ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-312-PC8-1 集中治療専門医は、Super-specialty ?東京ベイ浦安市川医療センター藤谷 茂樹新専門医制度が、2017年度より導入され、今後の日本集中治療医学会での履修項目がより厳格になることが予想される。世界各国で異なる集中治療専門医制度をとっており、主に3つに分けられる。Supra-specialty mode(l 基幹となる分野の専門医資格取得後、集中治療専門医の取得ができる)、Single-specialty model(1 つの専門医コースからのみ、集中治療専門医の取得が可能)、Multiple sub-specialty model(基幹専門医コースがそれぞれの専門医コースの中に、集中治療専門医のトレーニングコースを要ししており、その内容はそれぞれの基幹コースにより異なる)の3つのモデルがある。ヨーロッパでのアンケート調査では、地理的な問題もあり混在したプログラムが多く、コンピテンシィーベースのCoBaTrICE (Competency Based Training programme inIntensive Care Medicine for Europe)研修システムの形態をとっている。その内訳は、 Supra-specialty(39%), Multiple subspecialty(30%), Single sub-specialty(22%)となっている。現在、本邦での集中治療専門医は、救急医、麻酔科医が基幹であることが多く、Multiple sub-specialty modelが多く該当している。しかしながら、研修内容の標準的な質が保証されているわけでなく、米国のACGMEに習った新専門医制度では、米国と同様な仕組みで、Supra-specialty modelが主流になる。そのためには、日本集中治療医学会では、ある一定の基本系となるプログラム作成が必要となり、これが集中治療専門医を標榜するための必要条件であると考えている。このSupra-specialty modelで専門医教育をするためには、一施設で履修することができない場合も有り、その場合、他施設もしくはoff-the-job training などカリキュラムのモデルを提示することも必要であろう。また、Supra-specialtymodelプログラムの質を評価するための客観的な指標が必要になり、標準的な集中治療医育成が全国の普及に繋がる。Pro-Con 8 2月13日(土) 8:00~8:50 第1会場集中治療専門医はsuper-specialityPC8-2 集中治療専門医はsubspecialtyである帝京大学 医学部 救急医学講座坂本 哲也 日本集中治療医学会の専門医制度・審査委員会(松田兼一委員長)が2015 年に実施した専門医資格に関する調査によれば、集中治療専門医1,218 人中740 人(60.8%)から回答を得て、基本領域の専門医(指導医、認定医を含む)を持つ者(複数領域の重複あり)は、麻酔科471 人(38.7%)、救急科347 人(28.5%)、内科104 人(8.9%)、外科72 人(5.9%)、小児科22 人(1.8%)、脳神経外科20 人(1.6%)、整形外科2 人(0.2%)、産科婦人科1 人(0.1%)、泌尿器科1 人(0.1%)、リハビリテーション科1 人(0.1%)であり、麻酔科と救急科の専門医で過半数を占めていた。麻酔科専門医4,045 人の11.6%、救急科専門医4,065人の8.5%が集中治療専門医を取得していることになる。American Board of Medical Specialties の報告書(2013-2014)によれば、Critical Care Medicineは他のsubspecialtyと異なり6 つの基本領域により提供されている。米国内のCritical Care Medicine 専門医数は15.510人で、領域別ではAnesthesiology 1,612 人(10.4%)、Emergency Medicine 56 人(0.4%)、Internal Medicine 9,545 人(61.5%)、Obstetricsand Gynecology 3 人(0.0%)、Pediatrics 1,790 人(11.5%)、Surgery 2,504 人(16.1%)であり、Internal Medicine が最多である。Internal Medicine 専門医204,538 人の4.7%、Anesthesiology 専門医46,636 人の3.5% がCritical Care Medicine 専門医である。European Diploma in Intensive Care Medicine では受験資格となる基本領域をAnaesthesiology、General/Internal Medicine、General Surgery、Accident & Emergency Medicine、Paediatrics とし、Intensive Care Medicine も基本領域として認めている。日米欧で基本領域の構成に違いはあるが、他のsubspecialtyに比べて、多種にわたる基本領域の上に構築されている点が特徴である。集中治療専門医は急性期重症患者の生命維持と治療における最後の砦である集中治療分野を担う医師である。わが国では特定集中治療室管理料を算定するために、専任の医師が常時、ICUにいることが求められているため、集中治療医が診療を行う場をICUに限らざるを得ない状況が多い。しかし、集中治療を必要とする患者は、発症直後から集中治療専門医の管理下に置かれるのが理想であり、そのためには、診療の場を病院外の発症現場から病院の初療室を経てICU に至るまでの全経過とすることが望まれる。また、病院内で発生する重症患者に対しても、Medical Emergency Team やRapid Response System の核となりICU の外まで手を伸ばして対応することが望まれる。これらは集中治療専門医を中心とした看護師や臨床工学技師等による集中治療チームによって達成されうる。各自の得意とする領域の急性期重症患者管理に情熱を持つ基本領域の医師達が、集中治療医学をsubspecialtyとした知識と技能を共通概念として持った上でチームを構築することが実戦的である。