ブックタイトル第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
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第43回日本集中治療医学会学術集会プログラム・抄録集
-227-SY7-1 救急医療におけるICU 看護師の臨床判断能力の育成-看護管理の立場から聖路加国際病院 救命救急センター田村 富美子ICU看護師の臨床判断能力の育成においては、複雑かつ重症な急性・緊急病態の患者家族への看護実践、チーム医療を遂行するにあたり、長期間を要する。当院救命救急センターでは、救急医療・クリティカルケアにおけるジェネラリスト育成を目指して、新人看護師の初期から救命救急センター3 部署間(ER・ICU・HCU)の看護師のローテーション(部署異動)を取り入れているが、ICU看護師の臨床判断能力の育成と救急看護師の専門的技術の習得や迅速かつ有機的な人員活用による協働体制の両立は課題の一つである。当院は、北米ER型救急外来と三次救急に対応する救命救急センターを有し、病棟ユニットはICUとHCU(ハイケアユニット)が含まれる。「日本救急看護学会クリニカルラダー(2009.11)」のステップ1~4 を参考に独自のステップアップ基準を設け、年単位、数か月単位で複数年かけてスタッフ看護師はローテーションを実施する。各部署の専門性、多様な病態に対応する看護を通して災害急性期にその支援のできる看護師を育成すること、その中でも、救急外来におけるトリアージ能力、ICUにおける臨床判断能力の育成には期間を要し、教育方法、ローテーションの時期の選択、期間設定には工夫を要し、未だその看護の質の維持・向上を目指して模索中である。ICUにおける臨床判断能力は、看護師経験を重ねて役割遂行に至るトリアージナースと異なり、新人初期の日常の看護実践中より求められ、新人看護師には習得の壁が高い能力ともいえる。しかしながら、救急医療に携わる看護師としては、救急外来や災害傷病者受入れ対応時に、部署を超えて、経験年数問わず、連携・協力ができる体制を基盤として看護師育成を優先する必要もあり、ICUにおける新人教育期間の長期化との整合性は課題となる。本学会「集中治療に携わる看護師のためのクリニカルラダー(2014.8)」レベル4 における臨床実践能力に示している「知識と経験を融合させ速やかに患者を理解し合併症予防のためのケアができる」「多職種と協働し患者の問題解決に向けて活動できる」とする専門性の高いICU 看護師を育成することは、このローテーションシステムの安定化にも重要ポイントであるが、看護の基盤の専門性が異なる部署で構成された救命救急センター看護単位では課題となる。看護管理の立場から、課題の克服に向けた当院の取り組みを報告する。シンポジウム 7 2月12日(金) 15:40~17:40 第9会場集中治療における看護師の臨床判断能力の育成SY7-2 教室での学びを臨床で活かすために 認定看護師教育の立場から日本看護協会 看護研修学校 認定看護師教育課程塚原 大輔集中ケアにおける看護の対象は、新生児から高齢者まで幅広い年齢層の生命の危機的状況下にある患者およびその家族である。そのため、看護師には、異常の早期発見、迅速で的確な臨床判断とその対応が求められる。臨床判断は、「患者のニーズや興味・関心、健康上の問題について解釈や検討を行い、行為を行うか否か、標準的なアプローチを使用するか変更するか、患者の反応によって適切とされる新しいことを即興で行うかどうかを判断すること」(Tanner,C.A 2006)とされ、集中治療に携わる看護師はより多くの情報を収集するための知識やフィジカルアセスメントおよびモニタリング能力、収集した情報を統合し推論する能力、推論を基に判断し行動する能力、そして行動中や行動後に省察する能力が必要になる。 これらの能力は、看護師が経験を重ねるだけで自然に身につく能力ではない。それぞれが自己の経験を意味付け、他者との相互関係により新たな気づきを持ち、それを積み重ねによって育まれる。 日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程集中ケア学科では臨床経験5 年以上で集中治療領域の経験が3 年以上の看護師を対象として8ヶ月(810 時間)の研修を行っている。研修においては知識の習得に留まらず、数多くのグループワークによる議論や振り返りのプロセスを通して経験や学びの共有と内面化を促している。 今回は、認定看護師教育の立場から集中治療に携わる看護師に求められる臨床判断能力を育成するための効果的な方法およびその評価について述べる。