ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-254-SY18-1 院内感染に関する重要論文5 選(1年間)聖マリアンナ医科大学 救急医学柳井 真知ICUにおける感染症の合併は死亡リスクを2倍以上増加させるといわれており、院内感染コントロールはICU診療を改善させるカギである。しかし多彩な背景を持つICU 患者に対する適切な感染予防策、発症後の的確な治療法選択は容易ではない。これらの課題解決の一助となりうる、過去1 年に報告された感染制御に関する重要な論文を5つ紹介し、それに準ずる追加5論文をハンドアウトで配布する予定である。紹介する重要5 論文は以下の通りである。1. Prevention of Ventilator-Associated Pneumonia andVentilator-Associated Conditions: A Randomized Controlled Trial With Subglottic Secretion Suctioning. Crit Care Med.2015;43:22-30.(無作為比較試験、声門下吸引は人工呼吸器関連肺炎は減らすが、人工呼吸器関連事象は減らさない)2.Chlorhexidine Bathing and Health Care-Associated Infections: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2015;313:369-378.(無作為比較試験、クロルヘキシジン入浴の院内感染防止効果を否定)3. Association of a Bundled Intervention With Surgical Site InfectionsAmong Patients Undergoing Cardiac, Hip, or Knee Surgery. JAMA. 2015;313:2162-2171.(準実験研究、黄色ブドウ球菌のスクリーニング、除菌、予防を組み合わせたバンドルは心血管、股関節、膝関節手術の術後SSIを減らす)4. Intravascular Complicationsof Central Venous Catheterization by Insertion Site. N Engl J Med 2015;373:1220-1229.(無作為比較試験、中心静脈カテーテル挿入部位の合併症として鎖骨下静脈は内頸静脈や大腿静脈に比べ感染や血栓は少ないが気胸は多い)5. Catheter-RelatedBloodstream Infections in Patients on Emergent Hemodialysis. Infect. Control Hosp. Epidemiol. 2015;1-5.( コホート研究、緊急透析目的でトンネル型カテーテルを挿入した患者はグラム陰性桿菌による菌血症のリスクが高い。ロックヘパリン液の培養が早期診断に役立つかもしれない)シンポジウム 18 2月13日(土) 14:40~16:40 第8会場ICUにおける院内感染対策SY18-2 日本ICUでの理想的なantimicrobial stewardshipの追及 ~目指せ clean ICU~1)日本大学 医学部 救急医学系 救急集中治療医学分野、2)日本大学医学部附属板橋病院 薬剤部桑名 司1)、伊原 慎吾1)、澤田 奈実1)、山口 順子1)、木下 浩作1)、栃倉 尚広2)近年、日本でもantimicrobial stewardshipの概念が浸透してきているが実際の対策については議論が残る点もある。当院ICU での対策と結果についてMRSAを一例として紹介しつつ、日本のICUにおける理想的なantimicrobial stewardshipを考えたい。世界のICUにおけるある一日の菌の疫学研究では、全黄色ブドウ球菌に対するMRSAの割合は50%、Asiaのみでは62%であった。日本全体では2013 年のJANIS のデータでは同割合は51% であった。同年の当院ICU での同割合は33.8%(24/71)であり、JANISのデータと比較し有意に同割合が少なかった(p=0.0079)。2012年までの当院の取組として、一部抗菌薬の届出制・許可制、抗MRSA薬の使用量チェック、血液培養陽性者ラウンドなどがあり、ICUの取組として、新規研修医に対するICU勤務初日における感染対策指導があった。これに加え、2013年以降にICUで行ったantimicrobial stewardship として、感染症専門医のICU への常駐、ICU round 時におけるICU 専従薬剤師による抗MRSA 薬血中濃度解析と投与量や腎機能に合わせた抗菌薬投与方法の迅速なフィードバック、ICU専従薬剤師の主治医症例カンファレンスへの参加、当院ICU のantibiogramパウチの作成とICU 常勤医への配布を行った。この結果、MRSA割合が2013 年の33.8%から2014年の14.9% と有意に減少した(p= 0.0043)。このような取組が行えたのは、感染症専門医の存在だけでは不可能で、専従薬剤師を中心としたコメディカルとの連携があるからこそであり、チームが不可欠である。今後の課題として、2013 年と比べ2014 年はタゾバクタム/ ピペラシリンのDOTsの上昇と、緑膿菌の感受性率低下が認められた。このような課題を改善につなげるために、今後もclean ICU を目指し、さらなる感染管理にantimicrobial stewardship team として取り組んでいきたい。本会では当ICU の取組を紹介すると共に、日本のICUではどのようなantimicrobial stewardshipが理想的であるか議論したい。