ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-329-CR7-2 早期リハビリテーションエキスパートコンセンサス,呼吸器系のCQとコンセンサスについて1)大垣市民病院 呼吸器内科、2)長崎大学 大学院 医歯薬学総合研究科 保健学専攻、3)聖マリアンナ医科大学病院 リハビリテーション部、4)聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 理学療法学科、5)長崎大学病院 リハビリテーション部安藤 守秀1)、神津 玲2)、横山 仁志3)、有薗 信一4)、花田 匡利5)早期リハビリテーションエキスパートコンセンサスにおいて,私達は主として呼吸器系のCQ をまとめ,それに対するコンセンサスの作成を行った.私達の担当したCQ は以下の8 項目である.1. 早期離床や早期からの運動は挿管人工呼吸患者においても安全に実施し得るか.2. 早期離床や早期からの運動はせん妄を改善するのか.3. 早期離床や早期からの運動はせん妄を予防するか.4.適正な鎮痛鎮静プロトコールは早期リハの効果を促進するか.5. 呼吸理学療法は呼吸器合併症を予防するか.6. 呼吸理学療法は無気肺の解除に有効か.7.早期からの口腔や嚥下機能への介入は誤嚥性肺炎を予防できるか(挿管中,抜管後).8.集中治療室での早期離床や早期からの運動の中止基準(進行基準)は.このうち1-4 および8 は主として早期離床に関連する項目であり,早期離床や早期からの運動は挿管人工呼吸患者においても安全であることと,早期離床はせん妄を改善することにおいて私達の見解は一致している.しかし早期離床のせん妄予防効果については十分に期待はされるがまだ直接検証されておらず現時点では明らかではない.また適正な鎮痛鎮静プロトコールは早期リハビリテーションの実施に必要であると考えられるが,実際にそれが早期リハの効果を促進することはまだ示されていない.従ってこれらはこれから検証されなければならない.集中治療室における早期離床の中止および進行の基準についてはこれまでに幾つかの提案が成されており,その内容も概ね一致しているが,一つ一つの基準の妥当性の検証はまだこれからの段階であると考えられる.5-6 は呼吸理学療法に関する項目であるが,早期リハビリテーションにおける呼吸理学療法の位置づけは明確でなく,委員会においても呼吸理学療法に関する項目はCQとして不要ではないかとの意見も出されていた.しかし呼吸管理中の患者に対してアプローチする以上,呼吸に関する項目を検討することは矢張り必須であると私達は考えている.ここで重要なことは,排痰や呼吸練習を中心とした従来型の呼吸理学療法は集中治療の領域おいて一般に無効であり,漫然とこれを行うことは推奨されないこと,これに対し非挿管患者に対する間欠的CPAP 療法や挿管中の患者に対するマニュアルハイパーインフレーションなどのリクルートメントに関連した手技は無気肺や肺炎など呼吸管理に関連した呼吸器合併症を防止する可能性があることである.従って呼吸理学療法に対する視点を今後は変えていく必要があると考えられる.以上のコンセンサスを代表的な文献を紹介しながら解説する.CR7-3 「早期リハビリテーション:根拠に基づいたエキスパートコンセンサス」について~理学療法士の立場から~1)市立函館病院 中央医療技術部 リハビリ技術科、2)日本集中治療医学会 早期リハビリテーション検討委員会山下 康次1,2)、安藤 守秀2)、飯田 有輝2)、尾崎 孝平2)、小幡 賢吾2)、神津 玲2)、小松 由佳2)、高橋 哲也2)、西田 修2) 近年、集中治療を要する重症患者の早期リハビリテーションが注目されている。それらの多くは、鎮静をコントロールし、患者の自発性を促し早期リハビリテーションや早期離床を開始する、というものである。2009 年にLancet に掲載されたSchweickertらの報告Efficacy and safety of a paired sedation and ventilator weaning protocol for mechanically ventilated patients in intensivecare(Awakening and Breathing Controlled trial): a randomised controlled trial.は、非常にインパクトのある論文であり、早期リハビリテーションの変革に大きな影響を与えた。一方で、本邦における集中治療室での早期リハビリテーションは、実施されている施設は増加傾向にあるものの経験的な側面で実施されているのが現状である。第41 回の本学術集会にて、小幡らが報告した集中治療領域での理学療法に対するアンケート調査では、リハビリテーションの重要性や必要性を認識しながらも、多職種の連携や協働には多くの課題や問題があるとの結果であった。そこで、本学会早期リハビリテーション検討委員会では、早期リハビリテーションの手順を示す手引きとして「早期リハビリテーション~根拠に基づいたエキスパートコンセンサス~」を作成することとなった。本エキスパートコンセンサスは、早期リハビリテーションの歴史的背景、早期離床の定義・効果・対象・開始および中止基準、集中治療室でのリハビリテーション実施体制(多職種の役割も含め)などを多職種が執筆することにより構成されている。本書の目的は、早期リハビリテーションの現状をまとめ、更なるエビデンス構築が必要であることを改めて認識すること、その中で新たなリサーチクエスチョンの誕生を期待し、集中治療領域における早期リハビリテーションの内容や体制の標準化に向けた第一歩を踏み出すこと、が大きな目標の一つでもある。今回、理学療法士の立場から、理学療法関連のCQ に対してどのようなコンセンサスが出来上がりつつあるのか、理学療法士として作成に関わり、コンセンサス作成の意義と課題、の2点について報告させていただく。本委員会報告後に会場の皆さまより、多くのご批判ならびにご助言をいただき、エキスパートコンセンサスのさらなる充実を図ることができれば幸いである。