ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-256-SY18-5 感染制御の視点から見たPeripherally inserted central catheters(PICCs)の可能性東京ベイ・浦安市川医療センター舩越 拓、藤谷 茂樹Peripherally inserted central catheters(PICCs)は挿入時の合併症の少なさから近年使用が拡大している中心静脈へのアクセス方法である。また、特定行為ができる看護師の育成事業にPICC 挿入が含まれていることもあり今後も施行数が増加していくものと考えられる。感染制御の観点からは使用の増加とともにPICCs関連の血流感染の報告も増えてきており、通常の中心静脈カテーテルに比べ血流感染を減らしたとする報告が散見される。しかし、血栓症などの合併症が増えるなどの報告もあり、集中治療領域での実態は、未だ詳細が明らかでない。当セッションではPICCs を感染対策という点から論じるとともに、実際の使用経験を交えたデータを提示しながらPICCs の可能性を検討していきたい。SY18-6 中心静脈カテーテル関連血流感染症予防のために~クロルヘキシジン v. ポビドンヨード~1)武蔵野赤十字病院救命救急センター、2)日本集中治療教育研究会安田 英人1,2)、讃井 將満2)、小室 哲哉2)、畠山 淳司2)、松窪 将平2)、河野 真二2)、山本 泰史2)、安藤 幸吉2)、瀬尾 龍太郎2)、志馬 伸朗2)ICUにおける医療において輸液療法は必要不可欠である。その輸液療法のためには当然のことながら静脈カテーテルが必要となるが、静脈カテーテルは”異物” であり、血管内に留置することにより必然的に感染のリスクとなる。そのリスクは” 異物”であるがゆえにゼロにはなりえず、どのような静脈カテーテルでもそのリスクからは逃れられない。近年では末梢静脈カテーテルによる血流感染も注目されているが、ICU内では挿入件数も多く、カテーテル感染のリスクが一番高い中心静脈カテーテルによる血流感染に関して留意しなければならず、どの集中治療医もその安全管理に精通しておく必要がある。カテーテル関連血流感染症には様々な要因が関与するが、カテーテル刺入部からの皮膚常在菌の混入はその一つである。その予防のためにはカテーテル挿入時及び日々の管理における皮膚消毒薬が重要となる。本邦で使用可能なカテーテル挿入時の皮膚消毒薬には10%ポビドンヨード、0.5%クロルヘキシジンアルコール、1% クロルヘキシジンアルコールがあり、本邦のガイドラインでは同等とされているが、欧米のガイドラインではクロルヘキシジンアルコールを推奨している。しかし欧米で一般的に使用出来る濃度は異なり、欧米の推奨をそのまま本邦に適応することは単純ではない。そこで、本邦でどの消毒薬が推奨されるべきかの検証をすべく我々は上記3種の消毒薬の有効性を多施設ランダム化比較試験で比較した。結果は、両クロルヘキシジンアルコールは10%ポビドンヨードと比較し有意にカテーテルコロニゼーションを減少させた。これにより中心静脈カテーテル関連血流感染症予防に対しては0.5%クロルヘキシジンアルコールでも十分に効果を示す可能性が示唆された。本シンポジウムでは本研究の結果を提示し、本邦におけるカテーテル挿入前皮膚消毒薬として何を選択すべきか、これまでに報告されている他の研究も提示しつつ議論したい。