ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-283-JS2-3 一次救命処置帝京大学 医学部 救急医学講座坂本 哲也 日本蘇生協議会(JRC)は2015 International Consensus on Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency CardiovascularCare Science With Treatment Recommendations(CoSTR)の科学的根拠に基づいてJRC 蘇生ガイドライン2015 を作成した。CoSTR 2010に準拠して作成されたJRC蘇生ガイドライン2010 を元に、CoSTR2015で新たにGRADEの方法論により評価された項目を取り入れた。CoSTR 2015 で検討されなかった項目は、JRCのBLS 作業部会で2010 年以降の研究に対してエビデンスを評価して加筆修正した。加盟するアジア蘇生協議会(RCA)においてRCA adult BLS algorithm for lay rescuers を作成し、JRCとの整合性を持たせた。JRC 蘇生ガイドライン2015の一次救命処置の章では、さまざまな背景をもつ市民が、あらゆる年齢層の傷病者へ対応する場合を想定した共通のアプローチを作成した。重要なポイントは、1)訓練を受けていない救助者は、119番通報をして通信指令員の指示を仰ぐこと。一方、通信指令員は訓練を受けていない救助者に対して電話で心停止を確認し、胸骨圧迫のみのCPR を指導すること。2)救助者は、反応がみられず、呼吸をしていない、あるいは死戦期呼吸のある傷病者に対してはただちに胸骨圧迫を開始すること。心停止かどうかの判断に自信が持てない場合も、心停止でなかった場合の危害を恐れずに、ただちに胸骨圧迫を開始すること。3)心停止を疑ったら、救助者は気道確保や人工呼吸より先に胸骨圧迫からCPR を開始すること。4)質の高い胸骨圧迫を行うことが重要である。胸骨圧迫の部位は胸骨の下半分とし、深さは胸が約5cm沈むように圧迫するが、6cm を超えないようにすること。1 分間あたり100~120 回のテンポで胸骨圧迫を行い、圧迫解除時には完全に胸を元の位置に戻すため、力がかからないようにすること。胸骨圧迫の中断を最小にすること。5)訓練を受けていない救助者は、胸骨圧迫のみのCPR を行うこと。6)救助者が人工呼吸の訓練を受けており、それを行う技術と意思がある場合は、胸骨圧迫と人工呼吸を30:2の比で行うこと。とくに小児の心停止では、人工呼吸を組み合わせたCPR を行うことが望ましいこと。7)人工呼吸を2回行うための胸骨圧迫の中断は10秒以内とし、胸骨圧迫比(CPR時間のうち、実際に胸骨圧迫を行っている時間)をできるだけ大きく、最低でも60%とすること。8)市民によるAEDプログラム普及の重要性が国際的に確認されたこと。AEDが到着したら、すみやかに電源を入れて、電極パッドを貼付すること。AED の音声メッセージに従ってショックボタンを押し、電気ショックを行った後は直ちに胸骨圧迫を再開すること。9)CPRとAEDの使用は、救急隊など、二次救命処置(ALS)を行うことができる救助者に引き継ぐか、呼び、呼びかけへの応答、普段通りの呼吸や目的のある仕草が出現するまで繰り返し続けることである。JS2-4 JRCガイドライン2015 ALSのupdate愛媛大学大学院医学系研究科 救急医学分野相引 眞幸2015 年にILCOR(International Liaison Committee on Resuscitation: 国際蘇生連絡委員会)が作成した CoSTR(Consensus onResuscitation Science and Treatment Recommendations)2015 では、2 次救命処置(ALS)に関するPICO questions で検討されたものは42 項目で、2010 年から進歩があったものや重要なものが厳選され大幅に減らされた。そのCoSTR2015 をもとにJRCガイドライン2015 が作成されたが、日本の地域性も加味されている。今回のガイドラインのALS 部分における主な改正点は、CPR 中および自己心拍再開後の酸素投与、モニターや診断法、アドレナリンの投与量やその時期、抗不整脈薬の選択、体外循環補助を用いたCPR、心停止後症候群への体温管理、体温管理と予後評価、てんかん発作への積極的治療などであり、その内容を概説する。