ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
- ページ
- 303/910
このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている303ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集 の電子ブックに掲載されている303ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-301-WS4-1 ICUから在宅を考える千葉県済生会習志野病院 集中管理室鎌田 あゆみ団塊の世代が後期高齢者となる「2025 年問題」に向けて診療報酬の改定や様々な法整備が進んでいます。「病院から在宅へ」打ち出された指針は(1)医療提供体制の再構築と(2)地域包括ケアシステムの構築です。今までは病院に入院していた方たちも自宅で在宅医療や看護・介護を受けながら生活する方の増加が予測されています。 高度急性期医療の進歩により救命された方でも後遺症を残したまま自宅に戻られたり、在宅療養されている方が症状悪化しICUで治療を受けることもあり、集中治療と地域や在宅の関係が変わってきています。 私は集中ケア認定看護師としてICU で勤務しながら、週に一日は併設の訪問看護ステーションへ出向し訪問看護に携わっています。ICU で人工呼吸器管理を行い、治療を終え自宅退院された60台前半の女性の方を引き続き訪問させてもらうという経験をしました。その方は長期の入院で筋力が低下し家の中を伝い歩きで移動し入浴も一人では行えません。訪問した際には病状の観察や清潔援助・下肢のリハビリ・日常生活の援助と家族支援を行っています。そこで感じるのは早期リハビリテーションの大切さと、その方の生活背景を把握し早期から家族支援を始めることが退院後の在宅療養を成功させるポイントだということです。また、神経難病で今後気管切開をするかどうかの意思決定支援の場への同行や、気管切開しないと決断し自宅でNPPVを装着しながら療養していた方の呼吸状態をアセスメントしながらの療養支援、以前勤めていた病院の集中治療室で関わり気管切開をした状態で自宅へ戻り療養している方との再会などさまざまな経験をしました。訪問看護ステーションのスタッフへの援助としてはフィジカルアセスメントの勉強会や症状に合わせたケアプランのアドバイスを行っています。私自身は病院で治療を受けている患者が自宅へ戻り療養している姿を見ることで、入院中のケアで不足していたことはなかったか?と振り返るきっかけになりました。そしてICU という医療機器が多くの生体情報をもたらしてくれる環境ではなく、血圧計とパルスオキシメーターしかない環境での対象に合わせた観察とフィジカルアセスメントをする機会に触れることで、五感すべてを投じ相手と向き合う機会が得られたことはとても貴重な時間になりました。これらの体験からICU から考える在宅医療や、在宅医療を受けている方の支援を振り返りたいと思います。ワークショップ 4 2月13日(土) 9:40~10:50 第9会場集中治療から始める地域連携・在宅支援WS4-2 集中治療から始める地域連携・在宅支援 ~看護専門外来における役割~兵庫医科大学病院山岡 綾子65歳以上の人口は、現在3,000万人を超えており、団塊の世代が75歳以上となる2025年(平成37年)以降は、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれている。このため、厚生労働省においては、2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもと、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。当院は特定機能病院であり、高齢者・複合合併症を持ちながら侵襲の高い治療を受けられる患者が多数いるため、早期回復、合併症予防、患者・家族の意思決定支援といった患者・家族を中心とした看護支援が必要である。心臓血管外科部門においては、平均年齢71.2歳の患者が手術療法を受けている。このため、心臓血管外科看護専門外来では患者・家族に対し、入院前では病状説明、手術方法や入院から集中治療室を経て、退院までの経過など周術期オリエンテーション、周術期口腔管理、心不全予防行動などについて指導を行っている。この段階を経て、入院中の生活支援、術後早期回復を目指したケア、自宅での生活を視座においた退院指導や社会資源の活用を行い、患者がその人らしく、元の生活に戻れるよう、支援を行っている。疾病を抱えても、自宅等の住み慣れた生活の場で療養し、自分らしい生活を続けられるためには、地域における医療・介護の関係機関が連携して、包括的かつ継続的な在宅医療・介護の提供を行うことが必要であることは周知のとおりである。しかしながら、大学病院の現状として、医療機関や介護施設、訪問看護ステーションなどと地域連携をどのように行うかということ、急性期を担う看護の役割として退院後の在宅支援を見据え、それぞれ外来部門や病棟部門、集中治療部門といった分化した部門の「強み」をつなげ、実践するかが問われている。「おまかせ医療」であった時代は終わり、患者自らが治療を選択するといったように患者の自律が守られ、その人らしく生きることが尊重される時代である。当院のような先進医療を行う大学病院においては、重篤な病状や複合合併症を患いながら外科的治療を受けるといったハイリスク患者が多数いるなかで、『患者が治療を受け、住み慣れた場所と元の生活に戻る』ということは最良のゴールであると考える。当院心臓血管外科看護専門外来における実際の介入をもとに集中治療から地域連携についてこれからの課題などみなさまと考えていきたい。