ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-305-PC1-1 Pro-Con VCV vs. PCV "VCV"神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター瀬尾 龍太郎VCV とPCV の間で人工呼吸患者の予後が変わるとの報告はないが、VCVはいくつかの点でPCV より有利かもしれない。1)安全性: 現代の人工呼吸管理において、容量損傷と圧損傷の予防に努めることはコンセンサスがあると言っていいだろう。VCVと違いPCVでは一回換気量が規定できないため、容量損傷が発生してしまう可能性がある。また、非常に多くの医療者が「PCVでは圧損傷が起きにくい」と誤解しているようであるが、自発呼吸がある場合には、PCVであってもプラトー圧は容易に30cmH2Oを超えうることを知っておく必要がある。2)モニタリング: 多くの人工呼吸器では、VCV管理中には吸気終末ポーズを設定できるため、持続的に静的コンプライアンスのモニタリングが可能である。さらに、矩形波を用いると気道抵抗も経時的にモニタリングができ、循環動態が破綻するような重症喘息発作といった閉塞性障害に対して、治療の有効性をリアルタイムに判断する事が可能である。加えて、ピーク圧とプラトー圧を継続的にモニタリングする事で、気道内圧が上昇した際に、その原因がコンプライアンスの低下か気道抵抗の上昇かを判断する事ができる。残念ながらPCV管理下では、一回換気量が低下した際に、その原因を人工呼吸器のグラフィックからは判断することは困難である。また、PCVの利点とされる最高気道内圧の制限や同調性について、VCVであっても漸減波を用いると同様の利点を得る事ができる。Pro-Con 1 2月12日(金) 9:00~9:50 第2会場VCV vs. PCVPC1-2 PCVの方がVCV より安全・快適である徳島大学病院 ER災害医療診療部今中 秀光PCV とVCV の間で人工呼吸患者の予後が変わるとの報告はないが、PCVはいくつかの点でVCVより有利かもしれない。1)安全性: VCVで一回換気量を制限しても、吸気努力が強く二段吸気が発生すれば結果的に一回換気量が増大してしまう。PCVでは気道内圧を制限し、人工呼吸に関連した肺損傷を抑制することが期待される。特に脆弱な小児肺、不均一分布の肺病変では気道内圧の制限が重要である。ただしPCV でも一回換気量を制限する必要がある。2)換気分布: VCV では良い肺胞ばかりが換気され、肺損傷を誘発するおそれがある。PCVでの換気分布は肺胞の特性に従う。3)同調性: VCVでは吸気流量パターンが固定されるので、自発呼吸の強い患者との同調性は悪い。PCVでは流量パターンが吸気努力に従って変動するため、自発呼吸との同調性に優れる。4)呼吸仕事量の調節: PCV設定圧を段階的に下げることにより、患者の呼吸仕事量を徐々に増やし人工呼吸器から離脱することができる。5)リークへの対応: 気管チューブ周囲からのリークがあるとVCVではリーク分だけ一回換気量が低下するが、PCVでは比較的保たれる。