ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-240-SY12-3 小児における抜管後呼吸不全に対するハイフローネーザルカニューラと非侵襲的陽圧換気の検討大阪市立総合医療センター 集中治療部和田 翔、嶋岡 英輝、宇城 敦司、大塚 康義、山本 泰史、奥村 将年、岩田 博文、菅 敏晃、宮内 清司【緒言】抜管後呼吸不全に対して、非侵襲的陽圧換気(以下NPPV)の使用は一般的である。近年ハイフローネーザルカニューラ(以下HFNC)の使用を第一選択にしている施設も少なくない。しかし、両者の使い分けについては確立されていない。さらに小児では成人と比較すると報告も少ない。そこで当院ICU において抜管後HFNC もしくはNPPV を使用した小児例について検討した。【対象・方法】2014 年9 月1 日~2015年8月31 日の1 年間で人工呼吸を施行した小児199 例を対象とした。そのうち、抜管後HFNCまたはNPPV(nasal-DPAP を含む)を使用した37 例について、年齢、体重、人工呼吸が必要になった原因、挿管期間、人工呼吸器管理中の呼吸器設定、抜管前・導入時の動脈血液ガスの結果、施行期間、再挿管の有無について後ろ向きに検討した。【結果・考察】HFNC 群15 例、NPPV群22 例であった。年齢、体重、挿管期間、人工呼吸器管理中の最大PIP、最大PEEP、抜管前のP/F 比・PaCO2値、挿管期間、導入時のPaCO2値、再挿管の有無では両群間で有意差がなかった。施行期間のみHFNC群:23~75 時間(中央値46 時間)vsNPPV 群:5~70 時間(中央値19.5 時間)で有意にHFNC 群で長かった(p < 0.05)。HFNC はNPPV装着時に見られる不快感が少なく、小児でも長期に使用することが可能で、長期のサポートが考慮される状態や、NPPV からのbridging therapyとしての有用性が示唆された。また、HFNC は流量サポート、NPPVは圧サポートとして使用するのが基本であるが、今までNPPV を選択していた状態に対してもHFNC が有効である可能性が考慮された。その他、自己去痰の難しい小児でもHFNC は排痰を促しやすいという利点もある。今後、抜管後呼吸不全に対してHFNC の使用が拡大していくことが予想される。SY12-4 小児の急性呼吸不全における、非侵襲的人工呼吸管理(NPPV)とNasal high flow 療法(NHFT)の治療成績1)神奈川県立こども医療センター 救急診療科、2)神奈川県立こども医療センター 集中治療科林 拓也1)、山田 香里1)、永渕 弘之2)「初めに」当院では、急性呼吸不全に対してNPPVを積極的に導入している。2014年からNPPVに加え、NHFTでの呼吸補助を行っている。従来のNPPV と比較してその有用性を検討する。「対象、方法」2014 年1 月から2015 年8 月まで、当院の呼吸介入アルゴリズムに基づいてNPPVまたはNHFTを行った急性呼吸不全症例のうち、3歳以下または体重20kgを満たす106例。NPPV群54例、NHFT群50例について神経筋疾患の有無、挿管率を検討。「結果」2014年の挿管率は、NPPV群 9.1%(2/24)、NHFT群17%(6/36)。2015年に呼吸介入アルゴリズムを変更し、2015年の挿管率は、NPPV群17%(5/30)、NHFT群0%(0/14)。神経筋疾患有病率は、2014年のNPPV群33%(8/24)、NHFT群17%(6/36)に対し、2015年のNPPV群50%(15/30)、NHFT群0%(0/14)であった。「考察」2014年のNHFT使用経験から、換気障害に対するNHFTの効果が不十分と考え、NHFT 導入基準をpCO2<60 に変更、NHFT群は2015 年に全例挿管を回避できた。小児の呼吸不全では、NHFT による気道の洗い出し効果だけでは不十分で、NPPVによるpressure supportが有効である症例が多い。特に神経筋疾患など肺実質以外に負荷要因のある患者の急性呼吸不全においてはNPPV が第一選択である。「結語」換気障害が強い呼吸不全や基礎疾患を有する症例の呼吸不全では、NHFTよりNPPVの方が有用である。