ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-268-SY23-1 当院における小児心停止後症候群の現状と課題について熊本赤十字病院 こども医療センター大平 智子、武藤 雄一郎、小原 隆史、三浦 義文、市坂 有基、平井 克樹【はじめに】小児心停止後症候群(以下PCAS)においても成人と同様、救命の連鎖としての集学的管理が重要である。【目的】当院の小児PCAS症例における現状と課題について明らかにする。【対象と方法】2009~2014年度の6年間に当院で経験したPCAS症例に対し、管理や予後などの全体像および前後3 年間を比較したPICU 開設前後での変化について、診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】当院小児心停止例は6年間で104人、年齢の中央値は2歳11ヶ月、院内33人、院外71人で、死亡は68人であった。心停止の原因は外因40 人、内因46 人、不明18 人であった。心停止例のうちPCAS 例は38 例(35%)であった。PCAS 例の中で心停止時間が約20分以内であった19人のうち11人に厳密な体温管理が行われていた(目標温度が34度台3人、35度台2人、36度台6人)。その11人において1年後PCPC1であった症例は、34 度台1人、35 度台1 人、36度台は3人であった。また発症6 時間以降に37.5度を超える例が散見されたが、ほとんどが転院症例であった。前後3 年間の比較では、心停止数が前47人/後57 人、院外でのBLS施行率が前35%/後50%であった。ヘリ搬送例は前3 例(うち現場救急0 例)/後13例(うち現場救急7 例)であった。またPCAS 例が前14 人/後24 人であった。【考察】当院PCAS 例では平温療法であっても全身管理を厳密に行うことで神経学的予後良好な症例が散見された。また前後3 年間比較でPCAS 例の増加がみられたが、熊本県14歳以下の死亡数に調査期間中大きな変動はなく、PCAS 例増加の背景には、院外でのBLS 施行率の増加やドクターヘリ導入やPICU 開設による重症患者集約があると思われた。今後の課題としては、搬送中の体温管理を含めた全身管理を更に充実させることがあげられた。シンポジウム 23 2月14日(日) 8:00~9:50 第5会場Post Cardiac Arrest SyndromeSY23-2 小児心停止後症候群(PCAS)における予後予測因子の検討1)成育医療研究センター 集中治療科、2)成育医療研究センター臨床研究開発センター開発企画部其田 健司1)、井手 健太郎1)、壷井 伯彦1)、青木 智史1)、小林 徹2)、西村 奈穂1)、中川 聡1)【目的】日常臨床で一般的に用いられ、かつ迅速に結果が得られる検査よりPCAS の予後予測因子を探し出すこと。【方法】2009 年1 月より2015 年5 月に当院PICU でPCAS 管理を行った小児をPICU 退室時のPediatric Cerebral PerformanceCategory(PCPC)が3 以下の予後良好群と4以上の予後不良群に分けて検討した。【結果】対象は70 例で、予後良好群41例・予後不良群29 例であった。両群間で年齢・性別・発症前PCPC・低体温療法の有無に有意差はなかったが、血糖・乳酸・ナトリウムは有意に異なった(下表)。ROSC 直後から早期の血糖と乳酸、ROSC 後6時間以降のナトリウムで0.8以上の高いarea under the ROC curve( AUC)を認めた。【考察】血糖・乳酸・ナトリウムは異なる時間帯で高いAUCを示し、実臨床で用いることのできる予後予測因子となる可能性が示唆された。今後、身体所見・画像検査・電気生理学的検査を含めた予後予測モデルを検討する。