ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-293-PD3-5 終末期医療の選択にかかわる患者・家族に対し倫理的行動がとれるICU看護師の育成北海道大学病院 ICU救急部ナースセンター高岡 勇子2014年日本集中治療医学会看護部会では、集中治療に携わる看護師の実践能力の向上と主体的なキャリア形成の支援を目的に「集中治療に携わる看護師のクリニカル・ラダー」を提示した。その中で臨床実践能力、組織役割遂行能力、自己教育研究能力とともに看護倫理に関する項目がおかれ、段階的に倫理的ジレンマへの気づき、患者の権利擁護、患者・家族の意志決定支援ができることが示されている。当施設で用いている看護実践能力開発ラダーでも、看護実践能力の項目の中で上位レベルでは倫理的行動がとれることが求められており、看護管理者は看護師の倫理的対応力向上に向けた教育や支援を行う必要がある。近年、当施設においては、患者の意思が確認できない中で患者家族が終末期医療に関する意志決定を行う状況が増えている。対応にあたっては、厚労省や関連学会からの終末期医療に関するガイドラインや勧告等をふまえ、当部署において作成した終末期医療に関する指針に則り医療チームで対応を行っている。その中で看護師には倫理的行動とともに、看護師としての役割発揮が求められている。そこで、計画的に教育機会を設け、看護者の倫理綱領(日本看護協会)や部署の指針の読み合わせなどの学習会、事例検討、倫理カンファレンスの実施などに取り組んできた。看護師それぞれのキャリアや部署経験の違いなどで差はみられるものの、取り組みによって患者擁護の視点、患者・家族の背景や価値感、意思決定に至った理由などに関する情報収集への意識、また倫理原則や倫理綱領を倫理問題特定の際の根拠として説明に活用できるようになるなど変化がみえてきた。さらに終末期の判断の難しさを実感したり、多様で個別的な患者・家族の価値感や状況を共有・検討することで患者・家族の理解が深まり、より具体的な支援を家族と相談しながら行えるようにもなってきた。今回、終末期医療の選択にかかわる患者・家族に対しより良い支援を行うために行ってきた、倫理的行動習得に向けた取り組みと課題について報告する。