、仙頭 佳起、中田 孝明、藤谷 茂樹、藤原 紳佑、三宅 章公、織田 成人【背景】1995年に初めて報告されたRapid Response System(RRS)は、少しずつ知見を積み重ねて改善を繰り返してきた経緯がある。2005年にInternational Conference on Medical Emergency Teamsにおいて概念や用語が整理されるようになり、国際的なコンセンサスが形成されてきた。その結果として、医療安全を実現する重要なセーフティネットとして世界中に浸透するようになった。今やRRS は医療安全には欠かせない重要な役割を担っているのである。【世界の趨勢】2013 年からはイギリスとオーストラリアが主導する多施設前向き観察研究であるMedical Emergency Team: Hospital Outcomes after a Day(METHOD) studyが開始され、いよいよ多国籍による大規模研究が開始された。また、2014年にオーストラリアからはRRS導入後の8年間という長期にわたる研究結果が報告されるなど、研究のあり方も大きく変化している。今日では運営面においてもrover teamというresponse teamの概念も登場し、その進化・改革は留まるところを知らない。【アジア圏における現状】その一方で、医療システムや文化の差異からアジア圏では導入が遅れてしまっていたのが実情である。しかし、2005年に國立臺彎大學醫學院附設醫院がClinical Alert System を導入、2008年に韓国のAsan Medical CenterもRRS を導入したことでようやくその萌芽が認められるようになった。少し遅れてわが国においては2009 年に和歌山県立医科大学がRRSを導入したことが嚆矢となり、現在では数多くの医療機関がコードブルーとは別のシステムとして採用するようになっていることは特筆すべきである。しかし、院内心停止のデータやRRS 導入の効果に関する研究結果については韓国からの報告が圧倒的に多く、わが国も私淑すべき点が多く存在することは間違いない。【今後の展望】RRS を適切に発展させていくためには、国際的な動向を理解しておく必要がある。そのためには、集中治療関係者は常に最新の情報を入手して、国際学会などの場を通じて議論を深めていかなかなければいけない。また、世界的には後発となっているアジア圏ではあるが、西洋諸国とは異なる医療文化を踏まえた上での共同研究や交流を深めていくことが望まれる。