ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集

-237-SY11-3 臓器関連を理解しよう: 心肺連関トロント大学 こども病院吉田 健史心臓と肺は同じ胸郭内に存在するために、心臓は肺の換気分布に影響を与え、また肺は心臓の充満圧に影響を与えるという心肺連関の重要性は以前より知られていた(AJP1947)。心臓の重量は、仰臥位では腹側から背側にかけて胸膜圧を増加させる結果、背側肺領域の経肺圧は減少し肺胞虚脱を引き起こす。実際、仰臥位の肺底部領域では肺の42%が心臓の下に位置するのに対して、腹臥位では1%以下に減少する(AJRCCM2000)。そのため、仰臥位に比べ腹臥位では、心臓の重量による肺胞の圧排を減少させることができるために肺内の含気分布が改善することはよく知られている。従って、腹臥位療法が重度ARDS の生命予後を改善させた機序の一つにこの心肺連関が挙げられるだろう(NEJM2013)。急性呼吸不全に肺高血圧と肺血管抵抗の増加が合併する心肺連関が初めて報告されたのは1977年のことで(NEJM1977)、低酸素や高二酸化炭素による肺血管攣縮やび漫性微小血栓による微小肺血管閉塞が原因で基本的には可逆性を有するものと理解されてきた。その後の研究で、ARDS の約20-25% に急性肺性心を合併し、ARDS の28 日後死亡率と院内死亡率の増加に関連することが報告されている(ICM2013)。従って、傷害肺に対して保護的治療を行うのと同時に右心に対しても保護的治療を行うという、心肺連関の重要性が示されている(ICM2013)。このセッションでは、生理学的観点から見た心肺連関、また単独臓器ではなくこれらの連関を考慮した治療戦略の重要性を論じたい。SY11-4 循環器集中治療における心腎連関日本医科大学武蔵小杉病院内科・循環器内科・集中治療室佐藤 直樹循環器領域で集中治療を必要とする急性心不全は年々増え続けており、パンデミックといっても過言ではない状況にある。こうした中、急性心不全における臓器連関に注目した集中治療は、その転帰を改善するという観点からも極めて重要である。その中でも、腎機能は極めて急性心不全患者の予後に関わっており、急性心不全はほぼ急性心腎症候群であると言われる所以である。実際、我々の新規バイオマーカーのデータでも多くの急性心不全患者が急性腎障害の危険にさらされていることが明らかになった。この急性心不全における急性腎障害をどのように判断し、どのようにアプローチすべきかについては、一定の見解は得られていないが、急性期の治療が少なからず、腎機能の予備能に影響を与えることが示唆するデータが集まりつつある。今回、自験のデータも含めて、急性心腎症候群に対する病態把握とそれに対する治療戦略の方向性を世界のトレンドを見つつ考えてみることとする。