ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-323-CR3-5 PICU教育埼玉県立小児医療センター集中治療室・救急準備担当植田 育也CR3-6 集中治療専門医像のパラダイムシフトに相応した教育プログラムの更新について日本集中治療医学会教育委員会貝沼 関志、橋本 悟、松田 兼一、六車 崇、斎藤 憲輝、七戸 康夫、坂本 照夫、水谷 太郎、安宅 一晃、佐藤 直樹日本集中治療医学会(以下、学会)は2011年度理事会で「(集中治療専門医像は)コンサルタント的立場でなく、ICUというユニットをうまく使い専従性を増すことによって集中治療を実践する立場をとることをめざす」ものとして、従来の各診療科の枠を超えた独自の一分野としての集中治療医学の立場を打ち出した。学会は2013年に集中治療部で働く医師が共通して使用できる集中治療教育プログラム第2版を策定した。すなわち、基盤診療科が何であろうと、集中治療専門医になるまでに取得すべき必要最低限の内容は同一であるとした考え方である。日本専門医制評価・認定機構(以下、機構)は2013年6 月17 日理事会において本学会専門医制度を認定し日本集中治療医学会をサブスペシャルティー領域の学会として位置づけた。現在、集中治療専門医新規申請にあたっては、教育プログラム第2版に基づく診療実績表提出が必須であり、2015年専門医試験は専門医テキスト第2版をベースとして出題している。現在、機構は基盤診療科専門医取得後に集中治療専門医となるための教育・研修に3年程度必要であろうとの見解を表明している。この点からは、現行制度の基盤診療科専門医取得後最短1年で集中治療専門医申請が可能となっている制度を見直す必要がある。現行の診療実績表ではL-2 レベル41 項目で1項目2 例計80 例の70%以上の記載、L-3レベル40項目で同様に70%以上の記載でよしとし、更に各項目3 例目の記載を認めているのでさらに少ない項目数でも申請が可能となっている。すなわち、基盤診療科別の集中治療専門医としての部分を排除できない内容である。これは新専門医制度発足時のあくまでも過度的措置としてとられたものと考えられる。今後は、施設によっては経験が難しい疾患(例えば多発外傷、妊産婦緊急、大手術後管理、中毒、移植、小児先天性疾患など)の診療能力も含めたminimum requirement(機構の言ういわゆるコアとなる部分)の習得を実現する教育・研修システム(病院群)の構築が必要となる。また、集中治療というサブスペシャルティー分野は各基盤診療科の診療の進歩を絶えず吸収しながら発展する特性を持つことから、同時併行的に各々の基盤診療科の診療能力を継続的に維持することができるような集中治療教育・研修期間の設定も必要である。現在の機構の考え方を制約と捉えるのでなく、基盤診療科専門医取得の上で更に高度のサブスペシャルティー領域としての集中治療専門医を育てるための追い風として捉え、各基盤診療科別の集中治療専門医の部分を脱却し、名実ともにサブスペシャルティー領域の独立した集中治療専門医像を育てるという思考のパラダイムシフトが必要であろう。この観点からどの基盤診療科からであろうと、その専門医取得後に3年程度で更に習得すべきコアとなる集中治療診療能力とは何かを教育プログラム更新のなかで明らかにする必要がある。