ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-247-SY15-3 救急外来における蘇生後低酸素性脳症の神経学的予後予測法の確立に向けて名古屋大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学分野錦見 満暁、江嶋 正志、沼口 淳、松田 直之【はじめに】救急外来における低体温療法導入前に,post-cardiac arrest syndrome(以下PCAS)の神経学的予後を予測することは,医療展望の側面から重要である。心肺停止患者の救急初期診療におけるPCASの予後予測因子を同定することを目的として,救急・集中治療領域の基盤予測研究を立案した。【方法と結果】過去3 年から4 年間に当院と連携病院の集中治療室に入院し,低体温療法を施行したPCAS 連続60 症例の後方視解析により,神経予後に影響をおよぼす因子を調査した。退院時Cerebral PerformanceCategories Scale(CPC)2以下を予後良好群とした。全60例中予後良好群は26例,不良群は34例だった。両群で有意差を認めた内容は,目撃の有無,救急隊接触時の初期波形,推定心肺停止時間,心原性の有無, 初期診療時pH,乳酸値,血清Alb, Hb, Hct,CRP, 心拍再開時GCS のM2以上の有無,瞳孔散大の有無,頭部CT での皮髄境界の不明瞭化の有無, 複数回のCPA の有無だった。年齢とby-standerの有無には,有意差を認めなかった。【結論】以上の結果を詳細に評価した解析結果を元にして,PCAS の神経学的予後を初期評価できる基盤プログラムを構築する。本シンポジウムでは,蘇生後低酸素性脳症の集中治療管理について,自施設のデータに基づいて討議する方針である。SY15-4 Thromboelastometry(ROTEM)を用いた院外心停止症例の来院後自己心拍再開を規定する因子の検討佐賀大学医学部附属病院 高度救命救急センター小網 博之、阪本 雄一郎、今長谷 尚史、八幡 真由子、梅香 満、三池 徹、永嶋 太、岩村 高志、山田 クリス孝介、井上 聡背景:院外心停止症例(OHCA)に対する蘇生ガイドラインは今日まで定期的に改良が加えられているが、蘇生率はいまだ低く、特に自己心拍再開(ROSC)と凝固線溶異常についての知見は乏しい。方法:対象は2013年からの2年間に当院高度救命救急センターに搬送されたOHCA症例のうち、救急外来にてROTEM 測定した症例でEXTEM やINTEM の凝固が確認できた48例。小児や外傷例は除外した。救急外来でROSCした20 例とROSC しなかった28 例に分け、患者背景、病院前救護、来院時血液検査、ROTEM所見について単変量解析ならびに多重ロジスティック回帰分析を行い、ROSCを規定する因子を抽出した。最後にこれらの因子を用いて実際の症例との関連を解析した。結果:ROSCと性別、年齢、発症から採血までの時間、初期波形、採血とアドレナリン投与との関連、プレホスピタルケア、抗凝固薬の使用歴との関連は見られなかった。血液検査では、ROSC した症例は有意に血小板やフィブリノゲンが高値で、APTTの延長はごく軽度で、FDPやDダイマー、CKも低値であった。EXTEMでは、各時間の血栓硬度(A5-30,MCF)や血栓形成早期の立ち上がり(CFT,α)、線溶指標の一部(LI30,45)で有意差を認めた。INTEMでは、ほぼすべての指標で有意差を認めた。なお、線溶亢進した症例はROSC群で12例(60%)、非ROSC 群で23 例(82%)と非ROSC 群で多い傾向が見られた。次に多重ロジスティック回帰分析を行ったところ、乳酸値とINTEM のA25 がROSC を規定する因子であった。ROC 解析によりそれぞれカットオフ値を求めると、乳酸値は14.25 以下で感度55%、特異度70%、A25のカットオフ値は48.5mm以上で感度79%、特異度69%だった。実際の症例を当てはめてみると、これら2つを満たせばROSC率87.5%となり、どちらも満たさなければROSCした症例はなかった。結論:乳酸値とINTEMの血栓硬度により来院後約30 分で(非)ROSC症例を予測することができるかもしれない。