ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-285-PD1-1 小児急性脳症補助治療に対するスコーピングレビュー(プロトコル)1)トロント大学 トロント小児病院 麻酔科、2)兵庫県立こども病院 小児救急医療センター救急科青山 和由1)、椎間 優子2)急性脳症とは、広範囲の急性脳機能障害であり、意識変容、行動変化、もしくは痙攣などの症状を呈する。急性脳症の原因は多岐に渡り、小児では年齢に応じて原疾患の頻度が変化する。急性脳症の治療は、原疾患に特異的な治療を基本とし、原疾患に応じてステロイド投与、免疫療法、血液浄化療法や低体温療法などの補助治療が施行されることもある。エビデンスの存在しない補助治療は当然避けられるべきにも関わらず、小児急性脳症という大きなカテゴリーの元、エビデンス無視の補助治療が施行されている事態も事実である。本学会の小児集中治療委員会は、このような事態を考慮し、既存のエビデンス(小児急性脳症の補助治療)を整理するためのワーキンググループを要すると判断し、我々はスコーピングレビューという手法を用いて、本プロジェクトを行うこととした。スコーピングレビューとシステマティックレビューは異なる。システマティックレビューでは特異的な臨床疑問に答えを追求するのに対して、スコーピングレビューではエビデンスが混沌としている興味領域の中で現在どのようなエビデンスがどのような比重で存在しているのかを明らかにするという非特異的な臨床疑問の答えを模索する。スコーピングレビューもシステマティックレビューもプロトコルを作成し、研究結果の反復性を科学的に保証することは共通している。ただし、スコーピングレビューでは臨床疑問がより広範囲を対象とし、利用する文献データベースもより多岐に渡る。本発表では、スコーピングレビューとシステマティックレビューの研究手法の違いを説明しながら、我々が作成している小児急性脳症補助治療に対するスコーピングレビューのプロトコルを示し、パネルディスカッションを通じてプロトコルの問題点やその解決方法を考察することが目的である。パネルディスカッション 1 2月12日(金) 15:40~17:40 第7会場急性脳症PD1-2 Glasgow Coma Scaleによるけいれん重積型脳症の早期診断1)長野県立こども病院 小児集中治療科、2)長野県立こども病院 神経小児科天笠 俊介1)、松井 彦郎1)、宮本 和1)、染谷 真紀1)、佐藤 公則1)、黒坂 了正1)、北村 真友1)、笠井 正志1)、福山 哲広2)【背景】 けいれん重積型脳症(AESD)は初回けいれん後、一過性に意識が改善傾向を示し画像では初期変化を認めないことが多い。そのため、複雑型熱性けいれんとの鑑別が困難であり、二相目のけいれん、または画像所見が出現してから診断がつくことが多い。【目的】 AESD を早期に鑑別するため、AESDと複雑型熱性けいれんの意識状態を比較検討する。【方法】 対象は2010 年8月~2015年7 月の5年間に発熱、けいれん、意識障害で長野県立こども病院小児集中治療に入室した症例のうち、最終診断がAESD、複雑型熱性けいれんだった症例。対象を複雑型熱性けいれん、予後不良AESD、予後良好AESDに分類し、GlasgowComa Scale(GCS)をはじめのけいれん開始時間から継時的に比較検討した。退院時のPediatric Cerebral Performance Category≧2を予後不良とした。【結果】 対象は49例で、そのうち複雑型熱性けいれん39例、AESD 10例(予後不良7例、予後良好3例)だった。1・6・12時間時のGCSは3群間に有意差を認めなかった。24時間のGCSは予後不良AESDで複雑型熱性けいれん、予後良好AESDと比較して優位に低かった(P<0.05)。予後良好AESD は全例24 時間時意識清明だった。24 時間時のGCS≦14は予後不良AESDに感度100%、特異度87%だった。また、複雑型熱性けいれんでは継時的にGCS の改善を示しているのに対し、予後不良AESD は6 時間以降の意識の改善が乏しかった。24 時間時のGCS ≦ 14 かつ6時間時から24 時間時にかけてGCS が2 以上改善しないことは、予後不良AESDに感度100%、特異度95%だった。【結語】 AESDの診断には継時的なGCSによる意識障害の評価が重要である。24 時間以内のGCS による継時的評価により、予後不良のAESD に対する集中・専門治療の早期介入の実現性が示唆された。